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124. 泥沼化

「そう。お父様も高齢になっているので、お父様の力が落ちたり……想像したくありませんが、亡くなった際には、蓋が開いた二人の兄は、大公の座を巡っての争いを本格化させるでしょうね」

「そのために、スズカがするべき行動は一つだよね?」

「お父様の力が、あるうちに権力を完全に掌握する。解ってるよ」


 モリヤとフルヤの会話を盗み聞きしたレンは、現状の公国の権力争いが、泥沼化している模様を感じ取った。

レイノスが後継者に、スズカを任命すればいいだけの話に見えるが、レイノスが考えていることは、レンと同

じだろう。


 『内戦』を防ぎたい。


 内戦は、国民にとって良い事は一つもなく権力者だけが、旨い蜜を吸うだけの品物だ。


 国民は、内戦を起こして権力を掌握した政府に、百%の信頼をおいて政治を任せられるだろうか?内戦が起こった国に安心して過ごせるのだろうか。

 仮に、内戦が終結したところで、国内で一定以上の富を得ている国民は、安全な国へ避難してそのまま移住という形になるだろう。

 そうなれば、一気に一国の国力は落ち、そこに目を付けた他国から、支援と言う名目で影響力を付けにかかるだろう。


 もちろん、レンも他国がそういう状況になれば、同じことをするだろう。











 ここで、レンは自身の考えをスズカに述べる。


「僕自身……公国の権力争いに巻き込まれたくないね……まぁ、今回の争いにおいて『中立』は保たせてもらうよ?」

「そうだよねぇ~~直接的に関わりたくないよね。内戦になった時に、軍事的支援は??」

「……難しいね……う~~ん。人の支援は、絶対に出来ない。約束は、出来ないけど武器の支援は、当時の王国の状況に寄りけりだね」

「やっぱり、人の支援はしてもらえないですよね」


 パチン!


 レンは、スズカのおでこにデコピンをお見舞いした。


「いたッ!」

「スズカ……そもそも、内戦が起こらないようにするのが政府の役目だよ?外務大臣になったんだったら内戦を起こさないよう尽力しなさい!」

「はぁ~~い。レン手厳しいねぇ~~」


 スズカは、デコピンされたおでこを摩りながら喋っている。


「あっ、もし公国で内戦が起こった際には、支援という名目でどんどん公国内で影響力を強めていく算段ですのでよろしくねぇ~~」

「……公国のことばっかり、言ってるけど王国は大丈夫なん?」


 オレジアナ公国も……いや、気が付いたのはレイノスとスズカだろう。


「マホの件かな??」

「そう。本来ならトクヤ陛下の次男であり君の弟の、シオン=ラインブルーが来ることが常識だけど、マホ=ラインブルーが来た。王位継承権二位を差し置いて、王位継承権三位が来ているってことは、王国でも継承順位が揺らぐ出来事があったんじゃない?」


(へぇ~~、いい着眼点をしてるねぇ~~本当に、王国内にこんなにも政治談議できる人材が欲しい……他国との政治の話は、談議じゃなくて実際の政治の話だからなぁ~~)


 レンは、心の中でこう考えていた。王国に残っているサヨ・エリザ・レンが認めている政府の人間以外は、寒気を感じてクシャミをしたそうだ。


「いんやぁ~~マホは継承順では上だよ?」

「ん?王位継承権では……??」

「ざんねぇ~~ん。ウフフ」


 レンは、スズカに向けて嫌な笑顔を浮かべる。


 スズカも、少しムッとした表情になった。


「なぁ~~に~~??何か、ムカつく表情やなぁ~~」

「スズカは、僕の後継者筆頭だよ?」

「はっ?まだ、子どもが居ないレンならシオンが王位継承順ではレンの次だろ?」

「ざんねぇ~~ん。ウフフ」


 レンは、またもやスズカに向けて嫌な笑顔を浮かべた。


「だから、その表情辞めて!」

「だってぇ~~スズカ、ずっと、王位の話しかしないじゃん♪」

「えっ?継承関係って、王位だけじゃ……」

「ばぁ~~かぁ~~!!」

「はっ?!」


 スズカは、顔を曇らせてレンを見つめている。


「僕は、まだ王位に就いてないよ?……今回の公国への訪問も体裁的には、国王である父上に同行するのは王位継承権一位の僕が同行人として来たことになっているけど?」

「あっ、なるほどね……あぁ~~レン『首相』だっけ?」

「そう。『首相』やっているよ」


 スズカは、何か言いたげな表情に、なっていた。


「でもさぁ、今のラインブルー王国の政治体制程さぁ、危ういものない?」

「肯定も否定もしません」

「出た!伝家の宝刀!」

「うるさい」


 レンとスズカは、久しぶりの二人での会話を楽しむ。


「レンは、いつ頃王位に就く予定なんや??」


 話題は、レンの王位継承のタイミングになった。


 レンは少し、ばつの悪そうな表情になって、平常な表情に戻ったが、スズカはレンの表情の変化を見逃さずに問いただす。


「今、一瞬、表情変わったね。何か、事情がありそうやね」

「気づくなよぉ~~王位ねぇ~~僕が、継承することは王国にとって……いや、王国の国民にとって良い事ではないと思うんだよね」

「そうなの?……レンは、政治家としての能力はかなりあるって、父上は言ってたよ?」


 レンは、一瞬嬉しそうな表情をしたが、また直ぐに、平常な表情に戻る。


「それは、嬉しいね。でもねぇ……ラインブルー王国が、泥沼化するのは、僕への王位継承のタイミングだと思う」


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