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184. 恋

「スズカ様……ここに居られましたか」


 デリエスとメイと話していると、セバスがやって来た。


 肩で息をしているので、相当、急いできたことが伺える。それほど、重要案件なんだろうと想定した。オレジアナ公国は、代替わりしたばかり。まだ政局が不安定な状況だ。何が起こってもおかしくない。


「セバス。何か、重要な案件なんだな?君が、息を切らしているという事は……」

「はい。ラインブルー王国のリーナ様より、通信機においてスズカ様とお話がしたい旨を」


 スズカは、冷や汗を搔いた。


 デリエスとメイは、セバスに任せて、スズカは急ぎ、通信機が置いてある大公の執務室に移動する。


 これまでは、スズカとの接触を測ろうとする時のアポイントは、マナが取っていた。それが、今回は、リーナだった。

 まさかだとは思うが、二人に何かあった可能性がある。


 急いで、執務室に入り通信機越しにリーナと対峙する。


「あれ、スズカ様?何で、そんなに焦ってんですか?」


 リーナは、余りにも余裕そうな表情なので、焦ってこの場に来たスズカは、意表をつかれていた。


「いっいやぁ……リーナからの通信が来たって聞いて……レンとマナに、何かあったのかと……」

「いやぁ、私も動揺してるんだよ?レンから、スズカ様にアポイント取るように言われてさぁ~~普段は、マナの仕事なんだけど」


 リーナの話から、レンとマナは、生きていることが解る。


「ん?レンが私と話したいの?今でも大丈夫だけど? 今日の公務終わったし……」

「オーケー。じゃ、レン、呼んでくるねぇ~~」


 そう言って、リーナは、レンを呼びに行った。











 ◇◇◇


 レンは、執務室に入り、マナとエリザと少しの休憩をしている。


「スズカとは、何時位に話せるかな?」

「……」


 マナは、ムスーとした表情を見せている。


 何だか、最近、他の女の子の名前を出すだけで、マナが不機嫌になる。不思議な物だ。女の子の気持ちが解らん。


「マナちゃん。拗ねないの。そんなことで嫉妬してたら落とせるものも落とせないよ?」


 エリザが、マナの耳元で、何か言っていたが、レンは、ボーっとしていて聞こえなかった。


「レンくんごめん。リーナが……しっかりアポイント取れれば、明日にでも話せるんじゃないかな?」

「……でも、あのリーナだよ?勢いのままに、今から話せるっていってくるかもねぇ~~いたぁい!」


 レンは、マナに脇腹を抓られた。


「マナ。痛いよ」

「は! ごめん。つい……」


 マナは、申し訳なさそうな表情になっていた。


 最近、マナの様子が変だ。


「はっっくしょん!!」


 部屋の外で、リーナが、盛大なくしゃみをした声が響いた。レンは、感じ取った。もしかしたら、レンの冗談が、本当になった可能性が頭を過った。


 すると、リーナがノックをせずに、部屋に入って来た。


「レン!スズカ様が、今から話せるって!!」


((マジか……マジでやりやがった……))


 レンとマナは、お互いに、あちゃ~と手で顔を覆った。


 仕方がない。向こうが、話せると言っているんだから、話すべくレンは、執務室から通信機が置いてある部屋に向かう。


 部屋に向かう途中で、マナにお願いを出す。もちろん、リーナへの教育だ。


「マナ。スズカと話してる間に、リーナに、アポイントの取り方、教えといて?」

「むぅ……」


 マナが、ムスーとした表情になっている。


 ここ最近、本当に多い。何で、こんな状態になっているのか……。


「マナ! 仕事しっかりして!」


 レンは、マナに対して珍しく、語気を強くして注意する。レンに注意されたマナは、応えたようだ。


「ごめんね。レンくん」


 そう言うと、マナは、リーナにアポイントの取り方を教えだした。












 その様子を、後ろの方で見ていた、エリザは、あちゃ~と手で顔を覆ていた。息子の恋路に興味津々だ。


 通常、レン程の歳になる頃には、婚約者を作っている。


 だからだろう。


 マナが焦っているのは。

 想い人の婚約者になりたい。急がないと、レンは、国王になる。すると、他国の王族・公家から縁談の話が来てもおかしくない。

 だから焦っているのだろう。レンが女の子の名前を出す度に、婚約者候補と考えてしまい、今まで通りの働きを出来ていないように、感じる。


 本当に、恋というのは、怖い。


 恐らく、マナは、レンが求めれば、身体の関係も許すだろう。それ位、レンの事を想っている。それは、嬉しい。

 そして、エリザは、レンの婚約者は、マナ以外に居ないと踏んでいる。自分たちの失敗例があるからこそ、二人はお似合いだと思うし、二人が結婚すれば、公私に渡りサポートしあう事が、予想される。


 しかし、今の二人は、噛み合っていない。


 代替わりで、政局を安定させたいレン。レンの隣に居ることを維持し、あわゆくは、関係性を発展させたいマナ。


 今、最初に話すべきは、マナか。


 通信機が置いてある部屋に着くと、マナの肩をチョンチョンと叩いた。


 すると、レンとマナの二人が、反応した。本当に、仲良いな!この二人!


「レン。スズカと話してる間、マナ借りるよ? 後、あんたも、スズカと話し終えたら私とお話する」


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