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103. 呆れ果てる

 王城のエントランス部分で大臣や官僚、更にはトクヤにシオンが動揺と不安の声が響いている。


「……レンお兄様、その対策とは何でしょうか??」

「ラインブルー王国は、オレジアナ公国と国交を数百年ぶりに結びます……というか、もうその礎となる条約もオレジアナ公国の大公レイノス様と『平和条約』を締結しています」


 『国交回復』・『平和条約を締結』というレンの発言に、エントランスに居る人物は、今度は驚きの声に変わっている。


「レンお兄様!それは、どういうことでしょうか?」

「……シオン、言葉の勉強をもうちょっとしなよ?……ちなみに、さっきのシオンの言葉への返信はねぇ~~オレジアナ公国と国交を結ぶっていうことだよ??……ちなみに」

「ちなみに?」

「今度、父上がオレジアナ公国に訪問するのは、国交正常化の式典を行うからだよ??」


 大分、注目が集まってきていると感じたレンは一つ提案する。


「大分、注目集めているみたいですし……応接間に場所を変えて話しましょうか??」

「……わかった」


 トクヤの同意も得られたため、応接間に移動した。











 応接間に入り、ソファに座ると開口一番にシオンが質問する。


「レンお兄様!……貴方は、王国と公国の歴史をご存知でしょうか?」

「……あぁ~~王国にとって都合良く改変された歴史かぁ~~!ちなみに、シオン?それ、信じてるのは王族だけだよ??」

「そっそれはどういうことでしょうか?」

「そのままの意味だよ??少しは、自分の頭で考えなよ」


 シオンに少し自分の頭で政局に関して、考えることを提案してみた。しかし、シオンは考える気が全くないようでレンに質問の答えを催促してきた。


「わからないから、聞いてるんだよ」

「仕方ないなぁ~~」


 レンはシオンに呆れながらも説明を始めた。


「まず、公国との対立は形だけで政治利用していただけ。ちなみに、国民は公国との対立はどうでもいいみたいだよ?」

「なぜ、そんなこと言えるのですか」

「そりゃ、王国はずっと食料に関しては長年公国に依存してきましたからね」


 レンの「食料は公国に依存」に関しての発言に疑問をもったようだ。


「はぁ、デタラメ言ってんじゃねぇよ!」


 レンの呆れは、最高潮に達しつつあった。


 こんなことなんて、各国の地理的状況を見れば凄い矛盾点が見て取れるのにそれにすら気づいていない。


「はぁ~~呆れるは、本当に!!」


 我慢が出来ずに、レンは口に出してしまった。レンの様子に、シオンは少し怯えてしまった。

 シオンの様子に、この程度でビビるなら政治に関わらせるのはまだ早いと判断した。


「シオンさぁ~~少しは自分で勉強しなよ。人から聞いた情報を全て鵜呑みにし過ぎるなよ?」

「ややこしいことは無しで説明してください」


 シオンの姿勢に、レンは完全に呆れ果てた。


「まず、食料問題の矛盾点は、旧グリアナ帝国の地理を見れば説明つくだろ」


 レンは、応接間にある地図をテーブルに広げた。


「まず、旧グリアナ帝国の気候は冬になると、港が凍ってしまう程の寒冷地帯。他国に輸出するだけの食糧生産力は無いし……帝国からの輸入品の中には明らかに旧帝国では生産できない品物もあったしねぇ~~」


 ここまで、説明しているがシオンの頭の中はチンプンカンプンと言った様子だ。


「これはつまり、旧帝国経由で公国から食料品を輸入していたということ。その逆で、公国は旧帝国を経由して王国から加工品を輸入していたということ」


 トクヤは、ある程度事情は理解している様子だがシオンは、未だにチンプンカンプンだった。


「父上は、ある程度事情を理解しているようですので父上に説明しますね。先ほど、言いました通り王国と公国はこれまで旧帝国を経由して貿易をしていました」


 レンは、トクヤに説明をしていく。


 旧帝国に一旦自国の製品を輸出して旧帝国から公国に輸出するという歪な貿易をしていたため旧帝国が貿易品の値段を独自に変更していたり、貿易品から中抜きをしていたりしていた影響がかなり出ていたということ。

 更には、王国の他国を下に見るという風潮で旧帝国から入ってくる製品全てに、高い関税を掛けていた影響で物価が高くなって国民の生活が苦しくなっていたことを告げた。


「これらの問題は、母上が応急処置的な施策をしていたので国民が怒ることはありませんでしたが、いつまでも応急処置が通用するほど政治の世界は甘くはありません。いつかは、対策しないといけない問題だったんですよ」

「じゃ、なんで旧帝国を滅ぼした。貿易だけなら公国と直接交渉すればいいだろ?」


 ここで、レンは密偵(スパイ)の一件に関することを話しだす。


「そりゃ、旧帝国が王国に密偵(スパイ)を忍ばせて国家転覆を測ろうとしたからですよ。やられる前にやる。弱肉強食の世界で当たり前のことじゃないですか?」


 トクヤは密偵(スパイ)という単語に驚きを隠せないでいる。


「父上、この前王城に勤めていたメイドや執事が大量に辞職したことありましたよね?」

「あぁ、あったな」

「その人間。全て旧帝国の密偵(スパイ)ですよ?しかも、執事長を務めていた人間は旧帝国の女帝の息子ですよ?王国として、ここまで他国の密偵(スパイ)が王国の内部まで侵入しているというのはかなりやばいですよね??」


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