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 一夜明け、レンは、一睡もする事なく翌朝を迎えて、大広間にやって来た。大広間には、早朝にも関わらず呼び出された、大臣並びに、王城内で働く官僚。更に、昨晩中に急に呼び出されて、急いでやって来たのだろう。王都周辺の貴族は、王城に参列していた。中には、リーナの家族である、オノフェス家も参列した。


 大広間に入ってきたレンの様子を見た、オノフェス家の当主、マックスは隣に立つレックスに、話しかける。


「レックス。リーナから何か、聞いているか?」

「何も聞いてません。でも、レン様の様子……少しおかしいですね?」

「あぁ、急な呼び出しだから、何かあったと思ったが、レン様の様子が変だ」


 レンと親しくしている貴族は、レンの異変に気が付いた。


 レンは、大広間に入ると、国王が座る席に、座った。


 その瞬間、大広間に集まった、人々の驚きの声が、響き渡った。本来ならトクヤが座る席にレンが座った。トクヤが死去した事は、まだ、知れていない。


 レンの右隣に、マナが立ち、左隣にマホとエリザが立った。


 エリザの登場に、貴族達は、驚きを隠せないでいる。大臣達は、先日の会談で、レンが超法規的措置で、エリザを王政に復帰させた事を知っていたが、貴族は、今日初めて知った。


「父上?!エリザ様は、政界から追放されていたのではないですか?」

「わっわからん……王城で何があったんだ?」


 大広間は、何とも言えない空気が漂っていた。


 そんな中、レンは立ち上がり、リーヴァンとリーナに指示を出した。


 そして、レンの隣に移動したエリザが、集まった皆に向けて注意喚起をする。


 まずは、挨拶からだ。


「皆様。お久しぶりです。エリザ=ラインブルーです。この度は、レン……」


 エリザは、レンの顔を伺う。レンの呼称をどうするかを悩んでいる。生前、次期国王の任命権をトクヤに移譲された。

 そのトクヤは、死去している。


 それに、レンは、内乱の終結と共に、首相を辞任すると述べていたので、内乱が終結した今、首相でも無い。呼称に困った。


「母上。一応あるじゃないですか?貴方の子どもっている呼称が……」


 エリザは、レンにそう言われると、改めて、語り掛ける。


「この度は、私の息子であり、前首相のレンにより、王政に復帰することになりました」


 エリザが、自分が、この場に居る理由を述べた。


 マックスは、エリザがこの場に居る理由は、解ったが、その中の発言で一つ引っ掛かることがあった。


「なぁ、レックス。エリザ様……レン様のこと、前首相って言ったよな?」

「……はい。私も聞きました」


 そして、リーヴァンとリーナが、大きな台車を持って来た。何かを覆うように黒い布で覆っている。


「今から、皆さんには、衝撃的な物を見ることになります」


 エリザの後に、レンが前に出てきて、リーヴァンに、指示を出した。


 リーヴァンが、布を捲り隠されていた物が、露わになった。


 その瞬間……


 大広間中に、どよめきと混乱の声が入り混じった。


 台車の上には、トクヤとシオンの首から上が、置かれていた。











 大広間中は、混乱している。


 一晩過ぎたら、国王とその子息が、死去している。そして、レン・マホ・エリザの三人の王家関係者は、生き延びている。


 レンが、エリザより前に出て、説明を始める。


「この二人は、内戦を企てたため、国家反逆罪として処刑しました。証拠は、これらの品の数々です……」






 レンが、証拠を示しながら事を説明していく。


 その様子は、通信機を使い、王国中に報道されている。国民も驚いたが、レンが提示する証拠に納得した。シオンの内乱の呼応した貴族は、領地で無理やりな搾取を始めていた。


 説明が終ると、大広間中、納得の表情になった。


 シオンの内乱に呼応した貴族は、昨晩の内に、ハットリ家の人間に、捕らえさせた。


 レンに不満を持っていた貴族家は、レンが、公国に行っている間に、シオンに反乱計画を焚き付けていた。そして、シオン陣営の情報統制は、ずさんだった。

 直ぐに、シオンに味方した貴族家は、リストアップ出来た。


 この場に居る、貴族や大臣連中は、レン派の人間達だ。


 ある意味、レンは、この反乱に乗じて、ここまで自身に敵対していた人物を一斉に、排除した形ではある。


 大広間に居る人物の興味は、次期国王が誰かだ。


 大広間に居るレン派の人間は、この場で、レンが次期国王になることを期待している。通信機越しで視聴している国民も、レンが次期国王になる事を期待している。


 そんな中、レンは、宣言する。


 故、トクヤの意思を尊重する。


「次期国王は――――」


 レンの言葉に、王国中に、注目する。


「――――任命権は、トクヤ亡き今、母上であるエリザにあります。 今後、エリザの方から次期国王決定後、発表されます。それまで、国王不在となりますが……王国の発展のため、皆さんの力を貸してください」


 レンは、深く頭を下げた。


 頭を上げるとレンは、足早に大広間を後にした。マナが、その後、追って部屋から出て行った。


 エリザは、二人が退室したのを確認すると、皆の前に立ち話す。


「皆さんにお願いがあります。私の中で、次期国王は決まっています。それは、貴方たちの願い通りでしょう」


 エリザの言葉に、即刻、レンの国王への即位への期待値が高まる。


 しかし。


「彼には、時間が必要な時です。これまで、頑張って一国を動かしてきたとは言え、まだ、十五歳の男の子です。今の状況で、国王には即位させられないというのが、母親心です。少し、時間をください」


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