ピーチスモーク無双
0:ーーピーチスモーク無双ーー
登場人物:
赤瀬:あかせ。高校生。ツッコミ
椎名:しいな。高校生。ぼけ
伊村:いむら。高校生。ぼけ
南:みなみ。高校生。ぼけ
木戸:きど。高校生。ぼけ。
:
赤瀬:ピーチスモーク
:
木戸:「あーーー。暇だなぁ」
南:「暇だなぁ」
赤瀬:俺は赤瀬。どこにでも居る極々普通の高校生
椎名:「赤瀬の家なんもねぇし」
伊村:「ねぇし」
赤瀬:そしてこいつら俺の同級生の木戸と南と椎名と伊村
木戸:「ほんとに花の高校生なのぉ?って感じだよなぁこの部屋」
南:「ほんまアホくさ」
伊村:「くせぇなぁ」
椎名:「赤瀬屁こいた?」
赤瀬:「帰れ」
0:沈黙
伊村:「・・・いや帰れっつってもなぁ」
赤瀬:「は?」
椎名:「僕達今、監禁されてるし」
赤瀬:「?」
木戸:「ほら見ろよこの囚人服」
南:「手錠も着いてるし」
赤瀬:「ちょ」
椎名:「もうダメなんだ、僕らはここで死ぬんだよ」
赤瀬:「ちょいちょい」
伊村:「まだ死にたくない、嫌だ、嫌だァ!」
赤瀬:「なぁって」
木戸:「あば、あばばばば、ばぶっ」
椎名:「木戸ぉ!気をしっかり持つんだ!」
南:「嗚呼!俺には妻も子供も居るんだ!!子供に至ってはまだ三歳なんだよ!くそぅ!(壁を殴る
南:やったなアイアンマン!」
赤瀬:「アイアンマンって言った?えぇどゆこと?」
木戸:「あっ、あばぁー。んごっ」
赤瀬:「しっかりしろお前は」
南:「木戸は・・・もう・・・ああっ!ミョルニル!ミョルニル伸びる!」
椎名:「落ち着け南!」
伊村:「抑えろ!」
赤瀬:「あーもううるさいな
赤瀬:監禁ってどゆこと?ここ俺の部屋だよな?」
木戸:「おんどるぅぁ〜」
伊村:「そうだが」
赤瀬:「そうだがって、まぁいいや。で、どゆこと?」
木戸:「余りのショックに記憶が」
南:「混濁しているのだろう」
木戸:「無理もない」
南:「それは俺達が」
木戸:「説明しようか」
赤瀬:「おぉ急に正気に戻んなお前ら」
南:「午前11時35分。俺達は女子更衣室への覗き行為を敢行した」
赤瀬:「最低だな」
木戸:「午前11時36分。俺達は巡回していた警備員に捕まった」
赤瀬:「えぇ早くない!?もう少し計画的に行こう!?」
南:「午前12時15分。俺達五人に対する裁判が執り行われた」
赤瀬:「はいはい」
木戸:「それではその時の再現VTRをどうぞ」
赤瀬:「いる?」
椎名:(裁判官)「静粛に。静粛に。」
伊村:「俺達はやってない!」
赤瀬:「やったんだろ」
椎名:(裁判官)被害人、それは本当ですか
南:(女)いいえ!しっかりと覗こうとしてました!真っ黒の服にマスク!サングラスもしてました!
赤瀬:「あからさまだねぇ。馬鹿なんだねぇ」
伊村:「ぐぅ」
椎名:(裁判官)「それでは、被告人五名を懲役刑とします」
赤瀬:「早くない?何もかも」
木戸:「ほら、尺が」
赤瀬:「尺とか言うな」
南:「結果俺たちは特級監獄「AKASE」に入れられた」
赤瀬:「はいはい。しょうがねぇな。刑期を全うしよう」
伊村:「本当に、これでいいのか」
椎名:「伊村?」
伊村:「俺達は、花の高校生だ。こんな所で貴重な十代を終える訳にはいかない。だろ」
南:「・・・だな」
木戸:「あぁ」
椎名:「だね」
赤瀬:「いや」
伊村:「やる事はただ一つ、脱獄だぁ!オンボルドボルベイヤー!」
椎名:「おぉー!」
南:「いくでぇ、いくでいくで」
木戸:「がんばるんば〜!」
赤瀬:「オンド・・・ル・・・え?なんて?」
0:場面転換
椎名:ピーチスモーク
伊村:オンボルドボルベイヤー!
