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今日から第7章突入です!

 ハットリ家の人間の報告を聞いた上で、レンは、頭の中で必死に考えている。この先どのようにして動くべきか。


 恐らく火種になったのは、スズカの大公就任だろう。まったく、変な方向に影響を受けやがって……そういうのは、しっかりと下準備や関係各所に話を通してこそ成功するものであって、パットでの思いつきで成功する訳無いだろう。


 例え、成功したとしてもその後の国の統治はどうするつもりだ?ハットリ家の報告を聞く辺り思い付きの行いだ。


 シオンも王族だから味方をする貴族も居るだろう。ならその貴族もまとめて一掃するか?


「甘いなぁ~~やるならもっと上手くやれよ。情報筒抜けじゃん。甘い。甘い」


 レンは、ボソッと呟いたことを、女子トークを繰り広げていた三人は、耳に捕らえたようだ。マナはこの声を出す時のレンの心情を理解していた。







 怒っている時だ。






「……はぁ、面倒くさい。中途半端な覚悟で動くなよ。馬鹿らしい。それで簡単に命失うんだぞ」


 大声ではない。人は本当にキレた時は静かに怒るものだと思っている。まさに、今のレンはそれに近い……いや、その状態だろう。

 何で、その状態に陥っているか解らない内は、変に話しかけるべきではない。レンの言っていることを注意してマナは聞く。

 途中、リーナがレンに話しかけようとするが、マナが制する。今はダメだと。


 シオンのことだから、エリザの命までは狙わないだろう。しかし……予想以上に早く動き出したな……トクヤを連れ出しといて良かったと言った所か……トクヤが、王城に入ったらシオンは接触するんだろうなぁ~~


 だったら、今のうちにやっとくか?幸い、向こうの馬車には、リーヴァンも居る。いや、それをすれば母上の身の安全も心配だ。それに、大義名分を与えかねない。


 ここは、一回大義名分無しに事を起こさせて、求心力を低下させるのも一手か。


 まぁ、シオンがしようとしている事は、甘いの一言が丁度いい。シオンの予想以上に、王国内には、レン派の人間が居るし、レンの情報網が敷かれている。


「もう……手の施し様が無いねぇ~~こればかりは、仕方ないなぁ~~」


 レンは、頭の中で、色々考えを巡らせるが、勝てると判断した。自分自身が油断しなければだ。ただ二つほど懸念点がある。


 一つ目、これに関しては、マナが最初は怒るだろうが、別日を提案して誠心誠意謝ればなんとかなる……と思いたい。

 二つ目、これは、マホの心情が心配だ。母上に関しては、手紙にて、「レンの判断に任せる。国王一族に嫁いだ以上……覚悟はしています」と記されていた。手紙に「……」を入れている辺り、母上も相当悩んで覚悟を決めたのだろう。ただ、マホは心配だ。公国の出来事だって、本人には刺激的過ぎると判断して内容を聞かせるだけにして見せなかった。


「ほんと……王族一族って、残酷だなぁ……」


 女子三人衆は、黙ってレンのことを観察し続けている。


レンは、動き出す。


 まずは、マナに約束していたデートのキャンセルだ。傍から見たら最低な男だが……しょうもない内戦を初期段階で鎮火しなければ、この先は無い。


「………マナ」

「なに?」

「帰国後のデートは、やっぱナシで……」

「……うん」


 レンの一言に、マナは何かあると踏んでいたので理由をレンがいうまで、待つという姿勢だ。しかし、事情が解らないマホはポカーンとしいて、リーナはキャンキャンと抗議の声を上げていた。


「ちょっと。レン!デートの約束をキャンセルとかどこの悪男だよ!約束守れよぉ!!」

「キャンキャンうるさい。骨やるからカジっとけ」


 レンは、何処から出したのか骨をリーナに投げつけた。完全に犬扱いだ。


「……ふざけてる?」


 投げつけられた骨を握り砕いた。


「ふざけてないよ。とにかく、マナとの帰国後のデートはキャンセル。それ所、じゃ無くなった」

「……マナの気持ちは!?その日の事をどれだけ楽しみにしていたと思ってんの!!」

「だから、うるさい」


 レンとリーナが、口論をしている。話が進まないと判断したマナは、レンに食って掛かっているリーナの頭をハリセンで叩き、痛いと怯んだ瞬間にリーナの肩を押して自身の席に座らせた。


「リーナうるさい。レンくんが理由言えない」


 レンは、マナに感謝のアイコンタクトを取ると、続いてマホに話しかけた。


「マホ……改めて聞くよ……」


 レンの雰囲気は、適当な返事は許さないと言った表情だ。その場の雰囲気で答えることは許さないと言った雰囲気だ。


「マホは、僕とシオン……どっちにつく??」

「……それは、お勉強とかの……」

「違うよ。マジの話。マホの命にかかわる話」


 レンは、敵対した相手は、家族だろうと容赦はしないつもりだ。


「私は、レンお兄様に付きます」


 マホは、レンに付くと判断した。マホ自身は、レンとシオンの政治家としての才覚を見て……お勉強を見てくれる優しいレンお兄様。


「りょーかい」


「それで……レンくん。何があったの?私とのデートキャンセルしてまでさぁ?」


 今まで黙っていたマナは、理由を催促している。理由も無しにデートキャンセルは許さないようだ。当然か。


「シオンが、打倒僕を抱えて反乱の準備をしている」


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