248. 一年最後の日
「また明日から、お仕事かぁ~~」
一年の最終日は、レン達はお休みだが明日からはお仕事だ。
明日は、国王であるレンが、年初めの挨拶があるのだ。
「年初めの挨拶嫌だぁ~~マホに任せてもいいかな?」
「ダメだよ。一番困るのはマホちゃんだよ」
一応、明日の挨拶の内容は、既に書き上げているので、そのままマホに渡せば、マホでも挨拶は出来るだろう。
王城も、新年をお祝いするための装飾がなされている。
過去は、年代わりの度に装飾を購入していたが、無駄遣いは良くないというレンの判断で、昨年分から再利用できない分以外は、昨年の装飾を再利用している。
「だねぇ~~どれだけ国民が来るのかな?」
例年、国王の新年の挨拶には、王都に住んでいる国民と王都に旅行に来ていた国民などが、観光がてらに王城に、国王の新年の挨拶を聞きに来る様だ。
「リーヴァンに聞いたけど、今年は、国民がレンくんの生声を聞きたいと人気が出る恐れがあるって」
「……なに、偶像化してんの僕……」
知らない間に、偶像化されているようだ。
もしかして、王城内で開放する国民スペースには、収まるのか不安になってくる。
というか、そこまで人気が出る理由が正直解らない。
この一年としては、不正貴族排除したり食糧問題の解決のために、無駄を排除した事や政敵を排除した位だ。
「それほど、レンくんの事を好ましいと思っているんだよ」
「あと、数時間で、今年も終わりかぁ~~」
今日は、一日、マナと二人でボーとしていた。
「早いね……レンくんと出会って五年目で、婚約出来た思い出の年も終わりか……」
「来年は、結婚するだろ?」
レンは、来年のどこかしらのタイミングで、マナを妻にする。
タイミングが不透明なのは、結婚式を行える日程が不明慮だからだ。
来年には、王立学校の創立などもあるので、日程調整が難しい。
王族の結婚式は、他国の要人の招待……つまりは、外交の場にもなるので、期間としては、一週間程度は見ないといけない。
なので、王国の政治を行いながら結婚式の準備をする。
早くて、来年の秋頃になるだろう。
「レンくん、結婚式楽しみだよ。でも、無理しないでね?」
「やっぱり、焦ってるのバレてる?」
「そりゃ」
「だって、マナとの関係として確固たるものが欲しいんだもん」
「それだけじゃないでしょ? どうせ、責任とか考えてるんでしょ?」
やっぱり、バレていた。
避妊技術が発展していないこの世界にとって、Hをすると言う事は、妊娠のリスクを負うのだ。
もしかしたら、昨晩の事で、マナが妊娠することだってあり得る。
「でも、これは、僕のケジメだから止めないで。マナと一線超える時は、マナを妻に迎えるって決めてたから」
最初から決めていたし、マナと婚約した時に、再度、決心した事だ。
婚約してから、二ケ月で、一線超えた事は、少し自制が効かなかったことは反省だと思う。言い訳としては、マナがあんなに積極的に誘惑して来たんだから仕方ないと言いたい所だ。
だって……好きな子に、あんな誘惑されて我慢できる男の子が居たら聖人だよもう。
「だったら、無理して倒れないで。ただでさえ、キャパオーバー気味に働くんだから。まぁ、オーバーワーク気味に働いていたら私が止めるけど」
「大丈夫?最近、ストッパー役になれていないけど?」
最近は、レンとマナの二人きりで居る時には、マナも二人の世界に入り込んでしまっているので、これまでのストッパー役に成れていない気がするが。
「……それは、気よ付けるから!」
「ほんとかなぁ~~?」
二人の世界に入り込んだ際には、周りの事が見えなくなる位には入り込んでしまう。
まぁ、二人の世界に入り込み過ぎで、人前でおっぱじめるなんて事は、無いように気よ付けている。確かに、人前でも平気でイチャつくので周囲からは、『バカ夫婦』と変な異名をつけられてしまった。
「むぅ~~できるもん」
「いたぁぁい。ほっぺ、引っ張るのきんしぃ~~」
マナに、頬っぺたを引っ張られて少しばかり痛みを感じている。でも、心地いい痛さではあるが、照れ隠しの度にどこかしらを抓られたら体中が痣だらけになってしまう。
「……ごめん。今度からは、別の所抓るね?」
「いやぁ、そこは、照れ隠しに抓るの止めてくれない?」
「だって、恥ずかしいんだもん」
「もう、夫婦になるんだし……隠さなくてもよくない?」
マナは、頬を真っ赤にしながら頷いた。
これで身体中痣だらけになるのは、防げたと思いたい。
「今年最後の夕食食べに行って、明日もあるし今日は、もう寝るか~~」
「そうだね。明日、朝一で新年の挨拶の準備しないといけないもんね……」
年越しは、起きて過ごす人も居るだろうが、それをすると、どんなに遅い時間に寝ても決まった時間に起きてしまう体質のレンは、寝不足一直線だ。
普通なら二度寝をすればいいが、あいにく、新年の挨拶があるので、その準備があるため早起きをして準備をする必要があるのだ。
「たまには、一日中寝てみたいな……」
「レンくん、眠いなら私の膝枕でお昼寝してもいいよ?」
「……何か、襲われそうだから遠慮しておく」
「なんで!」
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