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168. 軍部の掌握

 シオンが、自身のイエスマン貴族と共に、部屋を出て行った。


 今、部屋に残っている人物は、完全にレン派の人間か、レンとシオンを天秤に掛けて、現段階でレンを選んだ大臣達と言った所だ。


「……ここに、残ってくれてる大臣は、僕の味方でいいのかな?」

「私は、レン様に登用された人間ですし、特に、レン様に不満はありません……急に、副首相に任命されて、一国の舵取り任される以外は……」

「あはは……その節は、大変助かりました……」


 サヨが、早々に、レン派につくということを表明した。

 

 そして他の大臣達も、「レン様に付きます」と態度を表明してきた。

 それに、対して、エリザは、「感謝します」と頭を下げた。久しぶりに、エリザの政治家としての顔を見れたのは、レンにとって嬉しい事であり、気合が入る事でもある。


「みんな、ありがとう。 では、退席して貰っても構いません」


 残っていた大臣達に、退室の許可を出す。各々、退室していく中、リーナを部屋の外で待機させ、サヨは部屋を出てと同時に、再び部屋に戻された。


「あ、おかえり~~サヨ法相 兼 副首相」

「……」

「あれ?怒ってる?」


 サヨは、部屋に戻された瞬間、ムス~~とした表情でレンを見ている。


「レン様……私を都合良く使い過ぎでは?」

「だって、使いやすいもん!」

「……否定する気……無いんですね」

「えぇ~~でも、秘書官よりマシだと思うよ?」


 レンの言った事に、リーナは、後方で、ウン!ウン!と首を縦に振っている。


「そうたで、サヨ。私なんて、王国と公国を短期間で、何往復もさせられたんやで?!」

「あぁ、確かに、忙しそうにしてましたね。 でも、マナさんは、いつもニッコリ働いているので……」

「マナは、別格……あのレンを操縦してるんやで?しかも、あんな笑顔で……異次元の有能さやで……多分、マナが、一国のトップになっても国家運営出来るよ……あれだけの「うつけ者」を操縦できるんやから」


 リーナは、ドМなのだろうか……レンが、「うつけ者」と言われると怒る事を解って言っているのだろう。


「マナ、ハリセン」

「わかった」

「えっ……マナちゃん?――いたぁぁい!」


 マナによるハリセンが炸裂した。


 リーナは、余りの痛さだったのか、頭を押さえてうずくまっている。


「サヨ?僕が、うつけ者だってぇ~~?」

「いぇ?!言ったのは、僕では無くリーナさんですので……ハリセンは、ご勘弁を……」

「オーケー。マナ、リーナにもう一回ハリセン」


 ぱぁぁん♪


 マナの二発目のハリセンで、リーナは戦闘不能になったようだ。


 サヨは、落ち着いた空気を感じ取ると、エリザに挨拶をする。何気に初対面なのだ。挨拶を終えると、エリザがレンの方向を向いて、作戦会議を始めようと提案してくる。


「作戦かぁ~~。まぁ、確かなのは、軍は動かしたくないよね?」


 アクア国軍基地のマテオからは、レンにつくという返答を貰っている。シオンは、外国の要人との交流関係は持っていない。

 レン派の人間が、トップを務めるアクア国軍基地に応援をお願いする位だ。軍部の協力ルートは、他にあるのか?ハットリ家の人脈でもシオンに協力している軍部は居ないそうだ。


「……そもそも、シオンに協力する軍部は居るのリーヴァン」


 リーヴァンは、部屋に入って来た。


「居ませんね。シオン様は、アクア国軍基地が、味方に付いてくれると踏んでますね」

「でも、アクア国軍基地は、レン派についたな?」

「一応、マテオには、表立って立場を表明しないようにとは、言ってる」


 実質、シオンは軍部の協力を得られていないのに、内乱を起こそうと考えている。なんとも、間抜けな計画だ。


「まぁ~~何とも間抜けな計画だわ……」


 エリザは、呆れた表情を見せている。


「まぁ、取り敢えず、今からシオンに会いに行きましょう。母上・マナ」


 レンは、二人を連れて、トクヤの執務室に移動する。


 扉をノックせずに入ると、予想通り、部屋の中には、トクヤとシオンが居た。


「なっ、レン!? 急にどうした?」

「レンお兄様?!」


 急に、入って来たレンに、警戒態勢を取った。


「まぁ、話しましょうよ! ささ、座りましょう!」


 レンの提案で、シオンとトクヤが並んで座り、その向かいにレンとエリザが並んで座る。


「ねぇ、シオンさぁー反乱計画してるけどさぁー甘いね?計画ダダ洩れじゃん」

「……ぐっ」

「それでさぁー。軍部の協力は、どうするつもりなん?

「……」

「なんかさぁーアクア国軍基地に、応援要請出したみたいだけど……アクア国軍基地は、僕につくみたいだよ?どうするの?軍部の味方が居ないのに、どうやって反乱するのさぁ~~??」

「……」


 反乱の首謀者であるシオンは、黙り込んでいる。


 当てにしていたであろうアクア国軍基地からの応援が見込めない現状。これでも、反乱を続けようなんて思うなら、ただのバカだ。


「まぁ、自分の立ち位置……よく考えなよ?」


 それだけ言い残すと、レンたち三人は、部屋から出て行った。


「レン……シオンはどうすると思う?」

「止めたいけど、止められないんじゃないかな? 貴族に唆されて事を起こした以上、貴族は計画の遂行を求めるだろうし……何より、シオンにそれらの貴族を止めるだけの力はない」

「だねぇ~~トクヤを味方に引き入れた時点で、貴族連中の士気は上がっているだろうし……そんな貴族を宥めるには、本人に圧倒的なカリスマ性が必要やからな」

「無理だね。多分、また、アクア国軍基地に応援要請出すんじゃない?まぁ、もう指示は出しているからシオンがどう動くかだね」


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