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2.うつけのスカウト①!

  今日は、王立スカイ貴族学校の卒業式。この世界では、十二歳になると貴族階級以上は貴族学校に入学して三年間『礼儀作法』等々を学ぶ。


 正直言って、つまらない授業をよく三年間受けたなと思った。授業内容は、貴族としての作法や身分制度の歴史など……既に、父上が用意した教育係から教わった内容と全て同じだったし、講師方は、王族であるレンに、気を遣うし、恩を売ろうとするし。

 同級生には、実家から『王族に気に入られろ!』と命令されたのであろう、貴族の子どもから毎日・毎日『仲良くなろうよ!』の誘い。


 学校長に、相談しようにも下手に相談出来ない。王族であるレンが相談すれば、学園長は『相談=命令』と捉えられる恐れ……いや、確実に命令と捉えられるからだ。


 それほどまでに、学校内でのレンという一人の男の子の存在は、大きい物であり、浮いている存在なのだ。

 どれ位かと言うと……レンは、試しに貴族の作法テストであえて、無礼な作法で挑んでみた。普通なら、順位は最下位でもおかしくない態度で。


 結果は、主席だった。あからさまな、王族に下駄を履かせている評価だ。

 

 はっきり言って、この学校の存在意義なんて無い。貴族や王族の礼儀作法なんて王家の教育係から耳が痛くなるほど聞いた。

 それに、貴族なら家内でそう言った教育は終わらしているはずだ。


 じゃ、この貴族学校が存在する意味はなんだ??

 簡単だ、この世界では十五歳で成人となり貴族は貴族社会に入っていく。つまりは、貴族同士の交流の場を国民の血税を使ってやっているということだ。


 卒業時の順位?そりゃ、王族のレンは下駄をはかせて、主席卒業だよ。












 レンは、卒業式が終わった後の夜会は欠席しマナの居る孤児院に足を運んだ。


「あぁ~王子様だ!マナ姉ちゃん!王子様きたよぉ~~!!」

「レンくん!ようこそ!それと、卒業おめでと!」

「ありがと~!皆、今日も沢山遊ぼうね!」

「うん!」


 子ども達と一時間程度遊んだあと、レンはマナと一緒に施設長の部屋に行き、ずっと考えていたことを話に行った。


「施設長さん!これまで、孤児達の面倒を見てくれてありがとうございます!王族を代表して感謝申し上げます!」


 レンは、頭を下げてお礼を言う。


「王子!頭を上げてください!当たり前のことをしているだけです!それに、王子から沢山支援して頂いてます!感謝を述べないといけないのは私たちの方です!」

「これからも、孤児達の面倒お願いします!それと、今日は一つお願いがあってここに来ました…」

「はい……それは、ここに居るマナも関係あるのでしょうか?」

「……はい」


 王族は、成人して国家運営に関わりだすタイミングで()()()()()貴族家から秘書を任命して国家運営に携わる。貴族学校でも、色んな貴族たちが、レンに取り入ろうとしてきた。


「レンは、貴族学校を卒業して来月から父上の元で王位継承のための修行を行います…」

「……確か、侯爵以上の貴族から秘書官を任命するんでしょ?」


 マナが、尋ねてきた。


「それは、一つ違う所あるよ!秘書官に任命するのに爵位とかは関係ないの!あくまで、侯爵以上を推奨しているだけであって、能力があるならその限りではないんだよ!」

「それと、マナはどういった関係が?」

「施設長さん…マナを僕の秘書官として迎えたいと思っています!本日はその打診に来ました」

「えっ?!マナを?」

「はい……一応、マナには施設長の養子になって頂いた上で、僕の秘書官として勤めて頂ければと思っています」

「なるほど……私としてはそれでもいいですが…マナの意思もあります…ここを貸しますので二人で話してください」

「ありがとうございます」


 施設長は、そう言うと部屋を出て施設長が座っていた席にマナが座り話を進める。


「レンくん……ビックリしたよ!急に秘書官になって欲しいなんて」

「急でごめんね?この情報は、絶対に流出させたく無かったから言わなかったの」

「でもさぁ~何で私なの?貴族の中からじゃダメなの?」

「この国の貴族は、ほとんどが腐ってる……僕が欲しいのは、家柄の良い秘書官でもイエスマンな秘書官じゃないんだよ~」

「どんな秘書官なの?」

「マナのように、身分を気にせず良いことは良い・悪いことは悪いと言ってくれる秘書官が欲しいの!」

「それなら…私以外でも…」

「待って!僕は、マナがいいんだよ!!あの時、マナと出会えたのは奇跡だと思った!まだ、十歳なのに自分より小さい子どもを身を挺して守ろうとするマナを見て、マナとなら、この腐りきった国を変えられると思った!!」

「私も、最初は王族の人間は表では、良い顔してるけど、裏では酷いことしているんだろうなと思ってた……でも、子ども達と遊ぶレンくんを見てこの人なら国を変えてくれると思ったよ!!けど身分の差があるしやっぱり……」


 やはり、身分の差が気になるみたいだ…


「確かに、身分の違いで色々言ってくる貴族連中が居るかもねぇ~でも、僕が守るから!それに、激務な中、癒しの存在が身近に欲しい!」


 すると、マナは頬を赤く、耳はイカ耳になっている。


「レンくん……後半が本音でしょ?」

「バレたか!それで、秘書官になってくれる??」

「わかった!!レンくんなら私が納得するまで私を誘いそうだし……私を守ってね!王子様!!」


 マナは、可愛い笑顔で応えてくれる。


「あ!もう一つ!秘書官は、もう一人、任命する予定でね」

「誰?貴族?」

「まぁ~一応貴族かな?前、一度会ったことあると思おうけど、リーナ=オノフェスを任命しようと思ってる」

「あぁ~オノフェス男爵家の三女!あの人、いい人だよね!子ども達とも一瞬で仲良くなってたし!反対しないよ!」


「じゃ、明日誘いに行くから一緒に行かない?明日伺うことは、もう書簡で送ってるから!」

「わかった!秘書官としての初仕事ね!」












 マナと明日の約束を取り付け城に帰ると玄関にて母上が怒りの形相で待っていた……あれ?なんかやらかしたかな?


「レン!?あなた、卒業式後の夜会に参加しなかったみたいじゃない!!どういうつもり??王族としてやっていく上で貴族との付き合いは大事なんだからね!」

「母上…貴族学校に通ってる貴族連中は国の為に働いていると…?」

「勿論じゃない…!」

「話になりませんね…」


 レンは、つい本音を漏らしてしまった。そこから、母上のお部屋で二時間以上のお説教と貴族に関しての勉強を叩き込まれたとさ!


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