0:場面転換
赤瀬:(N)かくして100・0で俺達が悪いにも関わらず脱獄までするという強行に出たのであった
椎名:「待って!」
伊村:「どうした椎名!」
南:「・・・なるほど。レーザー線か」
椎名:「うん」
赤瀬:「レーザー・・・?」
木戸:「ほら、スパイ系でよくある赤いやつ」
赤瀬:「説明すんな」
伊村:「しかしどうする、多分これあれだ、肉眼では目視できない感じのやつだ」
木戸:「俺が行こう」
南:「木戸!」
椎名:「なるほど、木戸は機動性に長けている、木戸だけに」
赤瀬:「は?」
木戸:「ちょちょいと攻略してくる、ぜっ!」
伊村:「頼んだぜ木戸!」
南:十分後
赤瀬:「へ!?じゅっ、十分後?なにそれ!?木戸は!?」
伊村:「死んだ」
赤瀬:「死んだ!?」
椎名:「木戸の犠牲を無駄にはできない、先に行こう」
南:「あ!あれはぁ!」
赤瀬:「次はなんだ」
南:「地面にいくつもの隠されたスイッチが配置されていて一度踏めば多方面から矢が豪速で向かってくるやつだ!」
椎名:「説明助かる!」
伊村:「いいかお前ら!絶対に踏むなよ!」
椎名:「当然!行くよ!」
南:「うおおお!あ!踏んだ!」
伊村:「ぐぼおっ!」
南:「あびゃあっ!」
椎名:「伊村!南!」
赤瀬:「お前ら!大丈夫か!」
南:「俺達に構わず先にいけぇ!」
伊村:「助けてぇぇぇぇ!」
椎名:「っ!進みます!」
赤瀬:「伊村だけめっちゃ命乞いしてたけど!?進むの!?」
椎名:「進みます!」
赤瀬:「じゃあ・・・行くか」
0:場面転換
南:ピーチスモーク
伊村:助けてよぉおおお
椎名:進みます!
赤瀬:残酷だなぁ
0:場面転換
椎名:「はぁ、はぁ、やっと出口か」
赤瀬:「誰かいるぞ」
木戸:「よぉ。お前ら」
赤瀬:「木戸!?」
椎名:「いや、あれはブラックスモーカーだ」
赤瀬:「ブ、ブラック、え、誰ぇ!?木戸だよね?お前木戸だよね?」
木戸:「ブラックスモーカーだ」
赤瀬:「ブラックスモーカーじゃねぇか!」
木戸:「ここまで来たのは褒めてやる、だがここまでだ」
椎名:「くそぉ!命懸けのタックルで壁にダァン!」
木戸:「命懸けのタックルを食らって壁にダァン!」
椎名:「後で必ず追いつく!行け!赤瀬!」
赤瀬:「椎名!駄目だ、一緒に!」
椎名:「大丈夫だよ、任せて」
赤瀬:「っ!」
木戸:「逃がすかぁあ!」
椎名:「行け!赤瀬!」
赤瀬:「っ・・・。
赤瀬:ていうかあいつら覗きしたんだし、別にいいか。俺には記憶ねぇし」
一同:「ドライ過ぎない!?」
0:場面転換
木戸:ピーチスモークは
南:ご覧のスポンサーの提供で
木戸:お送りしたりしなかったりします
赤瀬:しろ
0:場面転換
0:河原 ファミチキを食べる木戸と本を読む南
木戸:「・・・ファミチキうめぇな」
南:「そうか」
木戸:「・・・」
南:「あ、そういやさ」
木戸:「おー?」
南:「俺、彼女できたんだよね」
木戸:「へー、彼女」
南:「うん、彼女」
木戸:「おめっとさん」
南:「ども」
0:河原の向こうでカバディをする赤瀬、椎名、南
木戸:「・・・」
南:「・・・」
木戸:「え、彼女ぉ!?」
南:「うん彼女」
木戸:「ちょいちょいちょいちょいちょい」
南:「なんだよ」
木戸:「え、彼女・・・?」
南:「うん、彼女」
木戸:「・・・まぁいいや
木戸:ふーん、へー。どんな子?」
南:「どんな子って、例えば?」
木戸:「髪型とか」
南:「ロング?後ろで縛ってる」
木戸:「へー。可愛い?」
南:「んー、まぁ普通?」
木戸:「ふんふん。性格は?」
南:「いい子だぞ、気遣いも出来て」
木戸:「へー。ふーん。へー。ほーん」
0:
0:沈黙
0:
南:「まぁ。嘘なんだけど」
木戸:(被せて)「嘘なんだろ」
南:「やっぱバレてたか」
木戸:「当然、だろ」
南:「あははは!この!このこの!あはは」
木戸:「あはは!いった。あはは!いった」
南:「・・・」
木戸:「ところでさぁ」
南:「おう、なに」
木戸:「昨日犬拾ってさ」
南:「おう」
木戸:「それから飼いだしたんだよ」
南:「へー。何犬?」
木戸:「ドーベル」
南:「へー。ドーベル」
木戸:「ドーベル」
南:「ふーん」
0:沈黙
木戸:「まぁ嘘なんだけどさ」
南:「だろうなぁ」
木戸:「昨日ダンボールから落ち武者が出できてさ」
南:「まじ?」
木戸:「まぁ嘘なんだけどさ」
南:「去年絶対音感手に入れてさ」
木戸:「まじ?」
南:「まぁ嘘なんだけどさ」
:
0:沈黙
:
木戸:「・・・暇だなぁ」
南:「暇だなぁ」
0:場面転換
椎名:(同時に)「嘘かよ!!」
