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274. 二日目……

「ところで、レン様、貴方が、ご結婚される女性は、何故、隣にいらっしゃらないのですか?」


 こんな質問をしてくるナンバー二は、確か、ハイアン帝国のナンバー二だった気がする。


 名前は……誰だったけな……


 マホは、一枚の紙を確認してレンに耳打ちして来た。


「ハイアン帝国のナンバー二は、チャップ=フルセヤです」

「……助かった」


 マホからの耳打ちで、この影の薄い人物の名前を知れたので、改まって話しかける。


「チャップ殿、何故、そんなに、僕の婚約者の顔を見たいんですか?」


 レンの目は、獲物を狙う肉食獣のような視線を向けた。


 チャップは、肉食獣に怯える動物のようになったが、ナンバー一様の意向があるのだろう。続けざまに聞いて来る。


「今回は、レン様のご結婚のお祝いに来ましたので、お相手の顔を拝見しないと――」


 これは、建前だ。


 王国は、この大陸の国家にとってオレジアナ公国と同等レベルの影響力を持つ国家なので、マナの顔を見て、王国のご機嫌取りに使いたいと思っているのだろう。


「私の婚約者は、見せ物では無いのでね。それに――」


 レンは、参列者の名簿を見て殆どの国家が若干十五歳で国王になったレンの事を舐めていると感じ取ったので、マナの身体的負担も考えるとわざわざ無理させてストレスの掛かるこんな場面に出席させない方が良いと判断した。


「貴方方、僕の事舐めてるでしょ? 先代の時は、各国、ナンバー一が、来てくださったのに、今回は、半数の国家がナンバー二の方が来ています。明らかに舐めているでしょう♪」


 レンが、政治の舞台に出て来てから外交の挨拶に訪れた人物は一人も居ない。


 会談の席を要請した人物も居ない。


 そして、今回の結婚式に関しても、ナンバー二を寄こして、ナンバー一は、来ない国が殆どだ。


「ナンバー一が、顔を出していない国が殆どなのに、本番以外で僕の妻の顔をお披露目する理由は無いでしょ」


 レンの言った事は、チャップにとって隠したかったことを突かれたのだろう。黙り込んでしまった。


「さぁ、皆さん、夕食を召しあがってくださいな」






 夕食会は、少しの周辺国間の情勢を話しながら平和的に終了した。


「ただいまぁ~~」


 レンは、マホを自室に送ってから、マナの待つ二人の部屋に帰った。


「おかえり~~」


 マナは、出迎えてくれて、サユリさんは、レンが羽織っている上着を受け取るとクローゼットにしまった。


「そう言えばレンくん、リーヴァンからお便りが来て、スズカは、予定を一日早めて明日来るって」


 レンは、ニヤリと笑った。


 これは、面白い事になるとレンは、思った。


 王城に来ている、周辺国の要人は、公国の人間は、来ないと思っている。


 昨年の国交の正常化を果たしたと言ってもまだ、一年程度の関係なので、まだ、以前と同じように、どっちに就くのか見定めているのだろう。


 大陸の影響力がある二つの国家のTOPが、十五歳の若い人物が就いたのだ。


 周辺国からしたら両国のTOPが政治力を身に付けるまでに、自分達が上だと示したいのだろう。


 スズカからは、公国で会談をした際も、ナンバー二を寄こしてきた国が殆どだったそうだ。


 レンとマナの結婚式週間の二日目になった。


 今日は、昨日に王国に入国していた、周辺国との会談の予定だったが、急遽延期している。


 オレジアナ公国のスズカが、一日早く王国に入る事になったのだ。


「じゃ、マナも準備OK?」

「大丈夫!」


 部屋をマナと一緒に出ると、待っていたマホが、マナの居ない右隣に立って歩き出した。


「レン兄さん、要人達が、会談の予定延期に関しての理由を聞いてきましたので、早急の用事が出来たと答えておきました」

「おぉ〜助かるよ〜〜」


 そういうと、レンは、マナの頭をワシャワシャと大人しめに撫でた。髪型が崩れない程度にだ。


 さぁ、レン政権にとって最大のパートナー国であるスズカとの対談だ。


 しっかり、お出迎えしないといけないね。


 王城の入り口付近には、各国首脳団の部下が勢揃いしていた。


 恐らくは、会談の順番が来た際に、主人を呼びに行くための要因だろう。


「皆さんも大変ですねぇ〜〜」


 レンが、声を掛けると各々が、一礼をしてきた。


 入り口に立つと、丁度いいタイミングで、オレジアナ公国の代表団が、入城してきた。


 それを見ていた部下たちは、外を凝視していた。


 もしかして、公国の人間が来るとは思っていなかったのだろうか。


 普通に考えればわかる事だ。


 王国と公国は、国交を正常化している。呼ばない理由は無いのだから。


 馬車から、綺麗な服を纏ったスズカが出てきた。


 部下達は、スズカの様子を確認すると、すぐさまその場を後にして行った。


 恐らく、主人にこの事を伝えに行くのだろう。


「スズカ、ようこそ、ラインブルー王国へ」

「こちらこそ、お招きありがとうなぁ〜〜」

「コラ、スズカ様、話し方」

「はぁ〜い」


 今、注意を入れたのは、セバスだ。


 デリエスとメイちゃんは、今日は、公国にお留守番だ。


 流石に、まだ、王国に、彼らが姿を表せば、彼らに非難の目や、声が上がるのは目に見えている。


 なので、今回は、お留守番でゼバスが、スズカのサポート役で来ている。


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