26. うつけの兄妹街散歩③!
「マホ…王城で,何のお話していたか…マナに,説明して!」
「はい!!」
マホは,王城でしていたお話をマナに説明している。
「王城では,レンお兄様に王族の歴史を教えて貰いました」
「王族の歴史…?詳しく教えて頂けますか??」
「はい…!私たち王族の家系の直系のご先祖様は,二代目国王様で,初代国王様との戸籍・血の繋がりは,無いと教わりました」
「レンくん?そうなの?」
「そうだよ~!僕,小さい頃は街に遊びに出るか,王城の書庫に籠るかのどちらかで…書庫の奥の奥に王族の家系図の本見たら…僕達,一族の直系が,初代様じゃなかったんだよね~~気になったから,そこから調べに調べまくりましたよ~~」
マナも…特に,マホも,戸惑っている。それもそうだ,僕たちが初代国王様の直系の子孫であると今の今まで信じていたのである。今更,直系の子孫ではないと言われて,そう簡単に,受け入れられる物ではないだろう。
「これ以上…この話を王城ですると…この事実を他の人に聞かれた場合…面倒なことになりそうだからね……」
「あぁ~確かに…他国にこの情報を売って…国民を焚き付け…反乱なども考えられるよね……」
「そそっ!いつかは,公表しないといけないけど…今は,国家機密最高レベルの案件だよ」
ここで,マホは肝心の王家の歴史に関しての話を催促してくる。相当,気になっていたみたいだ。
「レンお兄様…そろそろ…王族の歴史の話してください…」
「あっそうだった!」
「じゃ,私も席外すね…」
「いや,マナも居て!」
「??わかった」
僕は,マナとマホの二人の顔を交互に見て,マホに問いかける。
「マホ!教育係からは,僕たちは,初代国王とどのような関係があるって聞いた??」
「教育係からは,初代国王様の八男が,直系の先祖様だと教わりました…」
「そこで,不思議に思わなかった??」
「不思議とは??」
「普通,王位は長男か長女が継ぐのが一般的でしょ?何で,初代様から二代目への王位継承は,八男なのか?」
「初代様の時代は内戦中だったでしょ?戦争で……」
「仮に,戦争で,息子七人死んだとして…そんな人物を初代国王に普通,即位させる??」
「でも…レンくん?初代様は,人格者で内戦を終わらせるために,奔走して…」
「内戦は,二十年近く続いたんだよ…??初代様は,その内戦に最初から従軍していた…内戦中に,子ども産んだとして…普通…戦時中に八人も産む余裕ある?仮に,従軍前に誕生していたとしても…記録によれば,従軍時,初代様は,十九歳…」
「マホ!初代様は,側室を設けた記録はあった?」
「無かったです…」
「初代様は,生涯妻一人を愛した…十九までに子ども八人産ませるのなんて…物理的に不可能なんだよ…初代様が女好きなら解るが…初代様は人格者だ…そこが,矛盾している」
「レンお兄様…なぜ…こう言った矛盾が…発生しているのですか??」
そう…この矛盾は,何かしらの意図があって仕組まれた。当時の王政に関わった人物によって。
「そりゃ,簡単だ…当時の王政に関わった人間が自分に都合がいいように…情報を書き換えたんだよ…」
「なんで…そんなことになってるの??」
「この情報を意図的に,情報を書き換えるとして考えられる要因は,二つある…」
「レンくん…一つ目は?」
「初代様が何かしらの意図を持って書き換えた…ただ,初代様は人格者だからこういう捏造をするとは考えられない…可能性があるとしたら…二つ目だと思う…」
「レンお兄様…二つ目は?」
「二代目国王が,意図的に書き換えた…つまり,僕とマホの先祖様が,意図を持って書き換えた…これが,僕が考えた中で,一番有力…多分そこには,初代から血の繋がりが無い僕たちの祖先様に禅譲されたかが絡んでくるだろうね…」
僕が,王城の書庫で家系図を気になり調べていると二代目国王様の手書きだろう…日記帳らしき本を発見した。ほとんど,人に見つからない所に置いてあった。大分古いが,ほとんど人が読まなかったのだろう損傷はあまり見られなかった。
「王城の書庫の奥の奥に…二代目国王様の日記帳があってね…まぁ,日記帳だから公文書ではないけどね…当時何があったか…事細かく書いてあったよ…」
僕は,初代国王様と二代目国王様の禅譲において,何があったのか…日記帳に書いてある内容を伝える。
「マホ!初代国王様は,どんな人物だったかな??」
「はい!人の意見をよく聞き実行に移す人物だったと…教えて貰いました!」
「マナ…補足はあるかな??」
「はい…人を信じ,疑わない,真っ直ぐな人物だと…聞いたことあります!」
「ところで,二人とも…二代目国王について記録ある??」
「そういえば…ほとんど無いです…」
「いや,マナさん…ほぼ,無いじゃなく…記録が残っていません…恐らく,レンお兄様が,発見した日記帳が唯一の記録かと…」
「マホ!正解!二代目国王様に,関する情報は残ってないんだよ…恐らく,この初代と二代目との間に起ったこと隠すことに目的が,あったかのごとく…」
「レンお兄様!いったい…初代と二代目との間に何があったんですか??」
僕は,二代目国王様が,残した日記帳を基に説明する。
「初代様は,一言で表すなら…民をまとめることには才があったが…国政に関しては,無能だった…」
「無能とは……??」
「初代様は,人を信じて疑わなかった…」
「初代様のそういう姿勢が,国をまとめる上で大事なのでは??」
「日記帳には,こう書いてある…『初代国王様の人を信頼する姿勢は,尊敬に値する…しかし,初代様は人を信頼し過ぎた』とね…この意味解る??」
二人は,顔を合わせて「わからない」と答えてきた。
「人は,善人も居るし悪人も居る…初代様の性格は,悪人にとって付け込みやすいんだよ…進言すれば信頼して貰って意見が,通るんだから」
「「………」」
「そして,対立が発生し内戦の一歩手前までいってしまった…初代様が原因で起こりそうになった内戦…未然に防いだのが,二代目だったということ…」
「もしかして…」
「マナの考えていることが正解だよ…内戦になりかけた責任を取り,初代様から二代目へ禅譲が行われたということ…」
「じゃ,レンお兄様…なんで,私たちが初代様の直系になっているのですか??」
「これは,僕の推測だけど…王位が,別の家の人間に移るんだ…また,内戦の火種になりかねない…だから,初代様の八男ということに記録を書き換えたんだと思う…そして,その証拠を無くすために二代目に関する,公式記録は,全て抹消された可能性が高いと思う」
「凄いことだね…これが,事実なら王国内…大混乱だよ…」
「あくまで,僕の推測だけどね…この話を王城でして,聞かれたら大変なことになるよ…二人とも…このことは
,他言無用だよ!!
「「わかりました!!」」




