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174. ご褒美

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 シオンが奇声に近い悲鳴を上げた。


 それと同時に、部屋に隠れていた、マテオが連れて来た兵士達がシオンを捕らえる。もちろん、部屋の前で待機している、イエスマン貴族も捕らえる。


 王国中に、張り巡らせているハットリ家の情報網が、作動し一気にシオンに味方した貴族連中を捕らえていく。この日の王国は、夜中に沢山の貴族の悲鳴の声が上がったようだ。

 これは、事が終ったらしっかりと国民に説明しないといけない。


 シオンは、拘束され地べたに寝かされている。


 数分後、別の部屋で、拘束されたトクヤが部屋に連れて来られた。その他に、拘束された貴族連中は、王国にある留置所に入れておくように指示を出す。


 レンの予想外に、トクヤが大人しく拘束されている。一方、シオンは、暴れている。


「放せ!俺は、第二皇子のシオンだぞ!無礼を働いたなら――いてぇぇぇぇぇ」


 シオンが威勢よく物事を言うので、拘束している兵士は、拘束の力を強める。


「――レン第一王子の命令ですので」

「はぁ? レンは、毒にやられたそこに――」

「――呼んだ?シオン?」


 レンは、呼ばれたのでエリザとマホの間から姿を現す。


 さっきまで、虫の息だったはずの人間が、元気そうな姿でそこに居る。シオンは、理由が解らなかった。


「そこの兵士……二人を裁判所に連れて行って、拘束台にしっかり拘束しとけ」

「「かしこまりました」」


 二人を拘束している兵士は、裁判所に連行されていった。最初は、暗殺も考えた。しかし、一応は、血の分けた家族。段階を踏もうと思ったのだ。


 マナは、二人が出たことを確認すると、マテオを連れて「裁判の準備をします」と言って部屋を出て行った。本当に、気を使える女の子だ。何度、助けられたことか。


 部屋には、レン・エリザ・マホの三人が残った。


「レン。マホは、参列させない?」

「いや、させる。王家に産まれたんだし……自分の家族の行く末は見とかないと……公国の時は、他国の家族だから見させなかったけどね」


 本来なら、レンの口からマホに言うべきだが、レンの様子を心配したエリザがマホに説明をした。


「マホ。賢い貴方なら、この先どうなるか想像出来てると思うけど……」

「うん。父上とシオンお兄様は……レンお兄様に処罰される……」

「そう。自分の家族が処罰されるって事。厳しい場面を見る事になるんだから覚悟は決めなよ?」

「解っています。この内乱で、レンお兄様に味方をすると決めた時に、覚悟は決めています」


 マホの表情を見た、エリザは、マホの頭を撫でた。エリザの表情は、子どもの成長を喜んでいる親の表情だ。レンは、その表情を見ると窓側まで移動して、真っ暗な外の景色を眺める。


「……マホ。これも大事な話。よく聞いて」

「はい」

「レンは、これから自分の家族を裁かないといけない。一度、私と父上を裁いているとは言え、今回は、内戦を起こそうとした……いわゆる、国家反逆罪の裁判……裁きは、予想出来るよな?」

「うん」

「裁判後のレンの心情は――――いたぁ!」


 レンは、これ以上言うなと、エリザの頭に手刀を繰り出す。エリザの頭にクリーンヒットして、悶えていた。


「母上。マホ。行くよ。内戦を終結させに行く」


 レンは、部屋を出ようとすると、部屋の横で、マナが待っていた。


「あれ?マナ、裁判の準備に行ったんじゃ?」

「あれは、嘘。とっくに、準備は終わってたよ?」

「流石、マナ」


 マナは、レンの隣に立ち、その後ろをエリザとマホが付いて歩く。


「母上……あの二人、良いコンビですね」

「だよね~~二人とも信頼し合っていて、信用し合っている。家族以外、信用しないレンが、唯一心を開いた子が、マナちゃん。あのまま結婚してくれれば安泰なんだけどなぁ~~」

「マナ姉さんが、本当にお姉ちゃんになる日が来るかなぁ~~」


 二人が、レンとマナの将来のお話をしている中、レンとマナは……


「でもさぁ~~わざわざ、部屋の前に立ってるなんてねぇ~~??」

「そりゃ~~レンくんの秘書官ですから!」

「嬉しい事、言ってくれるね~~ご褒美だぁ~~」

「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 レンは、久しぶりにマナの尻尾を鷲掴みにした。マナの悲鳴を聞いた、エリザとマホは、顔を合わせて「夫婦漫才を始めてるねぇ~~」と生温かな目線で、二人を見ている。


「レンくん。それは、ご褒美じゃない~~」


 マナは、ジド目でレンを見ていた。


「いや、マナの尻尾触るのは、僕にとってご褒美だから~~ここ最近触れてなかったし~~」


 マナは、レンに向かって「シャー」と威嚇している。


 ここ最近、忙しかったからか、こんなじゃれ合いをしてこなかったレンとマナ。束の間だが、楽しい時間を過ごして、裁判所の前に立った。


「じゃ、ここからは、王族の顔にならないとね」


 レンは、表情を切り替えると、裁判所の扉を開けた。


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