伊村:(同時に)「嘘かよ!!」
赤瀬:「そういやガッキー結婚したらしいよ」
伊村:「嘘だろ」
椎名:「流石にねぇ」
赤瀬:「いやまじ。ほら、ニュース」
椎名:(同時に)「やだぁぁ・・・」
伊村:(同時に)「やだぁぁ・・・」
0:場面転換
伊村:ピーチスモーク
0:場面転換
椎名:「これは、伊村と初めて会った時の話だった」
椎名:(電車の音)
伊村:俺は伊村。どこにでも居る極々普通の高校生
伊村:そして入学してから暫く経った頃、通学の電車にいつも一緒に乗り込む一人の男。
伊村:こいつの
伊村:ホクロに生えた一本の毛が気になって仕方ない
伊村:言いてぇ〜。「ホクロに毛生えてますよ」って言いてぇ〜
伊村:これが、どこにでも居る極々普通の高校生である俺、伊村の些細な悩みだ
伊村:(電車の音)
椎名:僕は椎名。どこにでも居る極々普通の高校生
椎名:そして入学してから暫く経った頃、通学の電車にいつも一緒に乗り込む一人の男。
椎名:こいつの
椎名:異様に伸びた一本の鼻毛が気になって仕方ない
椎名:言いてぇ〜。「鼻毛めっちゃ出てますよ」って言いてぇ〜
椎名:これが、どこにでも居る極々普通の高校生である僕、椎名の些細な悩みだ
椎名:(電車の音)
赤瀬:俺は赤瀬。どこにでも居る極々普通の高校生
赤瀬:そして今日は乗り違えた電車に目立ちすぎている二人の男が居た
赤瀬:こいつらの
赤瀬:ホクロに生えた一本の毛と、異様に伸びた一本の鼻毛が気になって仕方ない
赤瀬:言いてぇ〜。「鼻毛とホクロ毛めっちゃ出てますよ」って言いてぇ〜
赤瀬:・・・言いてぇ〜。
赤瀬:(電車の音)
伊村:かれこれ1ヶ月だ。1ヶ月もあの憎ったらしいホクロ毛と睨めっこをしている
椎名:しかしこれを言うのは失礼に値するのだろう。いっそ何かの拍子に、僕の全く関与しないところであの鼻毛が抜けてくれないだろうか
伊村:・・・いや、待てよ
椎名:どうして、あいつの鼻毛は
伊村:あいつのホクロ毛は
椎名:あんなになるまで
伊村:放置されていたんだ
椎名:・・・今まで誰にも指摘されなかったのか
伊村:あの長さの毛を・・・?
椎名:・・・まさかこいつ
伊村:友達がいない・・・?
赤瀬:(停車する音)
椎名:・・・なれば、あの鼻毛は
伊村:あのホクロ毛は
椎名:僕が
伊村:刺し違えてでも
椎名:ぶち抜く
赤瀬:(ドアが開く音)
椎名:(同時に)あの
伊村:(同時に)ちょっと
0:沈黙
椎名:あれ。こいつ伊村じゃね?確かサッカー部のエースでそれなりに友達居たよな
椎名:ん?ってことはなに?普通に伸ばしてんの?その鼻毛がプレイに影響してんの?え、どゆこと?
伊村:こいつ確か隣のクラスの椎名ってやつだよな。中学からの友達多いイメージあるんだけど
伊村:美術部でもちょっとした有名人だし
伊村:ん?ってことはなんだ?普通に生やしてんのか?ホクロ毛も芸術ってこと?ん、どゆこと?
赤瀬:「あのさ」
椎名:「あ、なに」
伊村:「え、なに」
赤瀬:「そっちの君は鼻毛すげー出てるし、そっちの君はホクロに毛が生えてる」
0:
0:二人は自分の毛達を確認する
0:(同時に二人が喋り始める)
0:
椎名:「え、は、あー!えっと、誰だっけ君、ていうかすげぇトイレ行きたいや。ただそれだけなの、生まれてからずっと、なんかあれだよね、普通に、無感情に生きていきたいよね、植物みてぇな。ところで今日天気悪くない?」
伊村:「あ、いや、あー!っと、なんかアレだな!今日寒くね?いや寒いよな?初夏だしなぁ〜そりゃさみぃよなぁ〜。ところで薄く長い人生ってどう思う?因みに俺柴犬飼ってるんだ。ところで今日いい天気じゃね?」
赤瀬:(ある程度で被せて)「いや。だから。鼻毛とホクロ毛が」
伊村:(同時に)「うるさーーーーい!!」
椎名:(同時に)「うるさーーーーい!!」
赤瀬:「ええ!?なんでぇ!?」
0:場面転換
木戸:ピーチ
南:スモーク
伊村:無双
0:場面転換
伊村:「・・・」
木戸:「・・・」
南:「あのさぁ」
伊村:「おう」
南:「あのあれ、AKA31のアヤカって子。可愛くね」
伊村:「誰だそれ」
木戸:「あー、ありよりなしかなぁ」
南:「うっそ。ありよりのなしよりのありじゃない?」
木戸:「あー。確かにそれだわ」
伊村:「え、どっち?」
木戸:「つかラーメン食いたくね?」
伊村:「ラーメンかぁ」
南:「なしよりのなし極まりないな」
木戸:「あー、まったくのないよりのありよりのなしか」
南:「うん。でもうどんなら。よりだな」
木戸:「よりだなぁ」
伊村:「え、どっち!?」
0:場面転換
椎名:ピーチ!
赤瀬:スモーク!
