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148. 最恐同士の出会い

 スズカは、母親のことが大好きだった。産まれてからというもの父親から愛された覚えが無い。父親であるレイノスは、上の兄二人ばかりを見ていると感じた。

 実際問題そうだったんだけど、スズカは母親に愛されていたことだけで十分だった。


 しかし、突如別れという物が来る。


 スズカが、八歳の頃に母親が病死した。寂しくて一日中泣いたりした。けど、まだ八歳の女の子にとっては、残酷な出来事だった。


 スズカは、新たに自分を愛してくれる存在を求めた。


 父親であるレイノスに、愛情を注いでもらう事を期待した。産まれてこの方、自分の事を見てくれなかったが、母親が居なくなってしまったのなら、レイノスも自分の事を見てくれると期待した。






 しかし、そんな淡い期待もレイノスに裏切られることになる。






 レイノスは、今まで以上に、兄二人だけを見るようになった。別に、薄々解っていたことだ、産まれた一族は、何か特殊な一族だとは理解していたし、八歳にもなればそれが、政治家一族だという事は、理解していたし、レイノスが忙しい事も理解していた。

 けど、やはり、血の繋がりのある親に愛されたいというのは、子どもの本能的欲求だろう。レイノスに、興味を持って欲しくて、世話係として居る二人の、メイドに協力して貰ったりもした。






 しかし、レイノスはそれでも興味を示してくれなかった。






 スズカにとって、絶望だった。悲しくて、一日中泣いた。それを見かねたメイド二人は、必死に宥めてくれた。スズカにとってそれが嬉しかった。


 その日から、スズカにとって二人のメイドが母親代わりとなり、たまに姿を見せてくれた、セバスが父親代わりになった。メイド二人は、セバスの双子の娘さんだった。

 そこからは、楽しい日々だった。メイドたちと遊び、たまに来るセバスに楽しかったこととかを話すという事が物凄く楽しかった。

 三人から聞く、公都の街のことを聞くことが最も楽しい時だった。











 十二歳の頃に、とある事件が起こるまでは………











 急に、メイド二人が来なくなり、セバスが毎日来るようになった。怪しいと思い、セバスを問いただした。口を堅く閉ざしていた

 問いただした。必死に、問いただした。






 セバスから聞かされた内容は、衝撃的だった。






 二人は、死んだということを聞かされた。おかしいと思った。


 二人は、まだ、二十代であり数日前までは元気だったので病死では無い事は確かだ。ってことは、何かしらの誰かしらの他者の手が入った可能性を疑った。事故ならセバスも死因を隠さずに言うだろう。


 セバスが死因を話さないということは、公家か政治家一族が絡んでいる可能性あり。最後に二人と会った時ときの記憶を探る。


 少し、お腹が出たことを指摘した事を思い出す。


 ただ、太っただけで殺されるか?有り得ない。では、あの容姿の変化は、太ったわけじゃない。では、女の子がお腹が出るとしたら……妊娠?だったら、消される理由にも合点が行く。


 妊娠していた場合相手、誰だ?二人の行動範囲的に、公家の人間の可能性大。そして、私の身近にそういうことをしそうな人物が二人いる。


 スズカは、瞬時に一つの可能性に辿り着いたし、物的証拠が一つでも見つかれば、この推理にも辻褄が合う。


「ねぇ、セバス。二人に何があったの?もしかして、二人が死んじゃったのは……公家も関りがありますか?」


 その時のスズカの表情は、恐らく、物凄く醜いものだっただろう。レイノスに殺されることも覚悟の上だった。自分がした推理において百%悪いのは、公家だ。


 セバスから聞いた内容は、吐き気を覚えるものだった。やはり、犯人は公家の人間。しかも、父親であるレイノス。二人の愚兄のモリヤとフルヤだった。

 しかも、それは全て自己中心的な犯行だった。二人の愚兄は、自身の性欲解消のため、父親は、自身の保身のため。しかも、民間人にも被害が及んでいた。


 スズカは、吐き気を必死に我慢しながらセバスに謝った。その時の感情はぐちゃぐちゃだった。しかし、セバスは怒るどころか、自身が死ぬまでは、スズカの隣に居ると言った。











 その時、スズカは決心した。


 自分が力を付けて、この国を変えようと……そのためには、手段を選ばないと。セバスの無念・被害に遭った国民の無念……なにより、自分の大切な人の命を複数人も奪った憎い家族を公国から追放するべく動こうと思った。











 しかし、現実は厳しいもので、力を付けようにも上の愚兄二人のどちらかに、国内の有力貴族は味方に付いていた。

 更には、レイノスは、政略結婚の道具としてスズカを扱った。


 月日が流れていくにつれて、憎悪は、どんどん深まって行った。国を変えるにも大事なピースが足りない。そう、パートナーだ。


 そんな時だ。


「僕と手を組まないか?」


 レンと出会ったのは。


 不思議と私たちは、馬が合った。お互いの政治信念等々、話し合っていくうちに、この人となら手を組めると判断した。

 スズカは、なぜ自分がこう動いているかの説明をレンにしたが、レンはそれを解った上でスズカに近づいて来たのだ。


 別にどうでも良かった。


 最悪の家族を国から消し去り、公家の罪を断罪できるなら誰とでも手を組む。


 これが、最恐の出会いであった。


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