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171. 誤算続き

「あぁぁ、クソォォォォ!」


 シオンが、持っていたノートを自室の床目掛けて投げ捨てた。


 先程の王族と大臣の会談にて、自分が反乱を企ている事が、対象である自分の兄、レンに漏れていた。それだけならまだしも、一つに、二つ、数えきれない誤算が出て来た。


 自分の周りに居る貴族達の言う事と真反対の事が立て続けに起きた。


 まずは、アクア国軍基地が、自分の味方に付かなかった事だ。王国の政府機関の一部である基地なので、王族が要請を出せば二言返事で協力してくれると言われていたが……

 結果は、拒否された挙句、反乱の情報はアクア国軍基地から、レン側に漏れていた。


 続いての誤算は、母親であるエリザと妹のマホが、レンの味方に付いたことだ。


 父上であるトクヤは、味方に付いてくれた。これで、母上とマホが自分の味方に付いてくれたら王家内で、完全に孤立させられたはずだった。











 シオンが、貴族と建てた計画は、こうだ。


 アクア国軍基地を味方に付けた上で、両親とマホを味方に付けて、レンを孤立させ王政から距離を取らせる計画だった。


 両親は……特に、母上であるエリザは、レンの裁きで政界から追放された。志半ばで追放された母上の事だから、王政復帰を打診すれば味方に付いてくれると思った。

 しかし、シオンが考えた方法は、レンが実践して、エリザを引きいれた。


 エリザは、シオンが憧れる政治家だった。なおかつ、幼少期から母親っ子だった。


 だからこそ、数々の計算違いがあったが、母上であるエリザが、敵方の味方になったことが許せなかった。


「シオン様……まだ、間に合います。今からでもアクア国軍基地の代表であるマテオを説得し味方に付けることが出来れば……」

「うるさい! お前の言う通りに、動いた結果がこれじゃないか!」


 貴族に対して、イライラをぶつけている。


「それに、母上は、頑固なんだ……一度、立場を表明してしまえば、余程の事が無い限り……こっち側に鞍替えしない……」

「そっその手段を考えましょう! 陛下も味方に付いてくれています。 レン第一王子を公国に行っていたんです。何か、良い策が――」


 貴族は、貴族で何か目的があるのだろう。必死に失敗の弁明をしている。


「――レンは……完璧だった。公国の要人と怯む事なく……対等に話していた……王国として譲れない部分をしっかりと提示した上で、交渉していた……エリザが、レンの味方に付くことも理解出来る」


 トクヤの口からも、レンの政治家としての手腕を称える言葉が発せられた。


「……父上まで、こう言っているじゃないか! お前は、勝算があるって言っただろうが!」

「……まだ、可能性は……」

「あるなら、言ってみろ」


 貴族は、黙り込んでしまった。


 シオンに吹き込んだ作戦は、全て、レンに先手を打たれてしまった為、意味が無くなってしまった。これは、レンの身に何か起こらなければ、逆転が出来ない状況だ。


「どうするんだよ……レンお兄様を怒らせた貴族の運命をお前は見て来なかったのか!?」

「……どうにか、なりませんか……シオン様の方からレン王子に――」

「――無理だよ。さっき、レンお兄様は、首相を辞任して次期国王を目指すと言った。この意味……父上なら解りますよね?」

「あぁ。俺を、国王の座から降ろすつもりだ……レンは、内乱を酷く嫌う。その内乱を起こそうとしたんだ。俺たちは、レンに国賊と判断された可能性が高い」

「ですが、王国の国王は、トクヤ陛下で――」

「――お前は、何を学んでいる??」


 トクヤは、貴族に対して、少し怒って話す。


「国王は、俺だが……あくまで、俺の王位はお飾りだ。政治を動かす権利を持っているのは、レン。そのレンが、国賊として俺たちを認定すれば、大義名分を失うんだよ」

「しかし、一首相が、国王を逆賊認定するには、国民の支持が必要で……」

「レンは、国民の支持は非常に高い。お前たちが馬鹿にしていた、王都の散歩がレンの支持向上に繋がっているんだよ」

「もう、終わりじゃねぇか……」


 シオンは、絶望感を覚えていた。仲間割れをする位には、追い込まれていたのだ。


「取り敢えず……アクア国軍基地に再度送った書簡の返事を待ちましょう」











◇◇◇


 翌朝、貴族からの報告を受け、好機が訪れたと思った。


 レンが、毒を盛られて倒れたと報告を受けたのだ。チャンスが訪れたと思った。


 すぐさま、貴族にアクア国軍基地からの返答が来たかを尋ねたが、まだ来ていない。


 すぐさま、トクヤの執務室に向かった。父上も、安堵の表情をしているかと思ったが……トクヤは、複雑な表情をしていた。


「父上……?チャンスが、舞い降りて来たんですよ?」

「お前からしたらそうかもしれないが……俺は、複雑なんだよ……レンも息子だからな……息子が殺害されかけたと聞いて……素直に喜べねぇよ……親になったことの無いお前には解らんだろうがな」


 トクヤの言葉に、シオンは固まってしまった。


 すると、トクヤの執務室にアクア国軍基地の代表であるマテオが挨拶に来た。


「陛下、王城に来る用事が出来ましたので、ご挨拶がてら……」


 マテオとトクヤは、軽く話していた。シオンは、一つ気になっていた事を確認した。


「マテオは……()()味方してくれるのか??」


 マテオは、ニッコリと笑い答える。


「私は、()()()()()()働きます」


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