14.うつけの予想外の沙汰!
「続いて,三件目…秘書官任命式に関する裁きを行います…陛下と王妃様…玉座から移動してください…」
サヨの発言に,先ほど以上の動揺が広がる。
父上は,怒りの表情で,サヨに問いかける。
「サヨ…どういう事だ…なぜ…国王である…私と王妃である…妻が,裁きを受けないといけない…」
「…………」
父上の問いに,サヨは無視をする。これは,答えられないからでは無い…僕からの指示だ。
更に,父上が詰め寄る…
「おい…答えろ…」
「ゴホン…」
僕は,軽く咳払いをして,合図をだす。合図を確認した,サヨは,父上の問いに,答える。
「陛下…私が,最初に読み上げた『秘書官任命式に関する裁き』です……それに,今回の裁判は,レン第一王子に,裁きの権利が与えられています…王子に聞かれては,どうですか…??」
サヨに続き,僕も父上に
「父上…あなたも,国王なら問いただす相手を間違えないでください…国家の恥ですよ…そして,早く玉座から移動してください…今のあなたは,国王である前に,被告なんです…これ以上…玉座に居座って裁判の進行妨げるなら…懲罰もありえますよ…??」
父上は,少し怯えた表情をして,母上と共に,玉座から立ち上がり先ほどまで,オーティズ公爵が居た位置に移動した。
そして,僕は先ほどまで,父上が座っていた所に移動し座る。
「いい景色ですね父上…いや,トクヤ被告…」
「何を,企んでいる…」
「何も,企んでいませんよ…ただ,法を犯した人間を裁くだけです…」
「私たちが,何したって言うの!」
「おや?お忘れですか?王家が法を曲げた…違法な,身分差別を行ったこと…お忘れですか…?」
母上は,心辺りが無さそうに,ポカンとした表情をしている。父上は,思い出したのか諦めた表情をしている…
「何をしたって言うのですか…!!」
僕は,未だに,状況を理解していない母上に,答えを言う。
「先日に,開かれた僕の,秘書官任命式にて,父上と母上は,侯爵家以上の者しか呼びませんでした…このことに,関する裁きです」
「それなら…リーナとマナを秘書官に任命すること認めたじゃない!!」
「…まさかとは,思いますが二人を秘書官に,任命することを認めることで,罪を償ったと思いで…??」
「そうでしょう…!」
今の母上は,誰が見ても解るぐらい冷静では,無い…先の,裁きで貴族家を死罪にしたのだ…貴族出身の母上は,自分の身を案じているのだろう。
「母上に,こういうこと…言いたくなかったですが…言わせてもらいますね…愚か者目が…!!」
無慈悲だと,思われるだろうが…一応,母上には感謝している。転生前の日本と比べると医療技術が劣っている王国で,お腹を痛めて産んでくれたのだ…
けど,この腐りきったこの国を変えるにはどうすればいいか…まだ,見習いの僕が,出来ることは何か…
答えは,簡単だ…情を捨てることだ…例え,身内だろうが,不正や法を犯したなら裁かないといけない…でないと,長年虐げられていた,民達は,許してくれないだろう…
「父上…理解されているようですし…父上から説明されますか…?それとも,僕が説明しましょうか…?」
これは,僕が出来る最大限の情けだ…これ以降は,情を捨てる…
「レン王子の口から,説明してください…私は今は,被告という立ち位置です…情けは,不要です……」
父上は,覚悟を決めた表情をしている…母上は,そんな父上を見て驚いた顔をしている。
「では…説明しますね…秘書官任命は,僕が王族の業務に携わるための儀式みたいな物です…それに,先ほど…母上は,リーナとマナを秘書官に任命すること認めたことが償いだと言いました…母上…いや,エリザ被告…その発言は,王国法の『いかなる理由があろうと身分差別・種族差別を禁ずる』に抵触していることに,お気づきでしょうか…?」
僕は,続ける。
「法律は,身分に関わらず適応されるべきです…秘書官任命式に,侯爵以上の人しか呼ばないという行為…今回の母上の発言は…国民の王国への信頼を損ねる行為・発言であることに…お気づきですか…!!」
ここまで,言うと母上は,やっと状況を理解したのか…地面を見て大人しくなった…
僕は,情を捨てる…
「判決を言い渡す…」
まずは,母上…エリザ被告
「まず…エリザ被告…あなたは,身分を王族から奴隷に落とします…今後,国政・領政の場に関わることを一切禁じます…もし,今後,国政・領政の場に関わろうとした場合…解り次第身柄を捕らえ…死罪とする…」
参列している貴族家の人たちの反応は,様々だ…腰を抜かして座り込む者…涙を流す者…どうやら,声が出ないようだ…
「続いて…トクヤ被告…あなたの所有している財産の八割を,国庫に納めてもらいますエリザ被告との婚姻関係の継続は,認めるがエリザ被告が,今後国政・領政の場に関わった場合,連帯責任として…あなたも捕らえ死罪とする…しっかりと自身の奥さんを監督するように…!」
裁判自体は,大きな波乱を呼びながら裁き自体は,終了した。父上は,玉座に向かって左側にはけ,母上は,兵士に連れられ大広間から退場した…
僕は,玉座から立ち上がり階段付近に立ち,国民に向けて話し出す………




