3.うつけのスカウト②!
翌日になった。今日は、リーナとお話しする日だ。城内で、馬車に乗り込みマナとの集合場所ににむかう。
同行する人は、マナの他にメイドのコノハに、護衛兼御者で執事のリーヴァンが同行する。」
今回は、貴族の領地に訪問するため街へ遊びに行くようにはいかないのだ。
馬車を使う必要があるため、最初は通常通りの護衛を付ける予定だったが、色々レンがごねた結果、このメンバーとなった。
王都から出る門の付近で、マナと合流し馬車に乗せて王都を出る。産まれて初めて王都以外の場所に赴くことが楽しみで仕方ないレンは、馬車の窓から子どものように、ずっと外を見ていた。
「レン様!まるで、子どもみたいです!!少し自重なされてはいかがでしょうか?」
「……コノハ!!わかってないね~~!!僕は、ずっと王都以外の街に行きたかったんだよ!楽しくて、楽しくて、仕方ないの!!」
「はぁ~~こうなったら、言っても聞きませんね……それで、門の前で馬車に乗せた、猫耳族の女の子は誰でしょうか?」
「この子?この子はねぇ~!猫耳が可愛い僕の第一秘書官になるマナ=リグレットちゃん!仲良くするように!しなかったら、お尻ペンペンの刑だから!!」
「普通に、セクハラです!リグレット?侯爵以上の貴族家にそう言った名前の家は無かったと思いますが??」
意外にも、マナは自身の口から説明した。彼女の覚悟の大きさを感じ取れる。
「私は、昨日まで孤児院で過ごしていました……そして、レンくんに秘書官に誘われた際に、施設長の養子となることになり、今はその手続きの途中です」
「レン様……!!貴族ならまだしも、元孤児は陛下や王妃様が反対されるのでは??」
「反対するだろうねぇ~でも、秘書官の決定権は僕に、ある!押し通すよ!」
レンの考えを、コノハに伝える。
「国家運営において、最も重要なのはイエスマンな側近じゃなくて、主人に意見を言える側近!今の侯爵家以上の貴族に、王家に意見言える貴族居る?」
「居ないですねぇ~~腐ってますからね~~今の侯爵家以上の貴族連中は!!」
「そうだろ!マナは、昨日まで平民!!これまでの経験から僕には、見えない視点で意見を言ってくれれば、国家改革の第一歩になりそうだし??」
「何で、疑問形なんですか!!では、マナ様……私から一言よろしいでしょうか?」
「はい!!」
「今は、プライベートなので問題ありませんが……公の場では、レン『様』と呼びなさい!後、王族に仕える者としての教育を私がします!よろしいですね?レン様?」
「よろしくぅ~~!コノハ!……マナ!誘っといて何だけど、僕の秘書官になる以上コノハの教育は受けてね!」
「わかった!」
馬車内で話していると、オノフェス家が治める街「リーゼン」に到着し、オノフェス家の屋敷に到着した。馬車から降りると、現当主のマックス男爵に次期当主のレックスが出迎えてくれた。
「王子!本日は、遥々リーゼンまで足を運んで頂きありがとうございます!」
「マックス男爵!お出迎えご苦労様です!……所で、リーナは今どこに??」
「申し訳ありません……リーナは、今街に出かけておりまして……」
「ふふっ!相変わらずですねぇ~~二年前に、お城でマックス男爵と父上に怒られたの思い出します!」
「………お恥ずかしい限りです」
そこから、レンたち一行は、宿泊する部屋に案内して貰った。部屋に入りマナに声を掛ける。
「マナ!僕の秘書官になったんだから、僕の隣を堂々と歩いてね!」
「はい!でも、レンくんの隣、歩くとなると緊張して」
「僕も緊張するよ?だって、可愛い女の子が隣歩くんだよ??」
レンの一言の後…お互い顔を真っ赤にしてしまったとさ…
翌日、レンとマナは応接間にてマックス男爵・レックス・リーナと対面している。
「父上!今日は何用ですか?街に遊びに行きたいんですけど?」
「王子が、リーナに話があるみたいだ!!」
「リーナ!三年振りだねぇ!覚えてる?王都を一緒に遊んだレンだよ!」
「あぁ~!レンじゃん!お久~~!」
「こら!リーナ!王子に向かって失礼……」
「待ってください!マックス男爵!僕は、大丈夫なので!!それと、リーナ!今は、公務だから!」
「はっ!王子!本日はお越し頂きありがとうございます!」
「ところで、王子?今回の訪問の目的はなんでしょうか?」
「リーナは、今後オノフェス家において何か、役割を持たせる予定はありますか?」
「リーナをですか……正直に申しますと、リーナの自由奔放さを活かせる役割を見いだせない現状です」
おぉ~良かった!貴族の女性となると、成人したタイミングで他の貴族との政略結婚などに出されることが多いからなぁ~~まぁ、リーナの自由さに、助けられたな!
「では、早速本題を述べますね…リーナをレンの第二秘書官に、任命したいと思い、訪問した次第です!」
「リーナを王子の第二秘書官に?」
「はい!第一秘書官は、隣に居る、マナ=リグレットが務めます!一応、身分は平民です」
「王子!お言葉ながら、秘書官は侯爵家以上だと…」
「レックス殿の言いたいことはわかります!それに、あくまで侯爵家以上を推奨しているだけであって絶対では無いんです!」
「では、何故秘書官に平民と男爵家の人間を??」
「有能な人材な、積極的に登用するべきだから!いろんな方面に言ってるけど、僕が欲しい人材は、家柄とかイエスマンとかでなく、身分関係なく有能な人材!マナにリーナは、僕にとって絶対に隣で働いて欲しい人材です!」
「レン様!レン様!レン様の隣に居れば、王都を自由に散歩できますか?」
「出来るよ!」
「父上!私は、王子の秘書官として働きたいと存じます!」
「はぁ~自由人のリーナを止めても勝手に王都に行くだろうな…リーナ覚悟は出来てるんだろうな?」
「はい!」
「では、王子!リーナをよろしくお願いいたします!」
「わかりました!」
リーナの第二秘書官就任が決定した。一週間後に、リーナも伴い王都に帰る予定となった。一週間は、リーナと共に、リーゼンの街を探検しまくったのだった。
一週間後、王都に帰りマナは孤児院にリーナは、用意した宿泊施設に送った後王城に帰り自室に入ると…父上が、これまた激怒な表情で待っていた。
「レン…今回のリーゼン訪問は、三日間のはず…何故?一週間も行ってるのか?」
「いや~リーゼンの街が綺麗なので、見て回ってたら一週間滞在しちゃいました!てへ!!」
「レン~~~!!!お前は、今後王族として国家運営に携わるのだ自覚を持て!!」
「はい!は~い!」
もう、城内では風物詩となったレンに対するお説教は、三時間以上続いたとさ!




