1.うつけの城下探検!
ラインブルー王国、王都スカイ。
レン=ラインブルーは、王都の街に遊びに行くのが大好きな男の子。だけど、王族かつ王位継承権第一位のレンが街に遊びに行くとなると護衛も付き、かなり、目立ってしまう。
初めて、王都の街に遊びに出たのは、五歳の時。
馬車の窓から見える街の人々が、楽しそうに生活している様子を見るのが、好きになった。
ふとした時に、馬車に乗って街に出ていた時、街の人々と楽しく話したいと思い、馬車から出て話そうとするが、人々は、レンに対して一歩引いて対応する。
レンは、人々と楽しく話したいと思い、彼の専属メイドの、コノハにお願いして街の人々と同じ服を仕入れて貰った。
更に、レンは護衛を付けられるのが嫌だったので、執事のリーヴァンに、変装して貰い城に残ってカモフラージュをしたうえで、街にお忍びで街に出ることにした。
レンは、十歳になった。今日、レンはお忍びで街に出ると決めた日だ。
「リーヴァン!変装の方は、どう?」
「…はい…一応は??」
「あら~リーヴァン!レン様には及びませんがお似合いですよ?」
「…コノハ!!」
「二人とも、喧嘩ダメぇ~!!じゃ、街に行くから後、よろしく!」
レンは、城の裏門から街に繰り出した。馬車から見ていてずっと行きたかった場所を巡っていく。喫茶店や飲食店に服屋さん!
「僕~若いね!」
「はい!小さい時から病弱だったんですけど…やっと体調が良くなったので一人で遊びに来ました!」
「それは、よかったね!!これは、私からのサービス!また、来な!!」
「ありがとうございます!」
いやぁ~楽しい!街の人たちと楽しく話したかった夢が叶ってよかったなぁ~!
色々考えていると、王都の貧民街に来た。
今回のお忍びの目的は二つある。一つ目は、街の人と話すこと。二つ目は、王城で受けている教育と実情の認識の違いを埋めるためでもある。
すると、
「やめてください!!」
女の子の声がしたため、声の方向に向かうと、五歳程の子ども達を不良から守っている猫耳族の女の子が居た。止めに行かなければと思い声をかける。
「そこの可愛い猫耳族の女の子!助けは居る??」
「誰だぁ~てめぇ~??」
不良達の対象がレンに移ったみたいだ。王城で、色々習っていることもあって倒そうと思えば倒せるが、お忍びで来ている以上、変に目立つと父上から怒られるしな~~
色々考えた結果、レンは王族の権威を利用させて貰うことにした。レンは、ネックレスとして身に着けている王族の証のバッジを取り出して不良達に見せて言う。
「君たち、このバッジに見覚えないかな?」
不良達は、バッジを凝視した後、驚いた声を上げる。
「……王族~~!!」
「大変、失礼しました!不敬罪だけは、ご勘弁を…」
「不敬罪が嫌なら謝るべき人に謝って今すぐ立ち去れ!!」
不良達は、猫耳族の女の子と子どもたちに頭を下げてそそくさと立ち去った。
「あの!危ない所を助けて頂きありがとうございます!」
「いぇいぇ!僕は、ラインブルー王国第一王子のレン=ラインブルーと言います!」
「えっ?王子様!!私は、マナ=リグレットと言います!!」
「今日は、どうしたの?」
「私たち、孤児院で生活していて、今日のご飯の材料を買いに出てたんです…そこで襲われました…」
「そうですか…孤児院まで送りますよ!それで、見学させて下さい!」
「はい!」
レンは、マナと子どもたちと一緒に、孤児院まで来た。
マナが、孤児院の施設長の部屋まで案内してくれる。
「レン王子、今日はお越しくださりありがとうございます!」
「いぇいぇ!後、今日はお忍びで公務でないので堅苦しい挨拶は無しでいいですよ!」
レンは、現状の孤児院の状態などを聞いたのち、施設にいる子どもたちと遊び、お昼寝の時間にマナと話しているとあっという間に夕方になった。
そろそろ帰らないと王城が大変な騒ぎになる可能性があるので、マナや施設長に挨拶をして孤児院を後にして王城に帰る。
行く時と同じように、城の裏門から入り自室に戻ると……
そこには、お怒りモードの父上と母上が待っていた。あれ?リーヴァン変装辞めてる??何故だ?裏切ったのか??
