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172. 元気が無い

 シオンは、自室に戻った。


 共周りの貴族は、部屋に待っていた貴族と合流した。


「陛下の様子は、どうでしたか?」


 貴族は、トクヤの様子を尋ねてきた。何かしらの狙いがあって、シオンに近づいた貴族。トクヤの動向次第で失いつつある大義名分は完全に無くなってしまう。

 トクヤというラインブルー王国の国家元首が、味方に付いている事で、かろうじて大義名分を保っていると言える。


 それを理解しているからレンは、現段階で大掛かりな作戦行動に移れていないのだろう。


「……もしかしたら、この内乱計画から離脱されるかもしれない」

「え?! それは、不味い事になりますよ!!」

「……仕方ないだろ。父上が、味方に付いてくれた理由の大きな理由は……血が流れないからです。レンお兄様が毒殺未遂された事が、かなりのショックなようです」


 トクヤも親だ。


 この内乱は、血が流れないという貴族の進言もあり、シオンの味方に付いていた。血は流れていないとは言え、レンが、毒殺未遂に合った。

 トクヤからしたら、「話が違う!」といった状況だ。


「あっ、父上の部屋で、アクア国軍基地の代表と会った」


 シオンは、貴族に報告した。

 貴族は、ここは重要なポイントと判断したのだろう。乗り気味で、状況の確認をしてきた。


「それで、先日の書簡の返事は??」

「王国のために働きます……と言われた」


 貴族は、それをいい意味で捉えた。本当に、人間は他人の言う事に関して、自分自身に都合が良い様に解釈してしまう。

 その解釈が、自分の首を絞めることになっている事と知らずに。











 シオンと貴族は、今が好機と捉えた。


 新たに、作戦行動を取ろうと計画している。貴族は、シオンの機嫌が戻ったことに安堵した。そして、新たに作戦を提案して話し合いを続ける。


 コン♪コン♪コン♪


 部屋の扉がノックされた。


 貴族が、扉を開けて訪問してきた主を確認する。


「女王陛下?!」


 貴族の声に、シオンが反応して、貴族に変わりエリザと対面する。エリザの隣には、マテオが立っていた。貴族と話していた、内乱のキーパーソンの二人だ。


「母上!」

「そこの貴族。私は、もう女王じゃない。そこは、間違えないでもらえると助かる」

「はっはい……」


 貴族は、エリザの雰囲気にあっさりと呑まれた。シオンの方も、エリザの見たことの無い雰囲気に少し恐縮してしまっている。


「母上、何の用件でしょうか?」

「レンが、毒を盛られたのは、知ってるな」

「はい」


 エリザの方から、レンの話を切り出したことに、シオンは期待を持つ。


「大分、容態が悪いみたいでねぇ~~」


 シオンは、レンの容態は知らなかった事と、エリザの発言ということもあり、あっさりと信じてしまった。


本当にそこが甘い。


 昨日の会談で、エリザはレンの味方に付いたことを目に見ていたはずだ。頭の良い……いや、普通の政治家なら敵陣営の人物が言った事なんて信じないし、隣に立っているマテオは、エリザの警護だという事を理解出来る。

 しかし、シオンは、自身の内乱のキーパーソンと位置付けいる、二人がこの場に来たことで、自身に都合の良い様に解釈している。


 そう。エリザとマテオは、自分の味方になったと。そして、間違いを正すべきナンバー二の貴族は、先の失敗で、これ以上シオンを刺激すれば、自分の首が危ういと思っているため、間違いを正せない。


「シオン……レンの容態が余り良くない。今後の為にも、一度、会っておいてくれないか?」

「レン王子の部屋まで、私が監視(けいご)しますから」


 エリザの言った、「今後の為」。


 この言葉は、発する人と聞く人で、捉え方が変わってくる。


 シオンは、レンの容態が悪い。そして、エリザの「今後の為」で、自分自身に、政権がやって来る。そして、エリザやマテオは、自身の味方になるという都合の良い解釈をしたシオンは、レンに会う事を決めた。


「わかりました。今後のためにレンお兄様とお会いします」


 シオンは、覚悟を決めた表情をエリザに、見せる。


 しかし、エリザは、そんなシオンの表情を少し残念そうに見る。












 シオンは、貴族を部屋に置いて、エリザとマテオと共に、レンが寝ている部屋に入り、ベットで寝ているレンと対面した。


「レンお兄様……シオンです」

「あぁ……シオン。来てくれたんだねぇ~~」


 レンの声は、本当に弱々しかった。


 昨日までのレンの様子から一変している。


 シオンは、布団で寝ているレンとお話を続ける。お話を続けていると段々とレンの声が弱まって行く……


 毒物とは、いかに恐ろしい物かと、シオンは実感している。


「体調……本当に悪そうですね」

「そうだねぇ~~シオンも暗殺には、気を付けなよ♪」


 急に、レンの声が、明るくなった。


 さっきまで、毒に侵され苦しんでいたとは、思えない程、元気な声だ。


 流石のシオンも。不思議に思った。


 すると、シオンの肩を誰かが叩いた。シオンは、エリザだと思って後ろを振り向いたが、それは、違った。その正体を見た、シオンは固まってしまったが、相手は、油断をせず次の行動を起こした。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 部屋に、シオンの奇声が上がった。


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