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158. 大公就任

 レイノス・フルヤ・モリヤの三人は、公開処刑となり、即刻、刑が執行された。


 スズカは、処刑の場に立ち会った。刑罰を言い渡した張本人以上に、血の繋がった人間の最後は見届けようと思ったからだ。


 レンは、ミカン城に帰って来たスズカを出迎える。


「お疲れ」


 一言簡単に、そう告げる。この後の対応は、スズカ自身がどうするか……キャッチボールのボールをスズカに投げた格好だ。

 スズカは、一瞬、悩んで直ぐに、ボールをこちらに投げてきた。


「ごめん。レンとマナ……一緒に来てくれない?」


 レンとマナは、スズカに案内されて、スズカの自室に入った。二人は、スズカの自室に入るのは初めてだったが、室内には、スズカの母親代わりだった、メイド二人……アユミとヒナとの思い出の品もある。


「大丈夫か……スズカ……」

「流石だね……憎悪のままに動いていたけどさぁ……いざぁ、積年の恨みを晴らせると思ってたけど……いざ、判決を言う時に、自分の一言で人の命が失われるという事実に気が付いた時……心の中がこわなった……」


 何故、応接間でなく自室に案内されたことを理解したようだ。

 それは、弱みをミカン城内に居る人物に見られたくないからだろう。自身の傍仕えのセバスの入室も堅く禁じた程だ。


「だよな。 俺たちの一言には、人の命……国民の何十万人以上の命を背負っている……僕も、始めて死罪を伝えるときは同じ気持ちになったよ……」

「その時は、どうしたん? マナに甘えたとか?」

「……その時はさぁ……マナが、秘書官になる前だったから……自室のベットで一人で潜ってたよ」

「そっか……やっと、レンと同じ立ち位置に付けた気がするよ」

「……スズカは、公国に残された唯一の公族の一人だ。護衛はしっかり付けろよ?」


 レンは、あくまで、スズカの内情まで深入りしない。これが、マナならどんどん深入りしていただろうが、スズカはあくまで、同盟国のトップになった人間。

 まぁ、異性で深入りは、まずいと思ったのはあるのでマナをスズカに寄り添わせる。同性なら気兼ねなくハグでも出来るだろう。

 スズカは、マナに抱き着き少しばかり心を落ち着かせていた。











 スズカは、気持ちを落ち着かせた後に、自室を出るとセバスの基に移動した。セバスも定位置となるスズカの隣に移動した。


「スズカ様……レン様に命令された通りに準備は整っております」

「わかった」


 スズカは、ミカン城の大広間に向かった。


 そこには、既に、ミカン城内に務める政治家達が、中央のオレンジ絨毯を境に、縦一列に並んでいた。スズカは、そこを堂々と歩いて行った。

 レンは、その後ろをマナと共に歩いて行く。レンは、公国で何度目か解らないが、正装に着替えている。


 スズカは、中央にある大広間で一番豪華な椅子に腰掛け、レンは、セバスに案内された椅子に腰掛けた。マナはレンの右後ろに立った。それを確認したセバスは、スズカの基に移動した。


 スズカは、立ち上がり政治家並びに、通信機越しに聞いている国民に向かって宣言する。あの時のレンみたいに。






「私……スズカ=オレジアナは、本日より……オレジアナ公国の大公に就任することを宣言致します」






 スズカは、自身だ大公に就任することを宣言した。その後に、自身の親族が行った事に対する懺悔を行った。スズカが、演説を終えると同時にレンは席から立ち上がり、スズカの隣に移動する。


 移動を終えると、レンも一つ宣言する。


「私、ラインブルー王国、首相、レン=ラインブルーは、スズカ様のオレジアナ公国の大公就任を支持いたします。これは、ラインブルー王国の国王の言葉と取って貰って構いません」


 スズカの大公就任を、ラインブルー王国が認めた。この事実は、周辺国もスズカをオレジアナ公国の大公に就任を認めざる得ない。


「これからもよろしく頼むなぁ……スズカ様」


 レンのスズカへの呼び方は、様付けに変わった。大公という国家元首になったスズカと一国の行政のトップに直ぎないレン。この一日で、二人の立ち位置は、大幅に入れ替わった。


「様付けは、慣れへんなぁ~~よろしく。レン殿」


 スズカの呼び方も変わった。国家間の要人にとって、人前での言葉遣いは、気苦労すると言った物だ。











 新たに、スズカの執務室になる部屋に、レン・マナ・マホ・スズカが入る。マホは、先ほどの行事は、別室で視聴していた。


「いやはやぁ~~大公就任~~一気に地位を追い抜きよって~~なぁ?スズカ?」

「そう言うんやったら、はよ国王になれよ?」

「お兄様?一回父上から国王就任打診されてましたよね?」

「えっそうなん?」


 何故、マホが知っているのか……恐らくは、トクヤが言ったのだろう。


「レンくんそうなの? 私には、首相の就任を打診されたって……」


 何故か、マナまで食いついて来た。


「まぁ~~国王就任を打診されたけど……断ったのは事実だよ? そして、首相に就任することは僕からお願いした。 これが事実」

「何で、国王にならなかったの?」


 疑問に思ったマナが、レンに尋ねる。国王になれるチャンスを棒に振るとは、常識的に考えて有り得ないのだろう。


「別にさぁ……立法権と行政権……王族だから、実質的に司法権も持ってる。エセ国王の形……でもいいと思うんだけどなぁ~~まぁ、直近……嫌でも、僕が国王に就任することになるかもね……」











「本当は、国王になんてなりたくないけど……」


寒くて布団から出れません(´・ω・`)


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