0:場面転換
赤瀬:「昨日のヒルテレ見た?」
椎名:「あぁ見た見た、フジモンが凄かったよね」
赤瀬:「フジモン?出てないよ」
椎名:「うん。知ってる」
赤瀬:「え、どゆこと?」
椎名:「あ。そのシャツめっちゃかっこいいね」
赤瀬:「あぁ、そう?うん、昨日買ったんだよ」
椎名:「あー、知ってる」
赤瀬:「知ってる?いや知らないでしょ、昨日買ったこと誰にも言ってないもん」
椎名:「知ってる」
赤瀬:「いやだから、誰にも言ってないんだって。知らないじゃん絶対」
椎名:「知ってるんだって」
赤瀬:「え、なんでそんな嘘つくの」
椎名:「いや嘘とかじゃないけど」
赤瀬:「なんの知ったかぶり?えぇ。お前がキノピオならもう鼻俺に当たってるよ」
椎名:「知ってるよ」
赤瀬:「知ってるとか無いの。例えだからこれ。」
椎名:「知ってるから」
赤瀬:「知ってるとかないのよ。例えだからこれ。なにさっきから」
椎名:「・・・今日めっちゃいい天気だね」
赤瀬:「話変えんの下手だな」
0:場面転換
南:ピーチ!
椎名:スモーク!
赤瀬:無双!
0:場面転換
南:「暇だなぁ」
椎名:「暇だねぇ」
赤瀬:「帰れ」
南:「よし。異世界転生ごっこしよう」
椎名:「やるか」
赤瀬:「・・・」
南:「しょうがねぇだろ。初夏の暑さで頭がやられてるんだ」
椎名:「そこまで言ってあげないでよ赤瀬」
赤瀬:「なーーんにも!なんにも言ってない!」
南:「何話から始める?」
赤瀬:「なんだそれ。一話からに決まってんだろ」
南:「では」
椎名:(魔物)「おぉい動くな!こいつがどうなってもいいのか!」
南:(子供)「助けてー!ママー!」
赤瀬:「ちょちょちょ、一話だよな?すごい所から始まったなおい」
南:(団長)「お前が異世界から召喚された勇者か」
赤瀬:「え!?お前さっき人質に取られてたよな!?誰!?」
南:(団長)「王国騎士団の団長だ」
赤瀬:「団長・・・」
南:(団長)「今あの魔人に村が襲われてる、助けてくれ」
椎名:(マイケル)「俺も援護するぞ!」
赤瀬:「誰だ!」
椎名:(マイケル)「マイケルだ!」
赤瀬:「マイケル・・・」
椎名:(魔物)「おら!動くな!どうなってもいいのか!」
南:(子供)「助けてー!ママー!」
赤瀬:「お前らそれしか言えねぇのか」
南:(団長)「早く剣を抜け!勇者!」
椎名:(マイケル)「頑張れ!」
赤瀬:「あーくそ!やるしかねぇか!喰らえ!エクス・・・」
南:(団長)「よぉし、今日の訓練はここまで」
赤瀬:「訓練!?え、俺今召喚されたんだよね!?」
南:(団長)「何言ってるんだ、お前は王国騎士団所属の勇者だろう」
椎名:(マイケル)「もう入団してから半年が経ってる」
赤瀬:「えぇ本当に一話・・・?」
南:(団長)「今日もいい汗かいたな、銭湯、行くだろ?」
赤瀬:「あぁ、はい。銭湯とかあるんだ」
椎名:(???)「待ちな。ここから先には行かせん」
赤瀬:「誰!?」
南:「・・・貴様、何者だ」
椎名:(???)「俺が何者かなどどうでもいい。この先に行きたければ」
赤瀬:「ごくり」
椎名:(風呂屋)「入浴料を払え」
赤瀬:「風呂屋かよ!!・・・まぁいいや、風呂入ろ」
南:(団長)「おっと赤瀬、こっちは女湯だぞ」
赤瀬:「団長女だったの!?」
椎名:(マイケル)「さっさと行こうぜ、赤瀬」
赤瀬:「誰だお前」
椎名:(マイケル)「何言ってんだ・・・マイケルだよ・・・ずっと後ろにいたじゃねぇか・・・」
赤瀬:「わっかんねぇよ!」
南:(イブラヒッチ)「すっげぇ!オイラは後輩のイブラヒッチっす!」
椎名:(ボブ)「おいどんはボブでやんす」
赤瀬:「おいおい、どんどんキャラ増やすな、分かんなくなる」
南:(団長)「説明しておこう。我々は魔王と戦う軍隊のひとつなのだ」
赤瀬:「あー、なるほどね」
南:(イブラヒッチ)「そして明日!魔王にカチコミをかける予定っす!」
赤瀬:「いや、誰だお前」
南:「イブラヒッチっす!」
椎名:(風呂屋)「だが魔王も馬鹿ではない。こちらの動きに気付き、刺客を送ってくるやもしれん」
赤瀬:「誰だお前!」
椎名:「風呂屋だ」
赤瀬:「なについてきてんだよお前!」
0:場面転換
木戸:ピーチ
伊村:スモーク
0:場面転換
木戸:「暇だなぁ」
伊村:「暇だなぁ」
木戸:「赤瀬の家行くか」
伊村:「まぁあいつの家行っても暇なんだけどな」
木戸:「まぁなぁ。がちゃ。行ってきマース」
