100. 変革とうつけ
レンは、レイノスに『平和条約』だけでなく『軍事同盟』も締結することを提案している。
オレジアナ公国側のレイノスは、渋い表情をしていた。
恐らく、ここには『平和条約』の締結を想定して来ていたため、レンの口から『軍事同盟』という単語が出たことに驚いている。
レンは、まずはスズカを説得しに掛かる。
「レイノス様!……一旦、スズカと二人で話してもいいですか??」
「……わかった」
レンとスズカは、離れた場所に移動した。
レンは隠れて見ているハットリ家の人間に、レイノスを監視しるように合図する。
「それで、何の用かな??いきなり、『軍事同盟』もって……聞いてないけど??」
「だって、話してないもん!」
「……開きなおったな!」
「スズカも若いなぁ~~アハハ!」
「なっ!……どういうこと??」
スズカは、レンの挑発に乗ってしまっている。
レイノスと相対した後だからか、スズカとの対応はやりやすく感じてしまうが、トクヤよりも交渉術や政治家としてのカリスマ性は上だ。
「友人としてのやり取りと政治家同士のやり取りは、別物だよ??……政治家としては、持ち札を出すタイミングは駆け引きだよね??」
「……あっ~~クソォ~~一本取られたぁ~~それで、本題は??」
スズカは、あっさりと自身の敗戦を認めた。
本当に潔いスズカの姿勢に、レンは王国内の貴族にも見習って貰いたいと思った。
レンは、交渉に移る。
「スズカさ!ここで王国と『平和条約』と『軍医同盟』を君主導で結べは、公位継承権一位と二位のお兄様の争いの道具の一つである王国という存在を自陣に引き入れられて、一気に形勢は変わるよ思うよ?……よくよく考えてみて??『軍事同盟』も結ぶ意味を!!」
レンのこの発言に、スズカは考えて結論をだした。
「あぁ~~なるほどねぇ~~うち的にめっちゃ上手い話しだねぇ~~!!レン率いる王国が私側に付いてくれるなら、一気に公位継承権争いにおいて一気に形勢逆転だね!ただでさえ、『平和条約』を私主導で締結して自身のカード取られた上に、カードが眼中に無かった私側に付くんだもんね!面白い展開だなぁ~~」
しかしここで、そのまま呑まれるスズカではない。
「それで、レンの目的は??」
「あちゃちゃ~~!呑まれなかったか!」
「そりゃそうじゃん!美味しい話の裏には、狙いがあるもんでしょ??」
「それは、レイノスと共に話すよ」
そう言うと、レンとスズカはレイノスが待っている場所に戻る。
「レイノス様!お待たせしました!」
「いいよ……スズカと何のお話をしていたんだね??」
「ちょっと、政治のお話を!」
「お父様!」
スズカはレイノスにを呼び自身の主張を述べだした。
「お父様……レンの提案する『軍事同盟』締結も本気で考えてみてはと思いますので、レンの話を真剣に聞いてみればいいと思います」
「ふむ!わかった!……では、レン殿話してくれるか??」
レンは、説明を始める。
「まず、周辺国は公国と王国に簡単に手出しが出来なくなります!旧帝国の前例が出来ましたし!!」
「両国で『軍事同盟』を結べは片方に手をだしたら、軍事力一位の座を争う両国の軍が出てくるとなれば、相当な抑止力になるな」
「でしょ!でしょ!軍事力とは、国家を守る最大の防衛方法でしょ!両国が組めば、他国は連合を組んでも王国と公国は倒せませんよ!……現状はね」
「現状なのか……」
「そりゃ~~ねぇ~~国力てのは衰退するのは一瞬だけど発展・維持させるのは相当大変ですよね??」
「そうだな」
「現状、王国としては内政に注力したいんです!」
レンは、ここで自身の本当の狙いを打ち明けた。
現状のラインブルー王国において、レンは内政に注力したい考えだ。
ここからラインブルー王国内において、様々な改革を行っていく方針のレンにとって公国はもちろんだが、周辺国に余計なちょっかいを掛けられたくない。
けど、全ての国に対処するのは難しい。
なら、どうすればいいか……
王国の国力は大陸の国の中でもトップに近い。王国と同等レベルの国力を持っているのはオレジアナ公国。だから公国と国交を正常化並びに軍事面でも協力できれば、周辺国は王国に簡単には手出しは出来なくなる。
そのためには、公国との間に位置していた旧グリアナ帝国は邪魔な存在だったかつ王国にかなりのちょっかいを掛けて来ていたので滅亡させて、公国との繋がりを強化する道を探った。
その計画の最終盤……失敗は出来ない。
「王国は当分、内政に注力したい……それは、公国だってそうでしょ?」
レンは、ハットリ家に調査させていた情報を基に交渉を進めていく。
「大公の座を巡った、息子二人の争いは泥沼化!公国内の貴族も自分たちの思惑に近い方を次期大公にしようと躍起になっている!そして……」
「そして……」
レンはこの先公国に起こることを予想してレイノスに伝える。
「この先、公国の大公の継承争いに、スズカも加わるはずです!……権力争いに躍起になっている息子二人に比べると格が違う実績を残しました……継承権一位二位の二人も自身の保全に走るでしょうね!!」
ここまで言うと、レイノスは納得して考え込みだした。
その様子をレンは冷静に観察する。
ここだ!というタイミングを見計らいレイノスに進言する。
「王国以上に、内政に注力する必要があるのは公国側ではないでしょうか??三者による権力争いをコントロールしながら、周辺国の対処出来ますか?」
「難しいだろうな……」
最初の余裕な表情を見せていたレイノスとは程遠く焦った表情をしているレイノスを見てスズカもレンの実力を改めて実感している。
「なら、お互いに内政に注力する必要がある両国同士、協力しましょ!貿易もそうですし……軍事方向も!……ね!」
レンの提案に、レイノスは頷いた。
そこに、リーナとセバスが『平和条約』締結のための書類を持ってきた。
二人は、レイノスの表情を見て、持っていた書類を落としてしまった。




