19. うつけの無断外出!
コン♪コン♪
「レン様!お時間です!起きてください!」
「コノハさん?レン様?まだ,起きてないの?」
「マナ様!いつもなら,起きてらっしゃるんですけどね……?」
「「まっまさか!?」」
コノハとマナは,ココノエ子爵家が用意したレンの宿泊用の部屋に入る。
「やっっっやられた……!!」
コノハが,大声をあげる。部屋は,もぬけの殻となっていた…
「マナ様!ハットリ家の人たちに,命じて,レン様を探さして!」
「わかった!」
そんなことが,起こっているとは知らず…レンは,ハクバの街を探検していた!
「いやぁ~,街の探検は楽しいね!!楽しい♪楽しい♪まぁ,コノハは怒っているだろうけど…お昼まで帰ればそんなに,怒られないよね!!」
僕は,ハクバの街で気になっていた喫茶店に足を踏み入れる。朝食を食べるために!
「すみませ~ん!もう,営業してますか??」
「大丈夫だよ!入った!入った!」
「は~い♪ありがとうございます♪」
カウンター席に,座る。
僕が,第一王子であるとバレてはいなさそうだ…一応,変装をして街に出ていたお陰もあるのだ。
「すみません!この,イチゴたっぷりパンケーキと紅茶セット!お願いします♪」
「あいよ!」
今回,喫茶店に来た理由は,二つあって…一つ目は,単純に美味しいと評判のパンケーキを食べたいと思った。二つ目は,街の情報は飲食店に行けば,大抵手に入る。食事というのは,睡眠に次いで人間が,油断する場面だ。
現に,王都でも飲食店で街の人と話すことで街の実情などを把握したりしていた。
「にいちゃん!お待ちよ!
「ありがとうございます♪」
あぁ~美味しそうぅ~♪すると,護衛として付いてきていたハットリ家の人が耳打ちしてきた。
「レン様……マナ様とコノハ様に,む・だ・ん・外出…バレました…」
「えぇ~案外早く,バレたな…大丈夫♪大丈夫♪何とかなるから!それに…街に遊びに出れずストレス…ヤバいんだよぉ~!頼む!あの二人は,多分怒ってもそんなに怖くない♪怖くない♪」
「知りませんよ…」
僕は,パンケーキを口に運ぶ!
「美味しいぃ~!イチゴと生クリームの相性最高!!国宝クラスやぁ~!!」
「にいちゃん!良い顔して食べてくれるね!街で,見ない顔だけど…??」
「旅をしてるんですよ!ここのパンケーキが美味しいと聞いていて,絶対食べたいと思って!」
「嬉しいぃねぇ~!旅の人に,食べに来てもらうなんて!」
ここで,僕は街のことについて尋ねる。
「今朝,この街に着いたので,この街の空気…結構重いように感じるんですけど?」
「領主様だよ…農民から年貢を取り立てて王家に治める分とは別に,個人資産にして他の貴族領に売り払ているって噂だよ…お陰で,パンケーキの材料の小麦も中々,入荷出来ず…この値段も他の所に比べると高いけど…ここでは,大分無理してる方なんだよ…」
「なるほど…リーゼンの街の喫茶店にも行ったけど…そっちは,ここより安かった…味は,ここの方が格段に美味しいけど…」
「よそがどうかわかならいけど…結果として…味がいいからこの値段でも納得して食べに来てくれる人が居るけど…このままだとあとどの位持つか…」
ふぅ~ん。子爵でも,不正を行っているのか…もしかしたら,上の爵位の家に利用されているだけか??
すると,喫茶店の店主の女性は,希望に満ちた声で,話してくれた!
「でもね…王国に希望の光が見えたんだよ!」
「希望の光とは…?」
「王族のレン第一王子だよ…!不正する貴族を断罪しただけでなく自身の親族にも裁きをいれた…何より,私たちに謝ってくれた…この王国において…あんなに,私たち目線で話してくれる王族…嬉しいよ!彼なら,この国を変えてくれる!そう信じてるのよ!店に来る人皆言ってるよ!」
嬉しいこと言ってくれるねぇ~これだけでも,今日怒られる覚悟で無断外出した価値がある。
僕は,お題を置く。
「今日は,ありがと!また,来るよ!」
「ちょっと!兄ちゃん!代金多いよ!これ,五皿分位あるよ!こんなに,受け取れないよ!」
この,店主いい人!
僕は,首にかけている王族バッジを店主にだけ見えるように見せて,人差し指を口に当てながら…
「おばちゃん!差額は,情報料…!おばちゃんの期待に応えれるよう頑張るよ!!」
そう言って,店をでる。
次は,何処に行こうかと考えていると…無断外出に,付き合ってくれているハットリ家の人から…
「レン様…お屋敷で…」
「コノハが,怒ってるんでしょ??なんとかなるって!」
「いえ……マナ様が」
「えっ?マナがどうした?」
「寂しいから…早く帰ってきて欲しいと………」
「なに?それは,急いで帰らないと!」
マナが,寂しがっていると聞き急いで屋敷に戻る…
「マナ~~!今,帰ったよ!!」
すると,そこには鬼の形相をしたコノハが待ち構えていた…
「あれ?マナは?もしかして…一緒に,外出できなくて怒ってる…??というか何で…そんなに怒ってるのコノハ??」
「…………少し,お部屋に行きましょうか」
「コノハ??暴力反対だよ…??」
首根っこ掴まれてお部屋に連行された部屋からは,二時間近くコノハのお説教が続いたとさ…




