271. 何か企んでいる?
「レンくん、入っていいよ~~」
ノックしただけで、誰が部屋に来たのかが解ったようで、マナは、レンを部屋に招き入れた。
招き入れた形になっているが、元々は、レンの部屋なのだが、既に、この部屋の主は、マナになっている。
「一応は、この部屋の主は僕なんだけど?」
形だけの抗議をしておく。
もう既に、この部屋は、自他ともに認める『レンもマナの愛の巣』とかしているのだ。
まぁ、『レンもマナの愛の巣』に関しては、コノハが言い始めたのを母さんが気に入ったのをキッカケに、王城内で定着してしまった。
「別に、良いじゃん?ここに居れば、レンくんが、帰ってきてくれる訳だし?」
マナのこの言葉には、内心照れてしまう。
初代様の子孫だとしても、産まれは、一般国民として産まれて、色々な事があって孤児院で過ごしていたので、夫婦出過ごす場所は、家の認識だっただろう。
しかし、王族ともなれば、住む場所 = 仕事場所となるので、レンの部屋は、実質的には、レンとマナのお家という認識だろう。
「これまでは、執務室から一緒に帰ってきてたけど、お出迎えすると、旦那さんを出迎えてるみたいで新鮮なんだもん!」
「憧れ?」
「元々、結婚には興味無かったよ? でも、レンくんに出会って初めて結婚したいと思った!」
結婚に興味が無かったのは本当だろう。
会った最初の頃は、孤児院に寄付をしてくれるいい王族という認識だったという事が、痛いほど感じていた。
その認識なので、マナの警戒心を解くのは、かなり一年程の年月を費やしたものだ。
「お仕事は、もう終わったの?」
「終わったよ?体調は?」
「うん、大分マシだよ」
「良かった」
サプライズの誕生日パーティーのことは、まだ、気がついていかいようだ。
いや、もしかしたら気がついている可能性はある。
「体調はどうなの?」
レンは、マナの体調を気ずかいつつお腹を摩ってあげる。
「今日は、元気だよ!」
「良かった」
昨日は、つわりが酷い日だったみたいで、一日、サユリさんが付きっきりになり、女医さんも時間を見つけては、診察に来ていた。
誕生日パーティーの準備に、サユリさんも顔を出していたし、朝のマナの顔を見たら体調は、良好だったので一安心はしていた。
「今日のお仕事は何だったの? 何か、私のお部屋の方でがさこそしてたみたいだけど?」
レンは、心の中で思った。
あ、ヤバい。
流石に、執務室を挟んであるマナの部屋で準備をすれば、物音なのでなにか勘づくはずだと。
そして、マナは、何か勘づいていることは明白だ。
自分の誕生日なので、何かあることは、期待しているだろうが·····
後、もう少しなのだ。
後、もう少しだけ隠し通せれば、サプライズ成功なのだ。
ここは、上手く隠し通してこそ国王としての威厳の見せ所なのだ!
「マナさん、すみません。少し、抱いている違和感を無視して頂けますか?」
マナに抵抗するだけ無駄だと悟ったレンは、大人しくマナに、詮索しないで欲しいとお願いした。
「なぁ〜に、隠し事? 私の誕生日なのに·····??」
マナさん、圧が強い圧が!!
本当に、やましい事は、無いんです!
「もしかして·····浮気?」
ヤバい、誤解を解かないといけない。
「そんな訳無いじゃん? 例え、浮気してたとして、あんなに近い場所でする?」
レンは、冷や汗をかいていた。
「うふふ、レンくん。嘘だよ。レンくんは、誰よりもそう言った事が嫌いだもんね。レンくんが、私を信頼と信用してくれてるように、私もレンくんの事、信頼と信用してるから!」
マナは、ニヤニヤ笑顔で言ってきた。
恐らくは、遊ばれたのだ。
「マナぁ~~」
「いやぁ~~レンくん、ごめんてぇ~~」
レンは、マナの耳をモフモフ攻撃を仕掛けていた。
本来なら、尻尾を触る事が大きな反撃になるのだが、尻尾だとマナが必要以上に驚いてしまう可能性があるので、ここは、モフモフな猫耳もモフモフするだけで済ませておこう。
「レンくん、からかってごめんなさぁ~~い……」
「焦ったんだからねぇ? おりゃ~~」
「キャハハハ!」
猫耳も触られて、何とも言えない感覚になっているマナは、嬉しいのか嫌なのか解らない感じの声を出していた。
レンは、尻尾を触れない分、満足するまで猫耳もモフモフし終えると耳から手を離した。
「ふぅ~~満足、満足♪」
マナは、頬を赤らめていた。
「尻尾は、レンくん無許可で触って来るからビックリが勝つけど、耳は、気持ちいね♪」
滅多に猫耳は触らないレンなので、今回、初めてマナの猫耳をマジマジと触った。
「マナの猫耳最高かも♪ 触り心地が、最高♪」
「じゃ、お腹の子どもが産まれてきたら、尻尾じゃなくて、耳触ってよね?」
「それはソレ、これはコレだからな。尻尾は、触るよ?」
「触ったらハリセンで……」
「マナの尻尾は、ハリセンで叩かれてでも触る価値あるからなぁ~~?」
レンにとって、マナの尻尾を無許可に触れば、ハリセン攻撃という反撃を喰らってしまうが、その代わりに、可愛い反応を見られるので、プラマイではプラスの方が強いのだ。
マナは、レンの反のを見て、悟ったのであった――
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