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232. 勝ち負けのその後

 シオンに王位を移したい、反レン派……いや、シオン派の人間。


 しかし、父親を取り込んだとして、シオンに王位を移すのは、支障があった。


 それは、王位継承権第一位のレン王子の圧倒的な実績と国民からの人気だった。


 十歳の頃から王都に繰り出して街の人と交流を測っていた。それが、言伝に王国内に、「レン王子は、良い人」だと、伝わって行った。


 それに、比例していくほど、レンの国内での人気が高まっていった。


 まるで、偶像崇拝みたいにだ。


 そこに、実績も付いて来た。


 国民の声を聞いてくれる王子な上に、それを実行してくれるのだ。国民の人気が上がらない訳が無い。


 国民の期待は、日に日に膨れ上がって行った。


 レンが、正式に国王に即位する日が来ることを。


 そんな中で、トクヤが、「次期国王は、次男のシオンにする」なんて言えば、国民からの反発は必須だ。


「誰だ、こいつ? レン様、以上のことが出来るのか?」


 殆どの国民が、思うだろう。






 シオン派の人間が、考えた結果は、最悪の計画だった。


 そして、案の定、ハットリ経由で、計画を聞いたレンは、激怒して、それに加担した証拠があるシオンとトクヤの処刑を決めた。


 そこからは、ハットリ家を通じて法相のサヨとやり取りをして、二人の処刑の準備を整え、貴国と同時に、司法は、『二人の死罪は妥当』という判断を下した。


 シオン派が、シオンに権力を握らせるためには、レンを排斥しないといけない。


 そのために、内戦を起こすことを計画していた。


 何事にもそうだが、何かするにしても大義が必要になる。内戦ともなろうと、その大義は、相当なものだ。


 シオン派は、その大義をでっち上げようとしたそうだ。


 アクア国軍基地のTOPであるマテオの妻であるベルに対して性的暴行を加えようとしたのだ。


 その動きを察していたからマテオは、公国には、同行させず、国軍基地の中で、女性的な顔立ちの男の兵士にベルのフリをさせて、マテオの自宅に住まわせた。


 ベルと産まれたばかりの娘、ルビーは、特別許可を出して、国軍基地内での居住を認めた。マテオは、今まで通り家から通って貰った。


 わざと、三日程、基地で働かないといけない用事がある振りをして、基地に行って二日目。


 そして、事は起きた。


 シオン派の人間が、マテオに自宅を襲撃し、ベルに扮した兵士を襲おうとした。


 しかし、ベルだと思った人物は、男だと解った瞬間、逃げようとしたが、そこは、マテオ率いる国軍が、取り囲んでいた。


 実行犯の家族諸共捕らえ、実行した男は、拷問して、大元の犯人を吐かせたうえで、容赦なく処刑した。


 実行する前に、思いとどまっていれば、まだ、命だけは助けた物を……実行したばかりに……拷問の際には、「家族の命だけでも」と叫んでいたが、拷問官には、こう答えるように指示していた。


『家族が大事な、実行しなければよかった事だ。実行した時点で、家族を巻き込む覚悟があったという証拠だ。これは、レン王子の言葉と思って構わない』


 この言葉を聞いた、人間は、絶望した表情になった。


 帰国後は、迅速に動いた。


 帰国したら、シオン派は、確実に父上と接触を測るだろう。


 公国で散々な醜態を晒したが、現状、この国のTOPだ。利用価値は、幾分か、残っている。


 国王である父上に、なんでもいいから反レンの反旗を宣言させて、内戦の開始を宣言させたがった。






「まぁ、父上とシオンは、内戦を企んでいた。……詳しく言うと、僕の事を良く思わない貴族連中がだけど……質の悪い事に、内戦に乗じて、僕に、味方する貴族や、国民を殺そうとしてたんだよね……」

「……だから、お父様に、シオンお兄様を殺すことになったんですか?」

「そうだよ……自分たちの私利私欲で、国民の命を奪おうとしたんだからね?未遂で済んだから良かったものを……実際に、やられてみろ……王国一の黒歴史の完成だよ」


 本当に、未遂で済んで良かった。


 もし、実行に移せば、大惨事になっていた所だ。


「でも、お父様とシオンお兄様は、巻き込まれただけで……」

「これは、僕とシオンの間で、次期国王の座を争った形なんだよ。父上だってシオンは、貴族の話に乗って時点で、僕と権力を争う事になった。そして、王家の人間で、権力闘争になれば、負けた方は、死ななきゃいけないし、勝った方は、容赦なく負けた方を殺さないといけない」


 マホの顔は、どんどん顔面蒼白になっていく。


「王家の人間が、争うという事は、そう言うことだよ? もし、この先、僕とマホが権力を争った場合は、どちらかが、死ぬことになる。そうならない事を願うよ。だから、第一秘書官になって? 僕の秘書官にねれば、マホは、僕側の人間だって、貴族に周知することが出来る」


 王家の人間同士が、権力闘争すれば、勝った方が負けた方を消さないといけない。消さずに残した場合は、機械を伺ってまた反乱を仕掛けて来る可能性があるからだ。


 あの一件以来、反レン派の貴族は、一斉に取り潰した。


「解りました!レンお兄様の第一秘書官になります」

「よろしく」


 握手をして、防音室から出ようとしたら服の袖を握られた。


「どうしたん、マホ?」

「私は、レンお兄様を裏切りません」

「……そっか、嬉しいな! あと、これからは、お兄様じゃなくて兄さんでいいよ?」

「はい!」


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