129. このやろう!!
この日は、朝から公国の王家との食事会が控えている。
朝食なので、比較的軽めのメニューななるので、お話がメインになるだろう。
レンたちは、食事会に向けて準備を始めようとした。就寝着のままじゃいけないので、着替えようとするが昨晩と同じように、レンはマナとマホが着替えている間は部屋の外で待機しようとする。
しかし、昨晩同様にマナは、「一緒に、着替えたらいいじゃん」とレンと一緒に着替えることに抵抗が無いといった表情だった。
「あの……マナさん。男の子と一緒に着替えるんですよ。 下着、見られるとかの恥ずかしさとか無いの?」
「恥ずかしさは……あるよ。でも、レンくんなら見られても……平気だから。そもそも、だけどさぁ、レンくんと同室を了承した時点で一緒に着替えること自体は覚悟してるから……」
(今回の部屋割りをしたのは、コノハかぁ……何か、入れ知恵しやがったな……)
これ以上、抵抗しても無駄だと判断したレンは、なるべくマナの着替えを見ないようにして、自分の着替えを終えて二人の着替えが終るのを待つ。
マホはというと、「兄妹だから大丈夫だよね?」っと、コノハに言われていた。
「レンくん」
「レンお兄様~~」
「終わった?」
「「うん」」
二人が、着替えを終えたという事で二人と一緒に部屋を出た所に、コノハと出くわす。
「おはよ~~。コノハ!」
「レン様。おはようございます」
「とっころでさぁ~~部屋割りの件だけどさぁ~~」
「何ですか~~良い物見れました?」
「……マナにどんな入れ知恵しやがった??」
「さぁ、何のことやらぁ~~」
しらばっくれるコノハに、少しイラッときたレンは、少々の仕返しは、大丈夫だろうと判断した。
「あぁ~あぁ~、コノハが話逸らすなら、サユリさんに今回のこと報告し~よ~! そして、二ケ月分のお給与は無しにするかぁ~~」
コノハにとって、母親のサユリに今回、マナにした入れ知恵に関してを報告されるとかなり不味い。サユリは、普段は、穏やかだが、例に寄らず怒ったら怖いのだ。
流石は、現在、本人は無自覚だろうが、長年保たれてきた国際秩序が激変する政策や外交を行っている人だとは思った。
瞬時に、その人が苦手とする物。どう動いたら弱点を取れるかを嗅ぎつける能力の高さは王国ナンバー一といいても過言では無い。
現に、コノハは、母親のサユリに報告という彼女にとって、是が非でも避けたいカードを使われている。
「レン様……母上に報告は……」
「男女同室だけならまだしも……妹が居る前で、あんあやり取りさせられたからさぁ~~せめて、マナと二人ならマシだったのに……」
「おぉ~~マナちゃんと二人なら良かったとでも……いたぁ!!」
レンは、コノハの頬っぺたを抓った。
「そうじゃなくて!……まだ、十歳の妹の前でする会話じゃないんだよ!……っていうか、十歳の女の子が同室って解っててかの入れ知恵したのかなぁ~~」
この時、コノハは悟った。
今、謝らないと、レンくんは物凄く怒ると……小さい時からレンと関わっていたコノハはそう判断した。
「……レン様」
「なんなの?」
「……マナに変な入れ知恵して、すみませんでした!」
「よろしい!……まぁ、少しばかり良い物見れたから……」
「むっつりスケベ!」
「このやろう!!」
レンとコノハのやり取りを遠目に、見ていたマナとマホの二人。
「レンお兄様とコノハさん。仲良いですね」
「二人は、小さい時からの付き合いですからね……小さい時のレンくん見てみたい……私が知り合ったのは、お互いが十歳……今のマホちゃんの歳だったからねぇ~~それ以前のレンくん。可愛かったんだろうなぁ~~」
レンの幼少期を想像していたマナは、この後に、マホから提案されたことに飛びつくことになる。
「王国に帰ったら、母上の所に行ってレンお兄様の小さい頃の写真見る?」
「……!!見る!!」
レンの知らない所で、女の子二人の同盟が組まれた瞬間だった。
レンは、続いてトクヤの部屋に移動する。
コン♪コン♪コン♪
「はぁ~い!」
ノックに、反応したのは、トクヤと同室だったスバルだった。
「スバル。僕だ。入っていいかい?」
「はい!」
スバルから了承を貰い、レンは部屋に入る。
部屋の中には、既に着替えを済ましていたトクヤとスバルが居た。
「おぉ~~~~父上!既に、身支度を終えられているとは、流石ラインブルー王国の国王様。 さぁ、公国の皆様が、朝食を準備して下さっています。 食堂に行きましょう!」
レンは、トクヤに食堂に行くように促すが、またもやトクヤの発作とも言える「イヤイヤ」が、始まった。
「いや、朝は我慢するから……」
「……まさか、出席しないとかは無いですよね?」
「……だから、朝は我慢と……」
「公国も大公陛下が、同席されます。 父上も参列して頂きます」
「……王国の代表として、レンが……」
「父上。 あくまで今回は、国王である父上の公国への式典出席のお供として『首相』の僕が、来ていることになっているんです。 ですので、今回の代表は父上です。」
トクヤは、ばつが悪そうに黙り込む。
しかし、レンは時間が無い事もあり…………キレた。
「父上! いい加減にして下さい!! 一国の代表としてこれ以上の恥を晒さないで下さい! 今回、初めて国外に出てるマホは、しっかりしてる様に見えるかもしれませんが……かなりの恐怖を感じているはずです。 けど、堂々としている。 いい歳した大人が、十歳の娘よりだらしないなんて…………このやろう!!いい加減にしやがれ!!」
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