200. 孤児院
「次、どこ行く?」
定食屋さんを後にしたレンとマナは、手を繋ぎながら街を歩いている。歩きながら次の行き先をマナが、尋ねている。
「約束の時間まで、まだあるかなぁ~~」
今日のデートでは、唯一、二人で行きたいと思っている場所があり、今回は、しっかりとアポイントを取って訪問する事になっている。
街をぶらぶら歩いていると、服屋があった。
「服屋さん寄る?」
「うん♪」
本当に、今日のマナは、非常にご機嫌だ。
レンは、久しぶりにお休みでテンションが上がっている物だと思っている。けど、マナは、想いを寄せているレンと二人きりというのは、大分、久しぶりなのだ。
服屋さんに入ると、店員さんの元気な「いらっしゃいませ~~!」という声が、響いた。そして、案の定、その後に、「こ、国王様~~??!!」と、驚いて、腰を抜かしていた。
本当に、つい数か月前までは、何度も街に顔を出していたのに、こんなに驚かれるものかね。
「数か月前までは、よく、街に顔を出していたじゃん?」
「いや……国王様に即位されたので、もう以前のようには来られないかと思っていまして……」
うん。確かにそうだ。一国の国王が、護衛を付けずに街を出歩くなんて、異常な光景だ。まぁ、一般人には、バレない方法で、ハットリ家の人間が、警護に当たっているのだけど。
今だって、服屋さんに、数分遅れで入って来たカップルも、ハットリ家の人間だ。定食屋さんでも、別のハットリ家の人間が、しれっと定食屋さんに、入っていた。
入れ替わり立ち代わり、本当に起用に、警護をされている。
もし、ハットリ家の人間に用事があって呼ぶ際には、また、別の人間が、用件を聞きに来るのだろう。
服屋さんには、男物も女物の服もあるので、二人でぶらぶらと見て回った。
正直、デートといえる物なのか……王族の資産や地位を目的に近づいて来る異性に関しては、物足りなさを感じるだろうが、レンとマナは、これで十分だ。
デートは、相手の事を知る事が定義なら、二人にとってこれで十分なのだ。
「これなんて、マナに似合うんじゃないかな?」
マナに似合うと思った、青色のロングスカート。
過去、レンの資産や地位を求める人間は、やたらと胸元をアピールした服装ややたらと太ももをアピールして来た服装で近づいて来た。
けど、レンは、マナ以外の女の子には興味が無いので、適当にあしらっていた。
「私は、レンくんには、これが似合うと思うけど?」
マナも、レンに似合うと思った、水色の羽織を持って来た。
お互い、考えている事は、同じなんだろう。
公務の際には、決められた服装があるので、それをメインに着るので、今から買う服は、普段着としては使えない。
けど、お互いのメッセージは込められている。
次のデートでは、この服を着て欲しいというメッセージだ。
そして、二人とも考えている事は同じだ。
「「じゃ、これ買おうか!!」」
お互いが、選んだ服なら大丈夫。
お互いの信頼関係がなせる業だ。
試着をせずに、購入を決めてお会計を済ませる。紙袋に入れて貰った後に、お互いが、選んだ服を交換した。
片方の手で、マナと手を繋ぎ、もう片方の手で、紙袋を持って目的の場所に向かって行く。約束の時間が、近づいている。
「じゃ、向かおうか!」
「うん!」
レンは、貧民街?に入って行く。
数か月前までは、本当に荒れに荒れていたが、しばらく見ないうちに、大分綺麗になっている。もう、貧民街とは言えない程に、綺麗になっている。
「めっちゃ、綺麗になっているやん……すげぇ~~」
「これも、レンくんのお陰だね~~」
自分のお陰かは、よく解らない。
レンにとって、街が綺麗になった事は、街の人が頑張った結果だと思うので、自分自身に功績があるとは、思っていないのだ。
「あっ、王子様だぁ~~!!」
「マナねぇちゃんもいる!!」
子どもの声が、響く。
子どもは、純粋だ。
自分が、国王になっても呼び慣れた、王子と呼んでくれている。可愛らしい物だ。
今日のデートの目的は、以前、マナが過ごしていた孤児院に来ることだ。孤児院も、以前とは比べ物にならない程、綺麗になっている。
話によると、一カ月前に、改修工事が入ったようだ。
「あっ、レン様。お久しぶりです! 子ども達共々お待ちしておりました。 マナも、おかえり」
「ただいま。施設長」
マナも久しぶりの、孤児院だ。
秘書官になってからは、最初は、孤児院からの通いだったが、マナの安全面や子ども達の安全面を考慮して王城に引っ越した。
そこかた、色々あったので、マナにとっても久しぶりの里帰りだ。孤児院の施設長と抱擁して話し合っている。
「んじゃ!皆、遊ぼうか!」
「「「わぁ~~い!!!」」」
子ども達は、レンの周りに群がって施設の中に案内していく。後ろに、施設長と共に、後ろをついて施設に入った。
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