伊村:「おー。今日めっちゃいい天気じゃん」
木戸:「だなぁ。すっかり冬も終わったな」
伊村:「んな。」
木戸:「・・・」
伊村:「・・・お。なに読んでんのそれ」
木戸:「ん。あぁ、将棋の初心者向けの本」
伊村:「え、なに。お前将棋やってたの」
木戸:「うん」
伊村:「あ、そうなんだ。知らなかったぁ。南は知ってんの?」
木戸:「いや?」
伊村:「・・・え?言ってないの?」
木戸:「うん」
伊村:「なんで」
木戸:「なんでって。別に言うほどのことか?」
伊村:「うーん。将棋始めたって結構興味引く話題だと思うけどなぁ」
木戸:「あー、そうかぁ」
伊村:「将棋面白い?」
木戸:「うん、面白いよ。最近体動かしてばっかだったし」
伊村:「あー、部活以外にもなんかしてんの?」
木戸:「うん。ジム通ってる」
伊村:「え。ジム通ってんの?」
木戸:「え、うん」
伊村:「え、うん。って
伊村:いつから?」
木戸:「一ヶ月前かな」
伊村:「最近だな。え、言わない?普通。ジム通い始めたって」
木戸:「言うかなぁ」
伊村:「言うだろ!俺ら友達だよな!?しかも同じ部活だよな!?」
木戸:「うん」
伊村:「ちょいちょいちょい」
木戸:「え、なになに」
伊村:「普通言うよな?ジム通ったとか、将棋始めたとか」
木戸:「言うかなぁ」
伊村:「言うだろ!」
木戸:「キモくない?わざわざ逐一報告すんの」
伊村:「キモくねぇよ。ちょっと待て。最近他に何した」
木戸:「何したって、とくになにも」
伊村:「ほんとか」
木戸:「あ、宝くじ当たった」
伊村:「え、いくら」
木戸:「150万」
伊村:「150万!?」
木戸:「150万」
伊村:「言えよ!言えよ!それは流石に言うだろ!俺だったらパパになっても言うけど!?」
木戸:「言うかなぁ」
伊村:「言うよ。150万だよ?高校生からしたら大金も大金だろ。自慢したくてしょうがねぇだろ。それが普通ってもんじゃないの」
木戸:「うーーーん」
伊村:「まじかぁ。ピンとこないんだ」
木戸:「言ってたかられるの嫌じゃね」
伊村:「すげぇ損得感情だな
伊村:お前さては俺らの事友達だと思ってねぇな」
木戸:「いや思ってるよ」
伊村:「多分お前は俺が明日坊主にしてても気付かない」
木戸:「気付くけど!?関係なくない!?」
伊村:「あるよ。なぜならお前は損得感情でしか動かないから
伊村:俺ら五人の中から一人唐突に居なくなっても気づかねぇよお前は」
木戸:「気付くわ!それ損得感情だけで生きてるっていうか、ただボーっとしてる奴だよ!」
伊村:「じゃあ皆に聞くか?」
木戸:「そうしようぜ。絶対俺悪くねぇから」
伊村:「おう」
木戸:「・・・あぁ、そういや一昨日一人で焼肉屋から出てきたの見たけど何してたの?一人焼肉?」
伊村:「いや、バイトしてる」
木戸:「あー、そうなんだ」
伊村:「うん」
木戸:「いや、言えよ!」
伊村:「え、言うかなぁバイト」
木戸:「言うだろ!え、いつから?」
伊村:「三日前」
木戸:「言えよ!!」
0:場面転換
赤瀬:ピー
南:チ
椎名:スモーク
0:場面転換
南:前回までのあらすじ
赤瀬:「いる?」
椎名:魔王討伐の為現実世界から召喚された勇者赤瀬
南:それから半年後、赤瀬は王国騎士団の皆とよろしくやっていた
赤瀬:「よろしくやってたとか言うな異世界もので」
南:王国騎士団 団長
椎名:王国騎士団所属 マイケル
南:王国騎士団所属 イブラヒッチ
椎名:清掃員 ボブ
赤瀬:「ちょっと待って!ボブ清掃員だったの!?おかしくない!?」
椎名:風呂屋
南:この五人で、魔王へのカチコミをかけるのであった。
南:しかし六人の前に、意外な人物が現れる
赤瀬:「え、知らない知らない」
椎名:(女)「私の子供が、竜王に攫われてしまいました
椎名:助けてください勇者様」
赤瀬:「意外かなぁ」
南:(団長)「なるほど。困っている人を見過ごす訳にもいくまい。行くぞ、赤瀬」
赤瀬:「誰だ、お前」
南:「団長だ」
椎名:(ダビットソン)「しかし竜王がいるのは北の山だ。そこに行くには船が必要だな」
赤瀬:「誰だお前」
椎名:「ダビットソンだ」
赤瀬:「誰だお前!仲間にダビットソンなんて居なかったよね!?その辺しっかりしようや!」
椎名:(ダビットソン)「ふんっ」(赤瀬を殴る)
赤瀬:「痛い!なんで殴んの!?」
木戸:「がちゃ。入るぞ〜」
伊村:「おじゃましま〜」
赤瀬:「お。木戸と伊村か」
南:(団長)「この音は!」
