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145. うつけとあたおか女子

 スズカが放った爆弾によって、レンが爆破されそうになっている。その様子を面白く見ていたが、流石にレンが可愛そうだと思ったため、爆弾の解体に動く。


「マナ!マナ!聞いて!」

「…………なに?」


 目に涙を浮かべながらスズカの顔を見たマナ。本当に、レンのことを大切に思っているんだという事が伝わってくる。

 少し、罪悪感も芽生えるが、二人で立てた計画の中でけっこうアドリブをぶっこんで来たレンに対して少しばかり仕返しをしたいと思ったのだ。セバスもレンのアドリブの被害に遭っているのだから。


 まぁ、セバスの一件に関しては、こっちの愚兄が先にしでかしたので文句は言えないが。


「レンとは、クリーンな関係!何もない」

「……ほんと?」

「よく考えなよ?レンがマナに嘘吐いたことあった?」


 スズカの言葉に、マナはやっと冷静さを取り戻したようだ。頬を赤らめて少しばかり照れている。ただ、まだレンの胸倉を掴んだままなのだが……。


「よっよかったぁ~~」

「……所で、マナ?」

「どうしたの?」

「レン。解放してあげなよ!顔から正気が抜けて行ってる……」

「えっ……あわわ、ごめん。レンくん」

「……チーン……」


 やっと、マナの拘束から解かれたレンは、座っているソファ意気消沈したように倒れ込む。マナは、そんなレンを物凄く心配した。自分がきつく拘束したことが気になっているのだ。


「……レンくん?!大丈夫?! ごめんねぇ~~。レンくんの意見聞かずに、突っ走ちゃって……本当にごめん~~大丈夫~~??」


 レンは、白目を向いて倒れ込んでいる。いくら何でも大袈裟過ぎる。恐らくは、マナに胸倉を掴まれていた時も上手く首が閉まらないようにしていたが、動揺しているマナは、これが演技だと気が付いていない。


「……ごめんねぇ……ごめんねぇ……」


 段々とマナが、泣きそうになっていた。すると、レンの手がマナの尻尾を鷲掴みにした。


「……!!んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 急に、尻尾を触られたマナは、悲鳴に近い声をあげた。


(レン。そこは頭を撫でてあげるのが、女の子的に良いと思うんだけどなぁ~~やっぱり、イタズラ心が芽生えたか)


 レンは、上体を起こして腹を抱えて爆笑している。マナは、状況を理解出来ていないようだった。しかし、これまでのことが、レンによる自作自演だと認識したのだろう。

 途端に恥ずかしいのか、怒っているのか、顔が真っ赤になりながら、ハリセンを取り出して振りかぶりレンの頭を叩いた。











 色々あったが、やっと話し合いが始まる。旧グリアナ帝国の滅亡から始まり王国と公国の条約締結、そして、スズカの愚兄二人の政界からの追放。

 ここまでは、あの日初めて、レンとスズカが顔を合わせたその時から進んでいた。


 ラインブルー王国で、『うつけ者』と言われるレン。オレジアナ公国で『あたおか女子』と言われていたスズカ。この二人に共通していた才能は、政治家としての才能、物事を瞬時に判断する判断力等々、一時代に、二人の才能が生まれた。

 

 レンに仕えているハットリ家の次男であるリーヴァンは、この二人が対立すれば、大陸中の国を巻き込んでの大戦に発展する恐れもあると感じていた。

 反対に、この二人が手を取り合い協力する道を選べは、国内で少々の火種は散るが、両国の国力は格段に上がるだろうと読んでいた。











 まず、旧グリアナ帝国を滅亡させた要因は、一つ目は、王国と公国の両国にスパイを送り込むなどやりたい放題だったからだ。

 そして、二つ目は、スズカの公国内での評価を上げるためだった。スズカと手を組むと決めたレンとしては、是が非でも、スズカに公国内での地位を上げて貰わないといけない。スズカは、愚兄二人の権力争い等々の非道やそれを注意だけして咎めない父上にお灸を据えたいと思っていたこともあり、レンから申し出られた、話は、公国内での自身の地位向上に繋がると判断した。


 その作戦は、成功した。


 スズカは、レイノスを説き伏せて帝国への訪問を決めると、そこからは、彼女の独壇場だった。「王国も帝国を狙っている」などといろんな情報を上手い事使って、公国兵を出兵させて王国兵の連合を組んで、旧帝国を滅亡させた。





◇◇◇



 レイノスは、スズカが王国と交渉するために公国兵の派兵を求めたと思っていた。しかし、側近の報告でスズカが、王国の第一王子と協力して旧帝国を滅亡させたと報告を受けたレイノスは、急いで、シノバンに向かった。


 それは、二人の掌の上で転がらされていたということだ。


 シノバンで、レンと対面したスズカの申し出をしっかりと吟味しなかったことを激しく後悔した。


第三公女だからと、何処の国の王子に嫁がせるかを計画していた。

 公国を継承するのは、息子二人の内のどちらかと決めていたこともあり、二人の愚行を揉み消すなどをしていた。それが、スズカの逆鱗に触れているとは思わずに……


 繰り返そう。


 レイノスは、シノバンで、レンと対面した時に、スズカの申し出をしっかりと吟味しなかったことを激しく後悔した。


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