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191. 模造品

「ラインブルー王国……第百代国王……レン=ラインブルーが部屋に入ってきます」


 司会を務めているリーナの言葉で、非常に動きにくい国王の装飾を身に付けて、大広間に入って行く。


 今日は、正式に国王に就任した事を国内・国外に向けて正式にお披露目する場なのだ。隣には、もちろんマナが居る。

 秘書官に、成りたての頃は、式典の度に遠慮して遠くに居ようとしていたが、今では、積極的に隣に立っている。


「ねぇ~~これ、動きにくい。もっと、カジュアルなので、良くない?」

「それは、同意見……非常に動きにくい……」


 マナも、王妃級の装飾を施している。


 犯人は、エリザだ。


 どうせ、本番でも隣に立たせるんだから対外的にも、マナちゃんも王妃級のおしゃれは必要だと押し切られてしまったのだ。


 エリザは、「偶然、私が、持っていた物」と言っていたが、絶対に違うと思う。


マナとエリザは、身長は同じ位だが、胸に関しては、マナの方が断然に大きい。言ったら、エリザのお説教コース確定だが、エリザサイズの服が、マナに入る訳無いのだ。


つまりは、こうなる事を見越して、自身のポケットマネーで作らせていたのだろう。国庫から出ていたならあれこれ理由を付けれただろうが、自身のお金で作ったとなったら断れない。


 しかし、この衣装は、少しばかり問題がある。


 胸元の露出が、少しばかり多い気がする。大事な部分は、しっかりと隠れているが、上乳部分は、完全に露出している。


 マナも恥ずかしそうにしているし、このまま、表舞台に出してはいけないと判断して、コノハに、上に羽織る物を持って来させて上から羽織らせて胸元を隠した。


「レンくん。ありがと」


 マナから、お礼を言われて、レンは、心中で嬉しく思う。


 二人で、大広間を歩き国王の台座に移動していると前方で見ていた、エリザは、「何、隠してやがる」と目線で抗議してくるが、「マナが嫌がったんだ!」と目線で返答しておいた。


 台座に移動すると、国王の場所にレンが座ると、マナはレンの左後ろに移動しようとすると、手を掴んで制して、過去に、エリザが座っていた所に座るように指差す。

 マナは、一瞬あたふたしていたが、この場では、素直に座った方がいいと瞬時に判断して、レンの隣に、空いている台座に座った。


 二人が座るとエリザが、前方に移動してアナウンスする。


「この度、故第九十九代ラインブルー王国国王に代わり、第百代目国王に即位するレン=ラインブルーのお披露目に急な招聘にも関わらずお集まり頂き、ありがとうございます!」


 改めて実感する。弱冠十五歳で、一国のトップになったという事に。ラインブルー王国の歴史上、これまでの最年少は、第八十七代目の際に、前任が、病死した際に二十八歳で国王に即位した事だった。

 王国の歴史で、十三歳も更新する史上最年少でのラインブルー王国への即位となった。


「では、レン様に、ご挨拶頂きます」


 レンは、台座から立ち上がると目の前に移動する。同時に、警備の兵士が、警戒態勢を取る。王子時代もそうだったが、王位に即位した瞬間から兵士の警備のレベルが上がった気がする。


「初めまして――――


――― 第百代 ラインブルー王国国王 レン=ラインブルー」


 挨拶を終えると、台座に座った。


 その後は、王冠の授与だったりと、色んな即位に関する儀式をこなしていった。


 本来の式典なら他国の要人も呼び、丸三日程掛けて行われる。しかし、「そんな金は、王国にはねぇ!」とレンが、担当大臣に、「本当の、本当に、必要な式典だけやれ!」と命じて、提出された式典リストの九五%以上は、開催を拒否した。

 更に、この式典は、王族が主催すればいいと判断して、この大臣職は、常置大臣職から臨時大臣職に格下げした。「常設しなきゃいけない程、何度も何度も国王が変わって溜まるか!」これが、本音だ。











 式典自体は、国民に向けての挨拶に、国王の装飾品の授与だけを行い終了した。


「なぁ、国王の装飾品うっぱらって資金確保できんかなぁ?」

「確かに! 国王所縁の品を売れば、国家予算三年……いや、上手く交渉したら十年分の資金は、確保出来るかと……」


 レンとマナは、真面目な表情で国王が歴代で継承してきた品々の他国への売却を検討していた。しかし、後ろに歩いていた、エリザは、慌てて止めに入る。


「二人とも! それだけは、本当に止めて!」

「えぇ~~でも、王冠なんて、毎日被る物では無いんだし……維持費だけで、年間かなりの金額かけてるしなぁ~~」

「それに、レンくん。即位時に、作成される国王のマントを作らなかったよね?」


 王国は、代替わりするタイミングで、その人専用のマントを作成している。そのマントの作成に王国の月間予算の三カ月分は、使うのだ。


 レンは、作成を拒否した上で、先代トクヤのマントを他国に売却した。一応は、歴代の国王のマントの売却交渉を進めている。初代が纏っていたというマントは、売却の対象外にしている。

 この行為自体、エリザは、かなりお怒りだったが、徹底論争の末に、論破して黙らした。


「正直、ラインブルー王国にとって……初代国王様が、身に付けた装飾品以外は、模造品だよ?」


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