椎名:(ダビットソン)「四天王だ!」
赤瀬:「四天王!?」
南:(イブラヒッチ)「四天王の中でも最強と言われる二人っす!やべぇっすよ!」
椎名:(ボブ)「やってやるでやんす!」
赤瀬:「おぉいおいおい誰だおまえら、分かんねぇよ」
伊村:「お。なんだ、誰もいないのか」
南:(団長)「うぉおおらよく来たな四天王!」
木戸:「うおっ!?何だ急に!」
赤瀬:「ちょちょ、ちょっと待て!子供は!?」
椎名:(マイケル)「子供はさっき誰かが助けたらしい!」
赤瀬:「雑だな!急に畳むな!」
伊村:「ふん。揃いも揃って馬鹿どもが。俺達四天王に敵うと思うか」
赤瀬:「適応力凄いな!?」
椎名:(マイケル)「うおおお!」
伊村:「どけ雑魚!」
椎名:(マイケル)「ああっ!」
南:(団長)「この野郎!よくも!」
赤瀬:「ちょっ待て待て、今誰がやられたんだ」
椎名:(風呂屋)「今の一撃でダビットソン、ボブ、イブラヒッチは死んだようだ」
赤瀬:「あいつら雑魚じゃん!ていうかお前誰だ!」
椎名:(風呂屋)「風呂屋だ」
赤瀬:「だからなんでついてきてんの!?」
木戸:「ふん。貴様が勇者か」
南:(団長)「いや。団長だ」
木戸:「あぁ、そうなんだ」
赤瀬:「ほらあいつらも把握出来てねぇって」
椎名:(風呂屋)「総叩きだ!一気にやれ!」
赤瀬:「おい!暴れんな!色んな物倒れてきてるって!」
木戸:「あばっ」
南:「ふごっ」
伊村:「あぎっ」
椎名:「びゃっ」
:
赤瀬:「あーあ」
椎名:「痛い・・・マジで痛い」
木戸:「なんか・・・目に入った・・むり」
伊村:「シャレにならん・・・マジで痛い」
南:「・・・ぐすんっ・・・」
赤瀬:「どうする。魔王討伐」
南:「・・・今の衝撃で・・・死んだ。もういい」
赤瀬:かくして、四天王、団長、風呂屋、魔王は本棚の下敷きになって死に、世界は平和になりましたとさ
0:場面転換
椎名:ピー
伊村:チ
南:スモー
木戸:ク
赤瀬:無双!
0:場面転換
赤瀬:友人同士の喧嘩なんてどこにでもあるような事だろう
赤瀬:しかし俺にとっては初めての経験で、さらにそれは唐突に起きた
赤瀬:それは5月28日・・・の前に
赤瀬:少し、説明しよう
0:場面転換
赤瀬:5月21日
南:「そういや椎名、またコンクール入賞してたよな」
椎名:「あぁ、うん、ラッキーだけどね」
南:「んなことねぇよ。すげぇじゃん。やっぱ将来は画家?」
椎名:「まぁ、そう、だね。恥ずかしいからあんまり言ってないけど。
椎名:だから美術部が有名なここに来たんだ」
南:「ほげぇ〜。まぁお前ならなれるだろ」
椎名:「そう?」
南:「夢は全力で応援する。それが友達ってもんだ」
椎名:「あはは・・・さんきゅ」
0:場面転換
南:ピーチスモーク
0:場面転換
赤瀬:5月23日
椎名:「・・・もしもし。どうしたの父さん
椎名:・・・あー。うん。分かってる。
椎名:・・・うん。成績は・・・落ちてないよ。いや。だから、成績落ちてないって
椎名:・・・83点。いや、転校は話が違うでしょ
椎名:ちょっと待ってって!父さん!
椎名:・・・はい。ごめんなさい
椎名:うん。もう、帰るよ」
伊村:「いやそれで吉田が先生に呼び出されてさぁ〜」
赤瀬:「まじで?めっちゃ面白いじゃんそれ」
椎名:「あ」
伊村:「お。椎名じゃん。何してんの」
赤瀬:「おっすー」
椎名:「やっほ
椎名:・・・ちょっとだけ相談、乗ってくんないかな」
伊村:「お?別にいいけど。あぁ、でも赤瀬バイトじゃねぇの?」
赤瀬:「なに、真剣な話?」
椎名:「まぁ」
赤瀬:「・・・
赤瀬:あー、ごほっ、ごほっ。もしもし、赤瀬です。お疲れ様です。すみません、今日ちょっと体調悪くて。休ませてもらったりって出来ますか・・・?ごほっ。あぁ、大丈夫ですか、すみません、迷惑かけます・・・失礼します
赤瀬:・・・よし。っと」
伊村:「仮病かよ」
赤瀬:「これでしょうもない相談だったら怒るぞ」
椎名:「ありがと・・・
椎名:それで、さ」
0:時間経過
赤瀬:「ーー転校って・・・まじか」
伊村:「親が厳しくて進学校とか・・・流石にやり過ぎだろ
伊村:それにお前あれだ、美術部どうすんだよ」
椎名:「転校先には美術部無いし・・・辞めるしかないかな
椎名:そもそも父さん、僕が画家目指すのあんまりよく思ってないしさ」
伊村:「いや。そりゃダメだろ
伊村:いくらなんでも椎名の気持ち無視し過ぎだって」
