表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

249/350

249. 新年

 年を越して新年を迎えた。


 起きて、窓越しに遠くにある街を眺める。


 普通の日ならこの時間の街は、暗いが、年末以降は、夜遅くまで街が明るい。


 昨年までならこんなに、明るい事は無かったが、食料問題が解決されて食料の値段が格段に下がった事で、自由に使えるお金が増えた事もあり、国民の皆は、例年以上に楽しく年末年始を過ごせているようだ。


 やはり、羨ましいな。


 年末年始に、楽しく生活できている。


 これは、レンが頑張ってきた成果でもあるが、レンがその成果を享受できている訳ではない。むしろ、国民の期待がどんどん上がっているのを感じる。


 正直言うと、しんどい。


 だから、国民に政権を移譲することを目指す。


 王家は、国民の奴隷ではない。


 王家であるレンは、このまま行けば確実に、国民が楽しく暮らすための奴隷に成り下がってしまう。それに、今後誕生するレンとマナの子どもにも同じ道を辿らせることになってしまう。


 国民は、自由だ。


 王家が、政治をして国民が豊かに生活出来る土台を整えて国民は、その土台の上で楽しく生活する、自由を謳歌している。


 王家 = 政治家 は、不自由だ。


 何かあれば、直ぐに対応しなければいけない。他国から戦争を仕掛けられたら命を懸けて前線で戦わないといけない。


 自由に、他国に行く事が出来ない。


 他国に行くなら、政治的な理由が無いといけない、プライベートで行ったとしても、国軍の警護が必要になるから自由に見えて他人に行動を監視されるのだから、自由(ふじゆう)だ。


「羨ましいなぁ~~」


 無い物強請りだ。


 レンは、自由が欲しい。


 自由に、他人の監視が無い中で、マナと一緒に行商の仕事をして外国を回りたい。


 自由に憧れる。


 無い物強請りをして何が悪いのか。


 国民が自由であり、職業を選ぶ自由もある。それに、学費は学校負担で教育も受けられるようになって更に、職業選択の自由が広がるのだ。


 だったら、一国の政治を動かす責任ある立場だって、職業の自由の中に入れたっていいではないか。


 国民は、責任を逃れて自由を得て、王家は、責任を持って自由を得られないのだ。


 これは、平等か?


 いや、不平等極まりない。






「レンくん、おはよ」


 予想外だ。


 マナが、何時もより一時間早く起きて来た。


 確かに、今日は、何時もより早く起きないといけない日だ。だから、マナが起きなかったら、尻尾を触って起こすつもりでいた。


 だから、自分の力で起きた事が意外だった。


「……起きれるんだ」

「だって、起きなかったら尻尾触られてただろうし?」


 バレてたか。


 マナには、どうも行動パターンを読まれているように感じる。


「さぁ~~て、何の事かな?」


 何とか、言葉を発してその場を逃げようとしたが、マナは、逃がすつもりは無いように肩を掴んできた。


「ほんとうは?」

「……はい。そのつもりでした。あけましておめでとう」

「よろしい。あけましておめでとう、レンくん。今年もよろしくね」

「もちろん」


 今日は、ガチガチの正装をしないといけないので、寝間着のまま食堂で朝食を摂りに行く。


 食堂は、少人数ながら年末年始も運営している。


 財務省への異動を提案した食堂のおばちゃんからは、丁重にお断りされた。やはり、料理人としてのプライドは、まだ残っていたようだ。


 そして、今回レンが、こんな提案をしてきた意図は理解しているだろう。


 お金に釣られて王都の食堂から王城に来たから、更にお給与を上げれば財務省に異動すると思われた事は少なからず料理人としてのプライドを擽られたようで、王城内で料理の腕を磨きだしたようだ。


 朝食を食べ終えると更衣室に移動した。


 そこには、既に、コノハとサユリさん親子が控えていた。


 今日は、この二人に正装に着替えさせられる。


「おはよ~~」

「レン様・マナ様おはようございます。今年もバカ娘がお世話になります」

「はい、お世話させて頂きます」


 レンは、ここぞと言わんばかりに、日頃の鬱憤を晴らそうとしているが、この後が怖い。


「もし、コノハが、事後の片付け嫌がったら言ってくださいね?しばき倒すので」

「あぁ~~それに関してはぁ~~」

「レンくん?」


 マナが、少しばかり冷たい声で話してきた。


 背筋が震える感覚を覚えた。この時のマナには、大人しく従っておくことが先決だと判断する。


「……はい」

「普段、お世話になってるんだからここぞとばかりに虐めないの! 後が怖いよ?」

「……はい。ごめんなさい」


 コノハは、マナのサユリさんはレンの正装へのお着替えをお手伝いして着替えていく。


「動きにくいぃ~~~~!!」

「はい、ピシッとして歩く!」

「マナのおにぃ~~」


 正装の動きにくさを嘆いたレンを速攻でしっかり動くように注視しているマナ。


「国民は、レン様の声を聞こうと年明けと同時に、王城の入口に並んでいるんですよ?」

「……うちの国民は、物好きしかいないのか?」

「レン様の事を慕ってるんですよ」


 早朝に、国王が新年の挨拶を行う。


 国民が集まっている広場に見える演台的な場所に移動した。


 そこには、マホと母上も正装をして控えていた。


良いなぁと思ったらブックマーク登録・☆評価お願いいたします(*´ `*)♪♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