表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

190/350

190. 無理は禁物

「時間的に、エリザ様とお話を終えたら、食堂に来ると思って……」


 レンくんが、エリザ様と共に、食堂に来ていない。そして、三日間で、二週間分の公務を終わらせる気でいるレンくん。


 考えられる事は、一つだ。


 晩御飯を食べずに、仕事をしていると言う事だ。


 レンくんの専属メイドであるコノハ (今は、メイド仕事の殆どをマナが奪っている) が、言っていた。レンくんは、放っておけば、ご飯を食べることを忘れて、仕事に励むと。

 王城に越してくるまでは、私が帰宅後に、一人で仕事をしていたという。


 私が、王城に越してきてからは、どうしても忙しい時以外、夜間に一人で、仕事をしなくなったので、彼の健康面的に安心していた。


 けど、また、その傾向が出始めている。


 私は、急いで、食堂を後にして、レンくんの執務室に向かう。


「リーナは、おばちゃんに、レンくん用の軽食を作って貰って」

「はいはい。お熱いね~~」






 レンくんの執務室の前に、到着した。


 扉の隙間から、光は漏れていないので、普通の人なら、ここに居ないと判断するだろう。しかし、レンくんが夜中に一人で仕事する際のスタイルを知っている私にとって、確信できた。


 レンくんは、ここに居ると。


 私は、扉をノックすると、レンくんの返答を聞かずに部屋に入る。


「レンくん。入るね」


 中を見て予想通りだった。


 レンくんは、執務室の自身の机に置いてあるライトで、机上の一点を照らして、公務をしていた。


「その声は、マナ?」


 私は、執務室の明かりのスイッチを押して部屋全体を明るくして、レンくんの隣に移動して後ろからバックハグをする。


 すると、レンくんは、手を止めた。


「なに?」


 レンくんは、バックハグを受け入れてくれている。


「レンくん。今、リーナが、軽食持って来てくれる。まずは、ご飯を食べよう」

「でもさぁ、公務が……」


 レンくんは、何か、焦っている様子だ。


「私も一緒に、やるから。 まずは、ご飯を食べよ?体調を崩したら元も子もないでしょ?」


 レンくんは、持っていたペンを置いて、椅子から立ち上がり、目の前のソファ席に座ると同時に、リーナが、軽食を持ってやって来た。


 お盆には、白米に味噌汁、生姜焼きが置いてあった。


 レンくんは、大人しくご飯を食べだした。


 私は、レンくんに事情を聞く。焦っていた理由が気になる。


「ねぇ、レンくん。何か、焦ってる?」


 レンくんは、秘密主義だ。余り、自分の事を言おうとしない。


 リーナは、机上の仕事ボックスに置かれている、私とリーナに振られている公務から自身の仕事を取り出して、仕事を始めていた。


「レン。私も仕事するから、正直にマナに話しなよ」


 レンくんは、生姜焼きを半分食べ終えた頃に、お箸を置いて話し出した。


「そりゃさぁ~~国王になる訳ですよ。プレッシャー感じる訳ですよ?」


 レンくんは、本音を語ってくれた。


 国王になる事は、やはり、プレッシャーを感じていたようだ。だからこそ、自分自身の健康面を顧みず仕事

をしたのだろう。


「それでさぁ~~私たちはどうなるの?」


 リーナは、直球的に自分の今後に関して聞いた。


 秘書官をクビになったら、実家に帰るなり……今後の事について考えないといけない。


「う~~ん……マナは、第一秘書官に続けて起用するつもりだけど……リーナは、秘書官で起用するか大臣で起用するか悩んでる」


 レンくんの口から、秘書官残留に関する事を聞けた。


 それだけで、心の中を安心感が充満して行く事が解る。


 私が、安心している一方で、リーナは、驚きのあまり、持っていたペンを落としていた。


「えっ?私が、大臣? 断固拒否します! 秘書官続投希望です」

「……ちなみに、その理由は?」

「街に遊びに行けなくなる!」


 リーナは、超自己都合的な理由で、大臣就任を拒否した。


「でも、大臣になれば、自分用の執務室用意されるよ?」

「要らん。王都に遊びに行けなくなる方が、嫌だ」


 リーナは、変わらず、大臣就任を拒否する。


 私も、レンくんにリーナの様に、直球的に、意見を言えるようになれたら良いなぁと思う。


「でもさぁ、三日で二週間分の公務って……他に、理由あるんだろ?」


 リーナは、更に、レンくんを問い詰めた。


「……まぁ、マナと約束したデートを丸一日出来るだけの時間を作りたいからね」


 レンくんが、言った事で、私は、嬉しさの花が、心の中で咲いていることがわかる。


 鈍感堅物男の子のレンくんが、デートの時間を作るために、仕事を頑張ってくれていたんて、嬉しくて溜まらない。


 リーナは、直球的に、自身の意見(きもち)を伝える。


「レンくん。ありがと♪」


 私は、最大限に笑ってレンくんの顔を見る。そして、レンくんが、無理をしないように釘をさしておく。


「でも、レンくん一人で、無理をしたらダメだよ?私も、一緒に働くからね?」

「……りょーかい」


 レンくんは、ぶっきらぼうな返事だが、了承してくれた。


 軽食を食べ終えると、自身の席に移動して、仕事を初めて、私もレンくんが、振り分けた仕事を取り出して、公務に励む。



良いなぁと思ったらブックマーク登録・評価お願いいたします(>人<;)♪♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