122. ショー
オレジアナ公国の公都ミカンにある公城『ミカン城』に、到着したレン達一向が到着し、オレジアナ公国側も大公のレイノスを始め、娘のスズカに泥沼の権力争いを繰り広げている兄二人も出迎えに出ていた。
馬車が、ミカン城の前に停まりラインブルー王国の護衛の兵士が扉を開けた。
ここは、王族であるレンを始めとする王族が出て、レイノスと対話することになるので、レンは席を立って馬車から降りるとレイノスとスズカに挨拶をする。
「すみません。夜中の到着になったのに、お出迎え感謝です」
「いえいえ、こちらこそここめでの長旅をされたレン様に比べると待っていただけですので……」
「そう言ってもらうと助かります……」
レイノスと挨拶を終えると、スズカとも挨拶を行う。スズカから「お久しぶり!正式に訪問した感想は?」と聞かれたので「楽しい♪」と答えておいた。
続いて、スズカの兄二人がレンに、挨拶をしにやって来た。
「初めまして。レン王子。私は、オレジアナ公国公位継承権第二位のモリヤ=オレジアナと申します」
まずは、レイノスの長男であるモリヤが自己紹介をしてきた。長男であるモリヤが公位継承権第二位となっている所を見るに、スズカが第一位に躍り出たのだろう。
「初めまして。レン王子。私は、オレジアナ公国公位継承権第三位のフルヤ=オレジアナと申します」
続いて、レイノスの次男が自己紹介をしてきた。
「こちらこそ初めまして。私はラインブルー王国の第一王子であり、現在王国で『首相』を務めています。レン=ラインブルーと申します」
レンも自己紹介を行い、モリヤとフルヤの二人と握手をした。
フルヤが、公位継承権第三位となっている所を見るに、旧帝都で話していた通りにスズカは『外務大臣』を拝命し、実質的では無く、本質的に公位継承権第一位に躍り出たようだ。
マホもレンに続いてマナと一緒に、馬車から降りていたようでレンの隣に立っている。
スズカは、初めて見る顔に興味を示した。
「おやおや?レン?隣に居る小さい女の子は誰??もしかして、マナとの……いたぁい!」
スズカが、最後に何か言おうとしていたがマナがハリセンを取り出してスズカをしばいた。気が付くと、マナとスズカは、親友と言える程に仲良くなっていた。
ハリセンでしばかれたスズカは「しばくばらレンだろ?」と抗議したが、マナは「要らん事言ったのは、スズカです」と言って無視していた。
レンは、マホに自己紹介をするように言った。
「はっ……初めまして。レンお兄様の妹であり王位継承権第三位のマホ=ラインブルーと申します」
(おっ……噛んだ!可愛い!)
マホは、自己紹介を終えるとレイノス・モリヤ・フルヤ・スズカの順に握手をして行った。
「レンの妹か!めっちゃ、礼儀正しいんやん!レンと大違い!」
ここで、マナは動かなかった。
「……おいおい、マナさんやい……スズカにハリセンは?」
「事実を言っているので、ハリセンの必要は無いっでしょ?」
「所で……うちの馬鹿親父は?」
ここでもトクヤは、馬車から降りてきていない。
「陛下は、レンくんの想像通りです」
レンは、頭を抱えた。
「あぁ~~もう。あのクソ親父~~サユリさん。また頼めますか?」
「…………わかりました。レン様も大変ですね……」
「本当に……あっ、抵抗するようなら腕の一本へし折る程度の痛みは伴わせても可です」
「かしこまりました」
サユリが、馬車に入ると馬車からはトクヤの悲鳴に近い声が響き渡る。レンは頭を抱えた。
(あのバカ親父……王国の恥だぞ……腕の一本じゃなく二本にすれば良かったかぁ~~あっ、でもそうすれば、公務に響くか)
「レンくん。悪い事考えてるでしょ?」
「あっ、バレた??」
「ところでさぁ……」
「あぁ~馬車ね」
レンは、オレジアナ公国の出迎えの人に、「ラインブルー王国が主催するショーをご覧下さい」と訳の分からない言い訳……いや、諦めた表情で告げてこの場に居る全員の注目を預けさせた。
「陛下。馬車から出ましょう」
「嫌だぁ~~!!」
「あっそうですかぁ~~では、実力行使に移らせて頂きますね?」
「なっなにをするつもりだぁ??……私は、国王だぞ!!」
「あっ、レン様から腕の一本は、へし折ってもいいとご了承頂いております」
その言葉のあとに、馬車の中から、獣と勘違いする程の悲鳴が聞こえてきた。
「オレジアナ公国の皆様。今回は、私の父上でありラインブルー王国の国王が大分失礼を働きました。少なからずですが、公国内で父上の醜態を娯楽としてお楽しみ下さい」
レンの言葉に、スズカは苦笑いを浮かべながら問い掛ける。
「レン……自分の父上なのに容赦ないな……」
「いぇいぇ……十歳の娘が、出来ていることを出来ていない四十三歳児が悪い……」
「四十三歳児って……」
スズカが、腹を抱えて笑いそうになっているが、レイノスが制止しているのでスズカは必死に堪えている。
何だかんだあり、馬車からボロボロになっているトクヤが降りて来た。サユリさんはハリセンを片手に降りて来たようで、腕は折っていないようで、一安心しておいたレンだった。
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