赤瀬:「まぁつっても親がそう言うならなぁ・・・」
伊村:「赤瀬、お前それでいいのかよ
伊村:俺は嫌だぞ。そんな親有り得ねぇ。俺が抗議しに行ってやる」
椎名:「伊村・・・」
赤瀬:「まぁ、するだけならタダだろ。俺も行く」
伊村:「それでこそ、だな」
木戸:「ファミチキうめぇ
木戸:お。赤瀬に伊村、椎名もいるじゃん
木戸:おーい・・・」
椎名:「いや。いいよ二人とも」
赤瀬:「え?」
木戸:なんか真剣な話してんのか
伊村:「おいおい、じゃあなんで相談したんだよ。止めて欲しいんだろ。メンヘラか」
椎名:「ううん。二人に迷惑はかけられないし
椎名:何よりこれは、僕と父さんの問題だと思うんだ
椎名:二人に相談してよかった
椎名:僕、これからも皆と一緒に居たい。転校の話は、ちゃんと片を付けるよ、自分で」
伊村:「そうか・・・もしあれだったらいつでも言えよ!」
赤瀬:「あぁ。ギリギリまで抗議してやる」
椎名:「ありがとう!」
木戸:「・・・」
0:場面転換
赤瀬:5月25日
木戸:「最後の授業体育にすんのまじでやめてくれ・・・しんどい」
赤瀬:「木戸」
木戸:「おぉ赤瀬、どした」
赤瀬:「お前一昨日の話、聞いてたろ」
木戸:「あ・・・バレてたか。盗み聞きするつもりは無かったんだけど」
赤瀬:「普通気付くって」
木戸:「まぁそうな。んで、なに?」
赤瀬:「椎名が、美術部辞めたらしい」
木戸:「・・・まじか」
赤瀬:「多分、このままあいつ学校やめる」
木戸:「・・・」
赤瀬:「どう思う」
木戸:「勿論嫌だけど・・・家族の問題に首突っ込むのもちげぇだろ。俺ら高校生だし」
赤瀬:「・・・まぁそうだよな」
木戸:「そんじゃ、俺着替えてくるわ」
赤瀬:「あ、おう。悪いな、引き止めて」
木戸:「・・・」
0:場面転換
南:「おぉ椎名」
伊村:「よぉ〜・・・って・・・」
椎名:「あ・・・やっほ、南、伊村」
南:「お?お前どうしたんだよその怪我」
伊村:「椎名!」
椎名:「あぁ、大丈夫大丈夫、ちょっと怒られただけだから」
伊村:「ちょっとって、腫れてんじゃねぇか
伊村:まじで大丈夫かよお前」
南:「?」
椎名:「ほんと、大丈夫だから
椎名:この前の相談は、無しにして欲しい」
伊村:「いや駄目だろ
伊村:いくらなんでも暴力は」(肩に手を置く)
椎名:(手を払う)「・・・」
伊村:「おい・・・」
南:「どうしたどうした、いじめにでもあったのか?」
椎名:「ううん、転んだだけだから。何も無いよ」
南:「転んだって・・・」
伊村:「・・・」
椎名:「じゃあ、もう行くね」
南:「お、美術部か。頑張れよ」
椎名:「あ、うん。ありがと。」
伊村:「椎名!」
椎名:「もう、関わらないで欲しい」
伊村:「・・・」
0:場面転換
伊村:ピーチスモーク
0:場面転換
木戸:「よ。椎名」
椎名:「・・・やあ、木戸」
木戸:「美術部、辞めたんだって?」
椎名:「・・・なんで知ってんの」
木戸:「割と有名な話だぞ。将来有望な部員が辞めたってな」
椎名:「・・・」
木戸:「やめんの?学校」
椎名:「・・・それも知ってるんだ」
木戸:「この前話してたの偶然聞いた」
椎名:「あんまり関わらないでほしい」
木戸:「だよな」
椎名:「・・・じゃあなに」
木戸:「俺さ、あんまり人の行動にとやかく言うの好きじゃないんだけど
木戸:正直キモいよ。お前も、お前の親も」
椎名:「うん」
木戸:「お前はそれでいいの」
椎名:「しょうがないじゃん」
木戸:「・・・そっか」
椎名:「じゃあ、もう行くね。帰って勉強しないと」
木戸:「・・・」
椎名:普通に考えて、嫌に決まってるじゃん
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木戸:ピーチスモーク
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赤瀬:「・・・」
伊村:「なぁ赤瀬。本当にこれでいいのかよ」
赤瀬:「嫌だけどさ。しょうがないって
赤瀬:俺らが椎名の将来保証してやれるわけじゃないし」
伊村:「お前、冷めてんのな」
赤瀬:「ちげぇよ。でもさ
赤瀬:案外どこにでもある話だと思うんだ
赤瀬:友達が転校する、とか。でも転校したって友達じゃなくなるわけじゃねぇんだしさ」
伊村:「・・・まぁ、そうな」
赤瀬:「だからせめてさ、盛大に送ってやろう
赤瀬:椎名なら転校先でも上手くやって行けるだろうしな」
