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225. 王家から

「レンくんは、私と色んな所に行きたいの?」


 マナは、何か、意外な事を聞いたという表情で尋ねて来た。


「そりゃ、行きたいよ。外遊に行った、公国だって、帝国だって、マナと一緒に、散策したかったし……王国内でも色んな所に、マナと二人で行きたい。ずっと、考えているよ」

「そうなんだ、意外……」

「マナは、僕の事どう見えてんの……」


 マナが、レンの事をどう見ているか……さっきのマナの言い方で興味が湧いた。


「う~~んと、特技が仕事、趣味が国家改革の仕事人間?」

「……おいコラ!」

「私もです、レンお兄様!」

「……おいコラ!」


 婚約者に、妹さん……二人には、レンの事がまるで、仕事星人に見えているかのような言い方を……


「何、二人にとって僕は、仕事星人に見える――」

「――あぁ、それいいかも!」

「ですね、マナ姉さん!」


 言葉が出ない。


 二人にとって僕は、仕事星人にしか見えないのか……確かに、これまでは、国民が自由に生活できるように、政治をしてきた。


 一昨日、久しぶりに、街に出た見た光景は、感激したのはもちろんだが、それは、二割にすぎない……。


 残りは、『羨ましい』だ。


 政策のお陰もあり、国内の食糧問題が解決され、国民の生活に余裕が生まれた瞬間、国民は生き生きと自由を謳歌しているように思えた。


 それが、羨ましい。


 国民のためを思って、政治をしていたら、国民が、自由を謳歌する一方で、自分が自由を享受できない事が……悔しくて、仕方なかった。


 レンの夢は、自由になる事。


 現状、王家の血を引く人間は、仕事を自由に選ぶことは出来ない。


 男は、政治に関わり、同僚から枕詞に「王家なのに……」と言われて結果を求められる。あんたら、国民みたいに、仕事が選べるわけではないのに。

 もちろん、仕事が選べないにしても、やるべき仕事は、するべきだと思う。だが、枕詞に、「王家なのに……」と言われ続けていれば、精神に異常を来たしてもおかしくない。


 女は、国内・国外の要人との政略結婚を待つ運命だ。


 長年、そういう慣習だと、現在の貴族の七割以上は、女系の遠戚関係だ。


 嫁いだとして、自由が保障されるわけではない。


 王家の人間を嫁に迎えるという事は、貴族家も丁重に扱わなければいけなくなる。


 夫との様々な相性が良ければ、幸せな結婚生活を送る事が出来るだろう。そして、貴族家も、嫁の実家である王家には、「夫婦関係は、順調」と決まり文句で報告してくるそうだ。


 しかし、ハットリ家の存在を貴族家は知らない。


 この報告を不審に思ったレンは、リーヴァンに調べさせた。ハットリ家なら、過去、王家から貴族家に嫁いだ人間のその後を知っているだろうから。


 リーヴァンは、一日で調査報告を上げてきた。


 そこに記されたのは、目に負えなかった。


 結婚後、実家である王家に重んじて、子どもは作る。しかし、その後は、住まいで、のんびり暮らさせて、自分は、住まいの中で働いているメイドや使用人と関係を不義な関係を持っていた。


 避妊技術が発展していないこの世界において、関係を持つ=子どもを作る覚悟 と言ってもいい。


 だから、レンは、マナが了承していたとしても、正式な婚約発表までは、我慢するつもりでいる。


立った一時の性欲で、相手の人生を自分に束縛したくないのと、ついでに、王国の未来が決定されることを避けたいのだ。


 しかし、ハットリ家からの報告で、記されている男どもは、関係を持つ=子どもを作る覚悟 なんて、考えていない。


 ただ、目障りな王家の嫁と子ども(男児)を一人作り、その子を次期当主として育てる事を、嫁に任せ、自分は、性欲の赴くままに、関係を持ち続ける。


 避妊技術が発展していないんだから、関係を持ち続ければ、女は、妊娠してしまう。


 妊娠したら、男は、ほとんどの場合、関係を断っている。


 稀に、浮気相手の妊娠発覚で、頭が冷静になったのだろう、王家から嫁いできた嫁に土下座して謝罪して許しを得て、子どもを養うパターンもごく僅かだがあるみたいだ。

 その場合は、完全に妻が実権を握っているそうだ。


 そう言えば、貴族訪問の際に、二つの貴族領は、領主である夫でなく、妻が訪問を取り仕切っている所があった。それは、この構図だったと、報告を受けて納得した。


 後者は、まだ、マシなほうだ。


 不貞を働いてできた子どもをしっかりと家で、育てているのだから。


 だが、前者になると……悲惨の一言に過ぎる。王国の孤児問題の大きな要因になっている。


 メイドや使用人は、領主から関係を迫られたら、拒めないだろう。


 クビになれば、生活が出来なくなるのだから。夫が、いたとしても、領主という事もあり、夫の仕事に影響が出る可能性だってある。


 だが、妊娠が発覚した途端に、領主からは捨てられる。


 夫がいるメイドや使用人は、夫に相談して、夫が受け入れれば……お腹の子は、孤児にならなくて済む。しかし、夫が、妻の浮気に激怒し、追い出した時は、地獄だ。


 独身で妊娠させられた者・妻の浮気に激怒して追い出された者……この二パターンは、母子ともに悲惨な結果だ。


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