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144. 二人の出会い

 ラインブルー王国の第一王子だったレンとオレジアナ公国の第三公女スズカ=オレジアナの利害関係が一致したこの計画。

 二人は、レンが身分の商人と偽って訪問した際に、周辺国からしたら最悪のレンとスズカからしたら運命の出会いがあってからこの計画はスタートした。






◇◇◇






 スズカは自分宛てにミカン城に訪問して来たという商人と顔を合わせるために、ミカン城の一階にある、拘置所の近くの部屋に向かった。

 ノンアポの訪問かつ商人が護衛も無しにサシで話したいという申し出は、最悪の事態を想定しなければいけないからだ。

 セバスからの情報では、商人は男で女を連れていると……一件、女を連れて襲いませんという無害アピールをしておきながら女は奴隷で、対談相手の女性が性的暴行を受ける……


 スズカのクソ兄貴二人が、よくやる手法だからだ。


 いや、スズカの場合は、まだ……まだ、性的暴行を受けても命さえ助かれば政治家一族の娘として、父上に事情を話して、国家権力総動員して犯人の逮捕をすることが出来る。

 スズカは、色んなことを考えながら、商人が待っているという部屋にセバスと共に向かう。


「誰や、商人と聞いてたけど? 商人にしては、えらいみすぼらしい格好してんなぁ~~」


 部屋に入って、まず驚いたのは、商人にしてはかなりみすぼらしい格好をしているということが。公国ならずとも帝国の商人だって借金してまで、少しでもいい格好をしようとする。

 

 スズカが商人という男に警戒の目線を向けると、商人もその隣に居る女の子もスズカと隣に居るセバスを見た。その時の視線に、スズカはドキッとした。

 この視線を私は何度か見た気がする。


 二人は、視線をスズカからお互いの顔を見合わせてニッコリと笑った後に、再び、スズカに視線を戻した。その時の視線は、大変穏やかなもので、拍子抜けした。


「なぁ、後ろの扉閉めてくんない?余り、外部に話を漏らしたく無いやん?」

「何をする気や?」

「……なに?話し合いのつもりで来たんやけど……抱かれたいわけ?」


 スズカは思った。商人のくせして、さっきから警護を使わずに、タメ語で話してきていること。そして、商人は平民であり私は、政治家一族の娘。あまり、身分の話題を出したくは無いが、少し礼節が外れている気がする。

 いや、待てよ。抱かれたいとか言ったなこの商人とやらの男。一国の政治家の娘に対して、そういうこと言うなんてえらい度胸していると思った。

 セバスが、私の前に立って守ろうとしてくれたが、パシン♪という甲高い音が部屋に響いた。


 商人という男が、連れて来ていた女にハリセンで叩かれていた。男は女と何か楽しそうな表情になっていた。


「ねぇ……スズカ様。そこの扉閉めて頂けませんか?」


 女の方も扉を閉めることを要求してきたので、私は諦めて扉を閉めて警備の兵士も追い払うように命じた。セバスは尚も止めたが、スズカはそれでも強行した。


「スズカ様。何かあった際には……」

「大丈夫やろ?どうせ、私は第三公女。抱かれようが殺されようが、公国自体に影響なんて少ないやろ?」

「……スズカ様!」

「ええって。クソ兄貴二人の政略結婚の道具にされる位ならここで私の商品価値下げてでも勝負したるわ!!」


 スズカの覚悟に、これは従うしかないと察したセバスは、大人しく部屋を出て行った。その後にスズカが部屋の扉を閉めて商人を名乗る男女の向かいに座る。


「別に、セバスさんだっけ?君の傍仕えの人。居てくれても良かったのに~~」

「……何が言いたいんや?私を抱くなら、男が居る方が都合悪いやろ?」

「何で抱かれる前提やねん」

「せやから、必死に人払い求めたんやろ?」

「んな訳ないよ?ていうかさぁ~~僕がスズカを抱けば、国際問題になりかねないし~~マジの戦争になりかねないやんかぁ~~」


 商人を名乗る男が言っている意味が解らなかった。恐らくは、外国の商人なのだろう。確かに、外国の商人の男に公国の第三公女が、性的暴行を受けたとなれば、国際問題になるが戦争まで発展するか?


 すると、商人という男は、ずっと頭に被っていたフードを取り素顔をスズカに見せた。その顔に、スズカは大きな見覚えがあった。

 そう。外国の世界情勢を調べて一度でも会ってみたいと思っていた人物。ラインブルー王国の第一王子のレン=ラインブルーだった。


「スズカ。君のこと気に入ったよ! さぁ~~両国のために、商談といきましょうや!」






◇◇◇






 スズカは、レンとの出会いを思い出していた。


「どうしたん?何か懐かしそうな顔してるん?」


 レンが、疑問を投げかけて来た。未だに手を握り合っているレンとマナの様子に少し油を注いでみようと思いちょっとした爆弾を投下した。


「いやぁ~~レンに抱かれた事を思い出してねぇ~~」


 スズカの爆弾発言に、レンは慌てている。何せ、レンの隣には、レンに好意を寄せている猫耳族の可愛い女の子の爆弾が爆発しかねないからだ。


 本当に抱かれた訳じゃないよ?ただ、ここまでの計画は、殆どレンの計画に乗せられただけ。だからお礼に二人の関係性の発展に爆弾を投下してもいいじゃんか。


「レンくん。どういうこと?スズカとシたの?……うぅ」


 マナは、泣きそうな顔をしている。レンはマナの涙に弱い。レンは慌ててマナを泣き止ませようとする。


「マナ。スズカとは関係持ってないよ!本当だから!信じて……お願い……」


 あぁ~~二人のイチャイチャ面白い。


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