表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

164/350

164. 王族に居るという事

「マナちゃん、安心して。レン……ただ、嫉妬して意地悪しただけだから」


 レンに、デートの約束を無しにすると言われたマナは、泣きながら「レンとデートしたい」っと訴えていた。余りにも、そのマナの様子がいたたまれなかった。

 嫉妬に任せて言ってしまったレンは、どうしたらいいか解らなくなり、あたふたしていた所に、スズカが助け船を出した。


「えっ……レンくん。 ほんと? デートしてくれるの?」


 マナは、瞳に涙を貯めながら上目遣いでレンに確認を取る。

 そんな、表情を見せられたレンは、母親に構って貰えなかった嫉妬心で、マナに意地悪した事をかなり後悔した。


「……ごめん。母上の言った通り……」

「たぁ~くもう!はっきり、言いなさいな! 政治の舞台ならキビキビしてんのに、女の子の事になると女々しくなるな!」


 母親から叱責が飛んだ。


 今のレンは、政治の舞台で十五歳とは思えない程、堂々としていたが、マナ相手になるとこんなにもオロオロしている。


「……マナ。デートは、約束通りにするから……ごめん。意地悪した」

「……良かったぁ~~」


 マナは、嬉しさと安堵のためレンに抱き着く。


 レンは、ごめんの意味も込めてマナの頭をヨシヨシと撫でる。


「なぁ~~マホ。これで、二人は付き合って無いの?」

「付き合ってないみたい……公国でも散々イチャイチャ見せつけられたよ……」

「あらら……それで、そのイチャイチャとは?」

「コノハさんの入れ知恵もあって、マナ姉さんがお着替えを一緒にしてアピールするんだけど……レンお兄様は、必死に理性聞かせて、我慢してましてしねぇ~~」

「ちょっと、マホ……起きてたの!?」


 レンは、あの時、マホは寝ていると思っていた。


「……何か、甘い空気感じて起きました。いたたまれなくなった、私の気持ち考えてくださいよ?」


 レンは、あの時に理性を働かせた自分を心の中で賞賛することにした。あのまま、流れに任せていたら十歳の女の子に見せる事になっていた可能性があった。

 改めて、コノハには減給の処分では、生温いと思った。どんな、処分をしていやろうか……











 マナが落ち着いたようで、レンから離れた。


 エリザは、それを確認すると、レンに抱き着いた。


「レン。お帰り。少し、私も意地悪し過ぎたね……公国で、よく頑張りました! ダメな父親の介抱もしながらよく頑張りました」

「父上に、関しては、サユリさんが、助けてくれました」

「でも、トクヤの事は、ハットリ家伝いで聞いていたよ? あんな醜態晒して……あんなのと結婚したの後悔は、出来んのよなぁ~~してなきゃ、可愛い子どもに会えなかったんよな」

「……複雑ですね」


 エリザの中には、かなり複雑な感情があるようだ。


 トクヤと結婚して大変だった。無能とも言えるトクヤの政策のフォローは常にエリザがしていた。でも、子ども達が癒しとなりここまでやってこたれたのだ。


 四人は、椅子に座り話し出す。


「母上。早速ですが……僕とシオンどっちに付きますか?」


 そう。大事な質問だ。


「レンに付くよ」


 エリザは、即答した。何の迷いもなく。


「シオンから接触はあったでしょ?」

「流石、レンの情報網だねぇ~~。あったよ。協力してくれって……でも、シオンのやっている事は、甘い。甘すぎる。トクヤを味方に引き入れるつもりだろうけど……大義名分が無い」


 トクヤを味方に引き入れて、大義名分を掲げても国民が認めなければ意味が無い。国民の支持を多く集めているのはレンだ。


「レンの頑張りは、ここで見て来た。一方、シオンは……ここに来る度、レンの愚痴を言うばかりで、行動に移そうとしない。やっと行動に移したと思ったら内戦なんて……レン頼むよ」

「解ってる。そして、マホもよく聞け。 僕に歯向かった人間……内戦を起こそうとした人間を生かしてはおけない……もしかしたら、トクヤとシオン……二人の命がこの世から消えるかもしれない。それでも大丈夫?」


 当然だ。


 シオンも、レンの命の狙って内戦を計画してるんだろう。まさか、レンを生かしたまま政権を取ろうなんて考える程バカじゃ……まぁ、頭の悪いシオンなら貴族に騙されて、有り得る話だが。

 ただ、王族である以上、他人の意見を参考にして物事を決断したとしても最終的には、自分自身の責任だ。


「私は、問題ない。内戦を起こすという事は、どちらかが死ぬということだ。私も命を懸ける」

「レンお兄様……家族が死んじゃうんですか……」

「死ぬよ。王族が内戦起こすという事はそういう事。情にほだされて生かせばまた内戦を起こしかねない……王族間で揉め事を起こすという事は、そういうこと。 スズカだって事を起こして、自身の家族を容赦なく死罪にしたでしょ?」


 マホは、頭でも心でも理解した。


 王家に居るという事は、どういう事か。生きるためには、賢くならないといけない。一つの決断のミスが自分の命を奪うという事。


 そして、今、その決断を求められているという事。


 マホは、考える。


 レンとシオン。二人の兄の能力の差に関して。自分自身が生き抜くためには、どっちに付くべきか……


 答えは変わらなかった。


「レンお兄様。私も覚悟を決めます。私も母上と共に、レンお兄様の味方をします」


今年もあと1ケ月


小説、読みまくりましょう( *´艸`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