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261. 良い部下

 コン♪コン♪コン♪


「はぁ〜い」


 レンとマナは、診察室の帰りに、母上の部屋へとやって来ていた。


 扉をノックして入ると母上は、レンが提出した法案を読んでいた。


「⋯⋯法案のお勉強ですか?」

「私が政治から離れている間に目まぐるしく変わったからね。勉強しないとついていけない」

「流石です、母上」

「まぁ、マナちゃんには、遠く及ばないけどね」

「そんな、母上に三つ報告がございます」

「なに?」


 最初の報告は、一つのつもりだった。


 結婚式の日付が決まった事を伝えるだけだと思っていたが、報告する内容が増えたのだ。


「まず、一つ目は、マナとの結婚式を六月に挙げる事にしました」

「おぉー!どうリで、六月の王城のイベント枠が一週間程、埋まってた訳だ」


 王族の結婚式となるとそれは、各国の首脳も呼ぶ事になるので、実質的には、外交の場に早変わりしてしまう。


 そのため、どんなに期間を短縮しても一週間は、結婚式関連のイベントで王城を抑えないといけないのだ。


「マナちゃん、おめでとう!レンの正式な奥さんになってくれて」

「はい。本当に嬉しいです」


 結婚式に関しての報告は、これで大丈夫だろう。


 問題は、次の二つの報告だ。


 二つの報告は、関連しているので、一気に報告する。


「続いての報告ですが⋯⋯マナが、筆頭秘書官としてのお仕事を引き継ぎが完了次第お休みします」

「え、マナちゃん何処か体調悪いの??」


 レンの報告を聞いて、速攻で、マナの体調を心配した。


 そりゃ、昨日までバリバリで働いていて、今日の王立学校へも付いてきていた子が、急にお休みするのだ。


 心配にもなるだろう。


「え、レンくん。何も聞いてないけど?」


 もちろん、さっき決めたばかりなのだからマナが知る由もない。


「私、何かいけないことした?」


 あっやばい。


 誤解を解かないといけない。


 以前、お互いのすれ違いで大喧嘩をしてしまった時のマナの表情を忘れられないでいる。


 マナは、レンに拒絶される事を恐れている。


 幼少期に、家族を事故で失ったのがトラウマなのだろう。


「違う、違う!マナは、今後、身体を大切にしないといけないから!結婚式終わった後には、マナのお仕事は、身体を大切にする事になるから!」

「あ、ごめんね。取り乱して」

「全然!」

「ねぇ、私にもわかるように説明してくれる?」


 一瞬にして蚊帳の外にされた母上から説明を求められた。


「これが、三つ目の報告になるんだけど⋯⋯」

「⋯⋯うん」


 何となくだが、重めの空気を作っておいた。


 その方がいいと直感的に思ったからだ。


「マナが、僕とマナの子を妊娠した。だから、ここから、引き継ぎをして貰って、静養して貰おうと思う」

「⋯⋯え、マナちゃん。ほんと?レンの戯言じゃなくて?」


 おいおい。


 どんだけ息子の言うことに信頼が無いんだよ!


 こんな大事なこと冗談でも言わないだろう!


 言葉には、出せないが内心そう母上につっこんでおく。


「本当です。先生にも診て貰ったので間違い無いです」

「おめでとうぅ〜〜〜〜!!私も、おばぁちゃんになるのかぁ〜〜」


 色々あった事もあるのだろう。


 母上は、物凄く嬉しそうにマナとハグしている。


「まだ、若い二人の夫婦だから子育て大変だろうけど、私も手伝うから、頑張ろうね!」

「はい、母上!」

「お義母さんって呼んで!」

「はい、お義母さん!」


 マナとのハグをやめた母上は、今度は、レンにハグしてきた。


「母上、くるしぃぃ」

「そんな事言わないの!嬉しいんだから、孫を抱っこするのが夢だったんだから。こんなにも早く叶うとは思わなかったけど!」


 今の母上は、制御不能だ。


 流れに身を任せるしかない。


 数十分母上は、レンとマナを交互にハグして満足したのだろう。


 先頭に立って、食堂に向かった。


 食堂には、既に、レンの側近達が夕食を食べていた。


「あ、レン兄さんマナ姉さんに、母上!」


 真っ先に、マホが声を掛けてきた。


 やっぱり何度観ても可愛い天使だ。


「ここいい?」


 食べる分だけのご飯を取って、仲間たちが座っている席に座る。


 どうやら、マホが、政治に関して学びたいとリーヴァンやコノハやリーナを捕まえていたみたいだ。


 妹の頼みとは言え、有難いし助かる。


「皆に、報告があります」


 遅かれ早かれ、彼らには、今後協力して貰わないと行けないのだ。


 特に、コノハとコノハのお母さんであるサユリさんにはお世話になるだろう。


 国王の地位に居るのは言え、今年、十六の夫婦だ。


 育児経験者の助けが必ず各箇所で必要になってくるだろう。


 特に、レンは、マナが妊娠そして育児期間も政治を行わないと行けないので、育児に協力出来る時間は、限られてくるだろう。


「マナが、僕の子を妊娠しました」


 皆に、報告した。


 皆は、頭をポカーンとさせていた。


 真っ先に、マホが、レンにハグしてきた。


「おめでと! レン兄さん、マナ姉さん!」


 マホを皮切りに、皆が祝福の声を掛けてくれた。


「レン様、マナ様、おめでとうございます。今後は、ハットリ家一同、三人の家族の身辺警護を頑張らせて頂きます」

「レン様、マナ様、おめでとうございます。お母さんにも、報告して子育てを手伝わせて頂きたいと思います」

「三人共ありがと! コノハ、サユリさんに、子育てのお手伝いお願いして貰えるのは、本当に助かる!」


 本当に、レンの周りに居る人間は、レンの考えている事を理解していくれる。


 本当にいい部下を持ったものだ。


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