伊村:「・・・それしか、出来ねぇしな。
伊村:俺達、普通の高校生だし」
赤瀬:「うん」
0:場面転換
赤瀬:そして何も出来ないまま、時間が過ぎた
赤瀬:ーー5月28日
0:場面転換
椎名:「改めて、僕、来月転校するんだ」
伊村:「・・・」
赤瀬:「・・・」
木戸:「・・・」
南:「・・・は?」
0:
椎名:ピーチスモーク
0:
南:「あ、あぁ。そういうやつ?なんのどっきり?」
赤瀬:「まじだ。南。」
南:「・・・なんで?」
椎名:「・・・いい大学行きたいから、進学校行くんだ」
南:「どこ?」
椎名:「京都」
南:「・・・美術部辞めたんだってな」
椎名:「うん」
南:「転校してからも、絵描くの」
椎名:「・・・転校先には、美術部ないから」
南:「は?」
椎名:「でも別に、部活なくても絵は描けるし、ずっと会えないって訳でもないから」
南:「いやいや、ちげぇだろ。なに?お前それ自分で決めたの?」
椎名:「・・・うん」
南:「嘘だろ。それならそうとちゃんと顔上げて言えよ。おい」
椎名:「・・・ごめん」
南:「ごめんじゃねぇんだって。おい、椎名」
椎名:「・・・」
南:「自分で決めたのかって聞いてんだよ!」
赤瀬:「南、違うんだ。椎名はーー」
伊村:(遮って)「自分で決めたんだよ。椎名は」
南:「・・・は?誰もお前に聞いてねぇよ」
伊村:「・・・別に転校したからって」
南:「そういう事言ってんじゃねぇよ」
伊村:「そうアツくなんなよ」
南:「は?」
赤瀬:「おい伊村」
伊村:「しょうがねぇだろうが。俺たち普通の高校生なんだぞ。なんも出来ねぇの、ならせめて笑って見送るくらい」
0:伊村を殴る南
伊村:「っ・・・」
木戸:「おい南、やり過ぎだぞ」
南:「てめぇふざけんなよ」
赤瀬:「やめろって!なぁ、南!」
南:「あぁ?うるせぇなすっこんでろよ」
椎名:「伊村、大丈夫?」
伊村:「あぁ」
南:「第一、てめぇらそれでいいのか
南:椎名が学校辞める、それを「はいそうですか」ってのはどうなんだよ。あ?
南:ざけんなよ、俺はーー」
伊村:「しょうがねぇだろ。椎名がそう決めたんだからよ」
南:「なんだよ?お前椎名と仲いいんじゃなかったのか。見損なったわ」
伊村:「は?そういう話じゃねぇだろ」
南:「じゃあどういう話だ。あ?」
木戸:「南」
南:「んだよ。触んな」
0:木戸は南を殴る
南:「って・・・。何すんだ木戸」
木戸:「こっちこい」
南:「離せや。おい」
木戸:「・・・」
南:「離せっつってんだろうが!」
木戸:「・・・」
0:木戸は強引に南を教室から出す
伊村:「・・・くそ。」
椎名:「・・・ごめん。僕のせいで」
0:
赤瀬:そして、六月末
0:
椎名:「さて、こんなもんかな。荷物運びまで手伝ってくれてありがと」
赤瀬:「おう。連絡くらいは寄越せよ」
伊村:「俺から言えることはひとつ。頑張れ!」
木戸:「俺もだ。頑張れよ」
椎名:「・・・うん」
0:
赤瀬:結局その日、南は来なかった
0:
椎名:「じゃあ、また!」
0:
赤瀬:ピーチスモーク
0:
伊村:「・・・行っちまったな」
赤瀬:「しかしあいつの父ちゃん良い車乗ってんなぁ」
伊村:「俺も将来あんだけ稼ぎてぇなぁ」
赤瀬:「無理だろ」
伊村:「んだとこの野郎!」
赤瀬:「あれ、木戸は?」
伊村:「さぁ?」
0:場面転換
0:河原
南:「・・・」
木戸:「ファミチキ、食う?」
南:「・・・いらねぇ」
木戸:「そっか」
0:場面転換
赤瀬:「・・・なにあれ」
伊村:「・・・隕石、だな」
赤瀬:「隕石!?」
伊村:「やべぇ、死ぬ!」
赤瀬:「は!?どゆこと!?ちょちょちょ!
赤瀬:うわぁああああああ」
0:学校の教室 昼休み
赤瀬:「あああああああああっ!」
0:全員驚く
椎名:「びっ・・・くりしたぁ・・・赤瀬、また昼寝かい」
赤瀬:「あれ・・・教室?」
伊村:「はは、なんだ寝ぼけてんのかお前」
木戸:「昼休みだし好きにしてやれよ」
南:「だな。うおっ!これ強いやつじゃね?」
木戸:「え、まじ?」
伊村:「あ!ベルゼブブだ!」
木戸:「まじかよ!!」
赤瀬:「・・・え?あれ?椎名、転校は?」
椎名:「何言ってんの?」
赤瀬:「南、喧嘩は?」
南:「は?」
赤瀬:「・・・夢かよ!!!!」
木戸:「何言ってんのこいつ?」
南:「さぁ・・・?」
椎名:「どっか打ったのかな」
伊村:「いやぁ夢の話だろ」
赤瀬:改めて。俺は赤瀬、どこにでもいる、普通の高校生だ