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206. 正当

「マナ。ちょっと来て」


 レンは、マホに背中を摩られて涙を堪えていたマナを呼び出した。


 マホは、少しマナの事を心配したが、「大丈夫」と一言告げてレンの隣に移動した。


 レンは、マナが隣に移動して来たの確認すると食堂を後にした。


「さっきは、ごめん。怒鳴って……」

「うぅん。私も、気持ちばかり先走ってしまって……」

「まぁ~~僕も、気持ちを曖昧にしていた所はあるから」


 レンは、とある場所に向かっていた。


 そこは、歴代の国王が、身に付けていた装飾品が保管してある部屋にやってきた。


「おい、俺は、視線とかで解るぞ。ハットリ家の忍び。今から一時間俺の警護の任から解く。隠れて見ていても解るからな?」


 レンは、数分止まってハットリ家の気配が無い事を確認すると、部屋に入って行った。


「マナに話したい事があってさぁ」

「うん」


 マナは、大事な話だと実感していた。


 徹底した人払いをしていたのだから、大事な話があるという事が解った。


「マナは、僕の事どう思ってる?」


 レンからの質問。


 はぐらかしてはいけない。しっかりと答えないと、今後のレンとの関係に響く可能性が高い。


「私は、レンくんの事が大好き。もちろん、異性として」


 マナの気持ちを聞いたレンは、心を決めないといけないと判断した。


 マナが、自分に強い好意を向けて来てくれている事は解る。


 だからこそ、自分もしっかりと伝えなといけない。自分自身の想いと二人の関係性を発展させるにしても枷になっている事を伝えないといけない。


「マナ。僕も好きだよ。マナの事」


 レンの気持ちを聞いたマナは、嬉しそうな表情を見せていたが、続くレンの言葉に、動揺してしまう。


「でも、マナと今の僕の身分差では、お付き合いするにしても枷が出来てしまう」


 身分差。


 レンが、一番嫌いな理由で、マナとの交際に一歩踏み出せないのか。


 何故だろうか。


 レンくんは、身分差を気にしない人だと思っていた。


「私は、レンくんより身分は下だけど、レンくんへの想いは――」


 マナは、レンへの想いを言い出した。


 例え、自分がレンより身分が下だとしてもレンを想う気持ちは誰にも負けない事を伝えるために。


「違う。僕の方が、マナより身分が低いんだよ」


 レンの言った事に、マナの頭の中は、滅茶苦茶になった。


 レンは、国王で、マナは、平民だ。


 明らかに、身分はレンの方が上なのに、マナが上で、レンが下。


「どういうこと?」

「大分前に、別邸で、マホとエリザの前でした二代目の話、覚えてる?」

「うん。お覚えてる」


 前、エリさ・マナ・マホの前で話した二代目国王様の手記の内容。


 初代様の政策が上手く行かず内乱が起きかけ、その責任を重く受け止めた初代様は、秘密裏に王位を自身の血族とは、別の血族……当時のナンバー二の血族へと移譲していた話。


「付いて来て」


 レンは、マナを連れて部屋の一番奥に置かれている、初代様が身に付けていた装飾品の場所へやって来た。


「これは……」

「そう。初代様が身に付けていた装飾品だね」


 マナは、見るのは二回目だろうか。


 国王への即位お披露目の式典以来なので、記憶に新しいはずだ。


 レンは、初代様の装飾品の前に移動して触ろうとした。


「このケースは、僕や僕と同じ二代目の血を引いているマホが触れば――イタぁい……」

「大丈夫??」


 レンは、ショーケースを触ろうとした。


 すると、ショーケースから電撃が放たれて、レンは触れなかった。


 痺れた手を摩っているとマナが、心配して近寄って来た。


「はははっ、噂で聞いていたように、めっちゃ痛いね」

「本当に、大丈夫?」


 マナは、本当に心配してくれている。


 優しい女の子だなぁ。


「ご覧の通り、このショーケースに触ろうものなら、電撃が放たれるので、一切、触れません」

「それは、知っているけど……」

「実は、これにはカラクリがありまして……」


 そう、このショーケースにはカラクリがある。


「カラクリ?」

「そうカラクリが、あるのです!」


 レンは、元気よく説明を始めた。


「……マナ。その、ショーケースに触ってみて」


 一転、レンは、元気なくマナに初代様の触るように促した。


 マナは、怯えた表情になった。


 それもそうだ。自分の想い人が触って、電撃を浴びていたのだ。恐怖とういう感情は、どうしても芽生えてしまう。


「大丈夫。マナには、電撃が来ないから」

「えっ……」


 マナは、恐る恐るだ。


 想い人のレンが「大丈夫」と言っているから思い切って触ってみることにした。


 恐る恐る、ショーケースに触れる。


 レンを弾き飛ばす程の電撃が、自分に来る事を警戒して触ってみる。






 ショーケースに触れた。






 しかし、電撃が来ない。


 マナは、不思議に思った。


 何故、自分には電撃が来ないのかが不思議だった。


「えっ、私には電撃が来ない……」

「そっ! それが、カラクリなんだよね」


 レンが、電撃で触れなくて、私が触れた事がカラクリ……どういう事。


 すると、レンが膝をついてマナの事を見上げた。


 突然の出来事に、マナは、驚き、慌てる。


「この何百年間、お待ちしておりました。ラインブルー王国の正当な王家の末裔











……マナ=ラインブルー様」


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