20. うつけの見習い仕事①!
ココノエ子爵家の屋敷に用意された,レンの宿泊部屋からコノハのお説教の声がやんだ時…
コン♪コン♪
ドアが,ノックされマナが入って来た。
「コノハさん?終わった…??」
「一応は…はぁ~こんなうつけの主人になるなんて…失敗したかも…」
「あぁ~コノハ!今,僕のことうつけと言った!!罰してやる~!お尻ペンペンの刑だぁ~!」
「レンくん……年頃の女の子に何するつもりなの…」
「いや…マナ…これは,違くて…」
「それに…無断外出したレンくんが,悪いんでしょ??」
「うっ…確かにそう…ってか!マナ!一緒に,外出できなかったのそんなに寂しかったの…?」
「………そうではない……はず」
「少し…間があったよね!!??一緒に行きたかったんだ~~」
パシン!!
ハリセンが頭を叩く音が,部屋中に響く。
「痛い…コノハ…何するのさぁ~~」
「マナさんが,困った顔してます」
「…コノハ,わかってないなぁ~このマナの顔は,照れているんだよ!耳触った時と同じじゃん!」
僕は,ここでマナの耳を触る。
「イヤン!」
マナは,顔を赤らめて抗議の目線を送っている。
「コノハちゃん…ハリセンかして…」
コノハから,ハリセンを受けとると…
パシン!!!!
先ほど,よりも大きい音が響いた。
「マナ様…コノハ様…この度は,すみませんでした……」
二人に完敗した…レンであった…
そんな,やり取りを終えると,僕は仕事に取り掛かる。
今は,ココノエ子爵家の当主のドリスと領地の政について,話し合う。
「ドリス殿…報告書拝見させて頂きました…内容は,真のことで間違いないですね??」
「はい!間違いないです!今年も,王家に収める年貢も用意出来ています!」
「そして,他の貴族家に売り払って個人資産にする分も,民から巻き上げていると…?」
僕の,一言に一瞬だが,ドリスは顔を顰めた。鎌をかけただけだがどうやら黒みたいだ…
「ドリス殿…?表情が冴えないようですが?報告書に,何か不備がありましたか?」
「いえ!偽りの無い…報告書でございます…」
「ふ~ん…マナ~!」
「なんでしょうか?レン様?」
「この報告書…ハットリ家の人たちに調べるように言っといて!」
「かしこまりました」
マナに,報告書を渡してドリスの顔を見る。
「レン王子…これからのお話に,報告書が無いのは…」
「あぁ~あの報告書?覚えたよ笑」
「おっ覚えたとは…??」
「たっっくさん!!あるんだよねぇ~!今回,ココノエ子爵家が提出してきたような報告書!書式に~!年貢の数字にねぇ~!同じ奴が何枚も~!王城の公文書保管する施設に!同じ奴何枚も見たからさぁ~覚えたんだよね~笑」
「そっそれは…」
「ちなみに…この前公開処刑された不正貴族の~~……名前なんでしたっけ?あの貴族も同じ様な,報告書毎年,毎年提出していたんですよね~ウフフ笑」
ドリスは……わかりやすく,顔面蒼白な表情を見せている。さらに,追い打ちを掛ける。
「この前…その不正貴族の屋敷を家宅捜索したら…屋敷内に大量の食糧や私財があって…さぞ,領民も豊かな暮らししているんだろうな~って思ったけど…実際は,貧困に喘いでいたんだよね…」
僕は,答えを求める。
「正直に,話しなよ…今回の訪問は,謁見だけで済むと思ってるの?あんたのお仲間から報告来てないの?領内の見学に…屋敷内の倉庫を見たりしますよ??」
「お時間頂けませんか…」
「無理!時間与えたら…不正を隠したり…お仲間に報告するでしょ?『レン第一王子が感づいている!』って!」
「そこを…何とか…」
「何の時間が欲しいのか言ってよ…??ちなみに…午前中…君の領内の街の様子…見てきたけどさぁ~領民…大分苦しそうな生活してる様に見えたけど…何かの間違いかな??これだけの,年貢収めることが出来て~あなた達ココノエ子爵家も裕福な生活が出来ているのに…領民は苦しい生活…おかしいよね??」
「そっそれは!領土を治める者として当然の権利であって…」
「当然?領民に食わせて貰るのが…当然だと?自分たちが食うためなら…領民は苦しめばいい…そういうことでいいのかな?」
「それは,貴族家と平民で…」
「王国は,身分差別を禁じています…今のあなたの発言は看過できませんね…」
「言葉を間違えたのは謝ります…けど,領主は,領民の手本になるべきであって…!」
ここで,僕は目の前にあった机を部屋の扉方面に投げ倒す…机の上に乗っていた紅茶のカップなどが音を立てて割れる…
「確かに…領主は,領民の手本になるべきですね…」
「そうでしょう!」
「でもね…話逸らさないでくださいよ…」
「話を逸らすとは??」
「領民が苦しい生活をしているのに,お前たちは裕福な暮らし?ふざけるな!領主が領民の手本となるべきだっていったよな!!なら!……領民が苦しい生活をしているなら…お前ら領主は,同じく節制した生活をして…困っている領民を支援するのが…手本となるべき領主としての姿だろうが……お前みたいな奴が領主論なんて語るな…それにさぁ…今…領民が苦しんでいるのは…お前らの仕業による人為的なものだ……」
僕は,ここで選択させる。
「今,ここで正直に話すか?黙って,一家ごと消滅するか?どっちかだよ…言ったよね僕…民を苦しめる連中に容赦しないって……??」