「レン?こんな時間まで、何処に居たのかな?」
「どこって?ずっと王城に居たけど…?」
「レン様m?リーヴァンに変装させてたのバレています……」
あらら、リーヴァンの変装は、王城を抜け出して一時間でバレたみたいだ。そして、リーヴァンやコノハの密告により、レンがお忍びで街に出たことがバレてしまいそこから一時間以上怒られた。
あれから、二年たちレンは十二歳になった。二年前、お忍びで街に出かけたことが父上と母上にバレて怒られたため自粛……
するわけもなく相変わらず、王城を抜け出して、街に出たりしている。
ちなみに、父上と母上には何度も怒られてる内に今や、暗黙の了解となっている。城内で働く貴族からは、「うつけ者」と言われだしている。
今日は、正門か正々堂々と街に繰り出す。
すると、街に入ってすぐに兵隊さんが慌てた様子でいたので王族のバッジを見せて声を掛ける。
「こんにちは!僕は、こういう者なのですが~~どうされましたか?」
「王族の方ですか!実は、リーナ様が居なくなってしまって…」
「リーナ?誰?」
「本日、王城に参られる、オノフェス家の三女です!!」
「あぁ~~何か、父上が言ってたねぇ~~!わかった!こちらでも探してみます!」
そう言うと、レンは街中に向かった。街に出るようになって、二年も経てばレンが王族であるとバレてしまった。しかし、街の皆は相変わらず、暖かい声で出迎えてくれる。
いつも行く、ごはん屋に行くと…そこに、先ほど兵隊さんが探していたリーナ=オノフェスが居た。
「君~~リーナ=オノフェスだろ?」
「……誰よ」
「僕は、レン=ラインブルー!」
王族のバッジを見せて自己紹介をすると、リーナは驚いた顔をして、自己紹介してくれる。
「失礼しました!王子!私は、オノフェス男爵家の三女リーナ=オノフェスと言います!」
「よろしく~!後、今はお忍びであって、公務じゃないから堅苦しい挨拶とか敬語要らないよ!」
「ふ~ん…じゃ、レンこの後どうすんの?」
「変わり身早い!……この後は、孤児院に行って、子ども達と遊ぶよ??」
「へぇ~~!面白そうだし、一緒に行こ!!」
「おっ!ノリいいねぇ~~!!気に入った!一緒に行こ!!」
ご飯を食べ終えると、レンとリーナは、マナの居る孤児院に向かった。孤児院に到着するとマナが出迎えてくれた。二年たち綺麗な女の子に成長している。正直、レンはマナに恋している。あの猫耳可愛すぎる!
「レンくん!また、来てくれたんだ!あれ、そちらの女の子は?」
「初めまして!私は、リーナ=オノフェスと言います!」
「オノフェス……ご貴族様!!」
「はは!マナ驚きすぎだって!」
これが、この先この国を大きく動かしていく三人が顔を合わせた瞬間であった。
夕方ごろ、リーナと一緒に王城に帰るとメイドのコノハから声を掛けられた。
「レン様・リーナ様…陛下とマックス男爵様が応接間にて怒りの形相でお待ちです」
「えっ!?僕、何かしでかした??ただ、街に遊びに行っただけだけど??」
「……恐らく、リーナ様を伴われて街に遊びに出たのを怒っているのでは??」
そこから、応接間では父上とマックス男爵の怒声が一時間以上続いたとさ……