222. 政治体制
休養日三日目。
年末前に設けた三日間の休養日は、今日が最終日。
約束通り、マホに勉強を教える事になった。
マホ自身は、レンとマナと遊びたかったみたいだが、それは、昨日、思う存分遊んだ。
今日は、何をするかを相談した結果、本来の予定通り勉強する事にした。
マホに学びたい事を聞いた。
「レンお兄様が、今の私に必要だと思う事を教えてください」
レンは、どんなお話をしようか、考えた。
昨晩、寝る前に、お部屋で、マナと話した。
「マホちゃんは、レンくんを裏切らないと思うから、正直に、レンくんのしたい政治を話してみては」
だから、マナも図書館の防音が完備した部屋に入った。
盗聴器は無い事は、入る前に確認済みだ。
「問題です。一国の政治体制は、どんな物があるでしょう? ここでの政治体制は、支配体制の意味で」
レンが出した問題は、一国の政治体制の問題だ。
この世界においては、政治体制=支配体制とも言える。
「周辺国だと……王族が支配する王政政治。皇帝が支配する皇帝政治。大公が支配する大公政治。……ですか?」
「正解! では、この三つの共通点は?」
この三つには、一つの共通点がある。
「……なに?王政は、国王が支配……皇帝政治は皇帝が……」
「それらの国のトップは、どうやって決める?」
ここまで、言ったら頭の良いマホのことだから理解したのだろう。
「えっと、一族が世襲でトップを交代しています?」
最後が疑問を含んだ言い回しになっていた姿が可愛いと思った。
もちろん、妹としてね。
「正解! 国王だろうが、皇帝だろうが、大公だろうが、所詮は、一族が政治の実権を世襲し続けてんの。名前を王国だろうが、公国だろうが、帝国だろうが、一国の支配システムは、変わらない。変わっているのは、支配する人間の立場が変わっているだけ」
マホは、いつも通り、レンの言うことをメモしている。
こうも言った事を素直にメモしていると嬉しい気持ちになると言うものだ。
「この各国の政治体制を記した本があります」
この本は、昨日、マナがレンに振り下ろそうとした本だ。
レンも王政に関わる前の図書館通いの時に、この本は、読んでいる。
「僕も、この本読んだことあるけど、マホは?」
「私も読んだことあるよ?」
「感想は?」
「えっと……他国も色んな政治体制があるんだなぁ~~って思いました」
そう言いながら、マホは、勉強した箇所のノートを見せて来た。
「そっか……僕はねぇ……この本は、勉強のやりがいは、無いなぁ~~って思ったね。だって、三つの支配体制は、支配者の立場が違うだけで、ほとんど同じ。ここに書いてある内容は、文言を変えているだけでほとんど同じ内容なんだよね……」
レンの言った事に対して、ポカンとしている。
「レンお兄様、その本、また読んでみます!」
マホなりに、違う目線でこの本を読もうと思ったんだろう。
「では、更に、問題です」
「はい!」
マホは、前のめりに、問題を聞いて来た。
何かしらのスイッチが入ったようだ。
「一国の国民の中で、政治が出来る可能性を持っている人物はどれ位いるでしょう?」
マホは、メモ帳の他に過去の勉強ノートを引っ張り出して答えを探している。
「え~~と、ヒント!」
「ヒントはナシ。言ったらそれが、正解になるから」
ヒントを貰えなかったマホは、プクーとしながら考える。
しかし、答えには辿り着けなかったようだ。
「ギブアップです。答えをお願いします……」
マナは、降参してきた。
「正解は、全国民です」
「「えっ??」」
レンの答えに、マナも驚いていた。
「何で、マナも驚いてんの? マナの答えは?」
「えっと、政治家だけだと……」
「いや、それは、政治家っていう仕事の名前じゃん!」
意外な所で、天然を発揮してきたマナ。
この後に、お仕置きしておこう。
「でもね……何で、街に居る人達は政治が出来ないかって言うと……そういう教育を受けていないから」
二人は、最初は、ポカンとしていたが、マナは、納得した。
「なるほどねぇ~~レンくんが、教育改革を断行した理由解ったよ」
「えっ、何ですか?」
マホは、マナに理由を尋ねている
「一国の政治を動かすには、かなりの知識量が居る事が大前提でしょ?だから、マホちゃんも頑張ってお勉強しているでしょ?」
「うん」
「これまではね、学校に通えるのは、王族と貴族に任命された国民だけ……つまりは、一般国民が教育を受けようと思えば、王家に認められないといけなかった。だけど、それには、大きなデメリットがある」
マナの説明を必死にメモしている。
心なしか、レンの時よりも必死にメモしている気がするが……気のせいか?
「最大のデメリット……それは、政治家としての才能をもった人物が、教育を受けられない事。つまり、貴重な人材を獲り逃している……あってる?」
マナが、説明を終えた後に、こちらを向いて来る。
僕が、問題を出した手前そうか。
「う~~んとねぇ~~八十%は、正解だけど……二十%は外れだねぇ~~ただ、流石、僕の第一秘書官だね。意図を理解してくれていて嬉しいよ」
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