182. マナの仕事
「俺が、国王になって大臣職を兼務する位なら……王政を廃止しますよ」
レンの宣言に、エリザは、あたふたしている。王政廃止と言うのは、王国にとっては一大事だ。国家にとって国家体制の移行は、かなりのリスクを負うからだ。
普通なら、ただの王族の子どもの我儘だと思うだろうが、レンならマジでやりかねないし、それを実行できるだけの能力をレン自身が持っているし、それを動かすサポートする人材の能力も高い。
ここで、自身の考えが浅はかだったとエリザは、理解した。
「解った。教育相は、廃止しない」
言質を取った。
普段なら、レンがキレたら止めに入るマナも今回は、大人しく見ていた。
「てかさぁ、マナ。僕がキレたのに、止めに入らなかったな?」
「だって、止められる訳無いじゃん? レンくんとエリザ様の政治的なやり取りに、入れないよ」
流石のマナも、親子二人の政治的なやり取りには、止めに入れなかったようだ。それに、今後の政治体制において今、ぶつかっておいた方が良いと気を使ったのだろう。
「それで、次期国王になる事になったけど、レンくんの正式な国王就任に関する式典は――」
「――あまり、豪華なのはしないかなぁ~~まぁ、近いうちに国民や対外に向けての発表はするよ?」
現状の王国は、他国から侵攻を受けやすい状況下だ。
国王と首相という王政の要職が、空席と言う状況がこれ以上続くことは、非常にマズい。だからこそ、一早く次の国家体制を整える必要がある。
王国の軍事力とオレジアナ公国との同盟の抑止力はあるが、両国が一気に、代替わりしたと言うことは、慎重に動かないといけない。
そこからは、現在、空席になっている大臣職の整理をエリザと話し合う。
もちろん、教育相は存続させる方向で話を続けている。
レンが務めていた大臣職は、レンが国王になるため空席になる。しかし、その他の大臣職は、シオンの内乱に同調した大臣達だ。
その大臣達は、シオンとトクヤを捕らえる際に、ハットリ家の人間を使い……
暗殺した。
捕らえて拘置所へ送ることも考えたが、それだど裁判など新たな国家体制を築くのに、裁判と言う時間が邪魔をしてくる恐れがあったので、こちらも超法規的措置を使用した。
仕方がない……内戦中だったんだから。優中に話し合って入れば、その間に、反乱軍に王城を占拠されるものです。
本当に、こういう時に、トップの腕が試されると言った所か。
「シオン派の大臣の後釜は……ぶっちゃけ、不要な大臣職なんだよぇ~~廃止して、そこで働いていた官僚たちを他の大臣の下に移動させる事を考えてる」
財務相は、存在するが、金融相もある。法相もあれば、法律相もある。防衛相もあれば、軍事相もある。
何だ、この似た仕事をする大臣は?
これこそ無駄だ。
今あげた大臣職の職務を首相になっての数ヶ月見てきたが……業務内容は、例えば、金融相は、財務省の上位互換的な大臣職だ。
正直、存続させている意味もないと思ったし、そこに出す予算も勿体ない。
なんなら、上位互換の大臣職は、大元に統合させればいいと判断した。
金融相は、財務相。法律相は、法相。軍事相は、防衛相に統合することにすればいい。
これらの構想をエリザに伝えると、エリザは、「参った」と言った顔で、レンの顔を見た。
「あぁ~~私にその考えは、無かった」
レンは、必要・不必要の区別をしっかりと判断して必要な物は、残して活かす。不必要な物は、あっさりと切り捨てる。
エリザは、ある物を活かしていく方針の人間。
政治の方向性が、少しばかり違う。そのため、話し合いになれば、時間を掛けて擦り合わせる必要がある。
でも、レンとエリザは、政治で目指す方向性は同じだ。
『国民が笑って暮らせる国』を作ることだ。
そこから、かれこれ一時間程、レンとエリザは、話し続けた。
レンの秘書官であるマナは、内容をメモしていた。二人の話をこちらは、自身の勉強にしようとしていたマホも必死にメモしていたが、中盤辺りに、付いて行けずフリーズしてしまったようだ。
「んじゃまぁ~~今後の方向性は、こうするとしてぇ~~あぁ~~同盟国として、スズカには発表前に一報入れとくか?」
「そうだね。レンくんの……政治上のパートナーですもんね!」
マナが、やけに「政治上」の部分を強調している。それに、何やら圧を感じる。
「あはは、レン。マナに、モテモテだねぇ~~?」
「どこがモテてんの?」
「この鈍感……マナちゃん。苦労するねぇ??」
「本当にですよ!やっと、デートの行き先を決定したんですよ? レンくんを落とすのに、どれだけ苦労しているか……」
最近、何やらマナのアピールが、凄い気がする。
本当に…………嬉しいけど、困る。
最初は、大人しかったのだが、最近、アプローチが凄すぎる。同部屋で下着を見せて着替えたり、慰めの時に、レンの顔を自身の胸にやったりと……
男の理性を試すような、アピールは、止めて欲しい所だ。
「リーナ。オレジアナ公国にアポ取って~~急ぎで」
「えっ?!私?!マナじゃなくて?」
「そう。リーナ。君。 ほら、急ぐ」
「はぁ~~い!」
リーナは、オレジアナ公国の大公であるスズカと話すためのアポイントを取るために、部屋を出て行った。マナは、不思議な表情をしている。
そう。他国へのアポイントは、これまで、マナの仕事だったのだ。
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