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239. 役職任命

 コン♪コン♪コン♪


 執務室のドアをノックする音が聞こえたので、ドアの方を見ると、開けた状態で、リーナがこちらを見ていた。


「あの~~イチャイチャするなら……どちらかのお部屋で頼めますか? こんな所でおっぱ――」

「マナ」


 パシン♪♪


 そこから先は、言わせない。


 マナからハリセン攻撃を食らった、訪問主のリーナは、頭を抑えながら、レンの座っている机の前まで来た。


 開けっ放しだったドアは、マナが、そっと閉めてくれた。


「いたぁいなぁ~~!!」

「女の子が、はしたない言葉を言うものじゃありません!」

「あんたは、私のオカンか!」

「まぁ~~そういう者ですから!」

「……調子に乗るなよ……うつけ王子……いや、うつけ国王」


 開口早々、子どものような喧嘩を始めている。


 パシン♪ パシン♪♪


 マナが二人の頭をハリセンで叩いて来た。


 何故か、レンの方を叩く力が強い気がするのは、ただの嫉妬だろか。


「喧嘩両成敗……レンくん?リーナ? 開口一番、喧嘩してどうするんですか?」

「「はい……すみませんでした……」」


 マナに諭された、二人は、喧嘩した事を謝る。


「レンくんは、今日のお仕事終わったら、私に構うこと!」

「はい……」

「レン~~もう、尻に敷かれてんの??」

「……」

「なによ~~」


 何かしらキッカケで、喧嘩を始めようとしたが、マナからの鋭い視線を感じて、喧嘩を止めて、さっきの書類の束からリーナの新たな役職に関しての書類を取り出して、リーナに渡す。


『 リーナ=オノフェス レン国王の第二秘書官を解任する 』


 一枚目の書類は、秘書官の解任通知書。以前、役職を持っていた人物は、二枚用意しないといけないのが、少し面倒だ。


「ほれ、新たな役職」


 リーナは、紙を見てビックリしていた。


「これって、エリザ様の就任が予定されていた役職では……」

「僕は、これをリーナに任せたいと思っている。リーナに任せたいと思うんだけど?」


『 リーナ=オノフェス ラインブルー王国の首相に、任命する 』


「頼んだよ。僕の後任の首相!」

「何で、私なの?」


 そりゃ、理由を聞くよね。


 王城内では、既に、エリザが、レンの後任の首相になる空気が漂っている。


 その空気は、リーナも感じていただろう。


「適材適所。リーナの実家は、権力に頓着してないだろ?」

「まぁ確かにね……実家は、一国のTOPになる気は、さらさら無いよね~~だから、私が、『首相』になったとして、『まぁ、頑張れよ』程度だろうし」

「だろ?」

「何が言いたいの?」


 レンは、理由をのらりくらり交わしていた。


「リーナ、この後に、マホちゃんとエリザ様が来るからその時に、理由を聞けると思うよ?」

「まぁ~~楽しみにしようかな」


 コン♪コン♪コン♪


 ノックがされて、入室の許可を出すと、マホと母上が、執務室に入って来た。


「おはようございます、母上。おはよ、マホ」

「おはよ、レン」

「おはようございます、レン兄さん」


 二人は、挨拶をすると、レンの机の目の前にやってきた。


「おはよう、レン兄さん」

「あれ?マホ、呼び方変わった?」

「うん、レン兄さんから、こう呼ぶようにお願いされての」

「そうなんだね」


 レンは、書類の束から一枚の紙を取り出して、マホに手渡す。母上も、マホに手渡された書類を覗き込んだ。


 マホの場合は、今回、新任なので書類は、一枚だ。


『 マホ=ラインブルー レン国王のの第一秘書官に、任命する 』


「これは、大胆な配置だなぁ~~」


 母上は、驚いていた。


「マホ、よろしくね? マナが、しっかりサポートしてくれるから」

「解りました。レン兄さんの第一秘書官になります」


 マホは、書類を受け取ると、レンの左隣りに移動した。


 マホなりの、秘書官としての覚悟の表し方だろう。


「さぁ、次は、私の役職だね。王国のためになる政策、色々考えてるよ」


 母上には、以前、首相の構想を伝えた。


 だが、事情が変わった。


 レンが、目指す国家づくりに関しては、実家の貴族の影響が出て来る恐れがある母上が、首相になっては、都合が悪くなる。


 レンが、目指している国家は、貴族にとっては、とても都合の悪い国家体制になるからだ。


 レンは、書類の束から一枚の紙を取り出して、手渡した。


『 エリザ=ラインブルー レン国王の第二秘書官に、任命する 』


「え……第2秘書官?」


 母上は、書類とレンの顔を何往復も交互に見ていた。


 驚いていたのだ。


 先程、母上が言っていた、政策は、王政国家としては、優秀で実現すればかなりの発展が見込めるだろう。


 何度も言うが、その政策だとレンが目指す国家体制……『国民が国民の意思で、国家を運営する国家』には、都合が悪い。


「母上……よろしく、お願いしますね?」


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