12.うつけの沙汰②!
裁判は,波乱を呼びながら進んでいる……
一件目の,マテオの裁判は,無罪となった。
我が王国の裁判は,国王が判決を決定して下すと法律で定められているが,現国王の父上からなのかは,不明だがいつしか,法相が「この案件は,この判決でいかがでしょうか?」という意見書をそのまま判決として,読み上げることが,慣習となっている…
王国の法律では,判決の決定権は,王族にある。法相は,あくまで意見を出すだけだ。その,王族が法相の意見を全部鵜呑みにしていては,悪知恵が働く,不正貴族に付け込まれるだけだ…現に,オーティズ公爵は,イーディス法相に賄賂を出して自身の身の保全を測ろうとしている。
これも,貴族家を調べさせた時に,こういった案件もあるという報告は受けていた…そして,この裁判においても,オーティズ公爵とイーディス法相が,アイコンタクトを取っているのを見て,これは買収されていると確信した,僕はリーヴァンに命じて,至急調べさせている。
僕は,調べごとは,リーヴァンにお願いすることが多い…リーヴァンの家系は,代々忍びの家系だそうで,家訓は『正確かつ迅速な情報提供』だそうだ。
僕に,執事としてリーヴァンが付くと決まった際に,彼の父親に会った際に,国王になった際に,王国をどのように導きたいかを聞かれた際に,『国の皆が笑顔で過ごせる国を作りたい』と答えたら一家共々,僕に仕えると申し出てくれた。
今では,大変貴重な情報収集を担ってくれている。
今も,オーティズ公爵とイーディス法相の関係性を不信に感じ調査を行わせている。
「二件目の裁判に,移ります…」
裁判は,二件目へ移る。
「二件目は,オーティズ公爵家についてです……オーティズ公爵殿移動せよ……」
オーティズ公爵は,絨毯の所へ移動し,膝を付き頭を下げる…
オーティズ公爵への,裁きは秘書官任命式での一件では,無くオーティズ公爵が領内で,行った圧政だ。
イーディス法相が,尋ねてくる…また僕は,玉座と大広間の間の階段に座っている…
「王子…少しよろしいでしょうか…?」
「ん……?いいよ~!」
「あの…今回は,秘書官任命式においてのオーティズ公爵の愚業での裁判では…?」
「ん…?僕そんなこと言ったっけ…?ていうか…法相にあてた書簡にそんなこと書いてたかな…?書類読んだの…?」
「いえ…その…オーティズ公爵とマテオが秘書官任命式の一件では…??」
「愚かだね…イーディス法相…マナ…法相に送った書簡の控え持ってきて…!」
「かしこまりました…」
あぁ~なるほどねぇ~こりゃ,書類読んでないな…僕は,法相に送った書類にはこう書いておいた。
『 今回の裁判の内容
一件目 マテオ被告によるレン第一王子の招待客へ斬りかかった件
二件目 オーティズ公爵家による領内での悪政による民たちへの被害の件
三件目 ………
を裁く予定です 』
マナが,イーディス法相に送った書簡の控えを持ってくる。それをイーディス法相に渡して,二件目の所を読み上げさせる。
「えっと…二件目 オーティズ公爵家による領内での悪政による民たちへの被害の件…」
「そうです…オーティズ公爵は,領内で行った民たちへの圧政について裁く…」
「王子…!秘書官任命式の件は…??」
「それに関しては,あの場では,王家自らが法を犯していた…王家自ら法を犯してたのだ…その件に関して裁くつもりは,毛頭ない…だが,オーティズ公爵の領内での悪政は,裁く必要があった」
「それでも…拘留するには,私の許可証が必要なはずです…!」
「マナ…その書類も渡して…」
マナに,もう一通の書類を渡すように命じマナがイーディス法相に手渡す。
「拘留の許可は取ったぞ??お前のサインに判子もあるだろう…?」
「そっそんな…いつの間に…」
「そんな…?どういう事だぁ?」
「いや…その…」
ここで,僕はイーディス法相に対し掴んでいる情報を話す。
「哀れだな……普段から適当な仕事をしている証拠だ…何も考えず適当に書類にサインをしているだけ…そんな奴が法相だと…国内だけじゃなく国外から王国に害をなそうとする奴に,付け込まれるぞ…現に,今回の拘留の許可をあっさり取れている…今回は,僕だったから良い物を…王国に害をなそうとする奴に付け込まれたらどうするつもりだったんだ…」
僕は,怒りの表情を見せて,問いかける。イーディス法相は,黙り込んでいる。本当…どいつもこいつも都合が悪くなったら黙り込むんだ…
「それに…イーディス法相…毎晩・毎晩,女遊びの為,そう言う店に,行っているようだが…そのお金は,どこから出ている…?法相の給与だけでは,到底毎晩…通うことは出来ないよな…??」
「そっそれは,その…」
「お前は,商業をしているという記録もない…遊びの金は,どこから流れてるのかな~~??」
黙り込んでいる…
「黙って至ってねぇ~調べればわかることだよ…?それに,調べているのは,あのハットリ家の連中だよ…?」
僕の,「ハットリ家」という単語に,貴族連中は驚いている…僕は,イーディス法相に最終勧告を出す。
「そろそろ…自分の口で事実を話したらどうだ…これは,最終勧告だ…?」




