ピーチスモーク
0:ーーーピーチスモークーーー
登場人物:
赤瀬:あかせ。高校生。ツッコミ
椎名:しいな。高校生。ぼけ
伊村:いむら。高校生。ぼけ
南:みなみ。高校生。ぼけ
木戸:きど。高校生。ぼけ。
赤瀬:「ピーチスモーク」
0:場面転換 通学路
赤瀬:「やべっ!遅れる遅れる!!
赤瀬:(ナレーション)俺は赤瀬。ただの高校生。今日は寝坊をしてしまったのでバターだけ塗ったパンを咥えて通学路を猛ダッシュしてる」
椎名:「おー赤瀬、寝坊かい」
赤瀬:「椎名、お前も寝坊か」
椎名:「パン咥えて猛ダッシュかよベタだね」
赤瀬:「そういうお前は・・・何食ってんの?」
椎名:「ケバブ」
赤瀬:「ケバブ!?」
椎名:「ケバブ」
赤瀬:「もうちょっとお手頃な朝飯なかったの!?走りにくくない!?」
椎名:「確かに走るにはナイフが邪魔かもしれない」
赤瀬:「視覚の話してんだよ前見えてねぇだろ!」
南:「おー赤瀬と椎名、お前らも寝坊か」
赤瀬:「おぉ南、今日は寝坊犯が多いな」
椎名:「おはよう南」
南:「冬は特に朝弱いんだよ。って、はははっ!赤瀬お前、パン咥えて猛ダッシュかよベタだなぁ」
赤瀬:「うるさいな、そういうお前は何食ってんだ」
南:「ケバブ」
赤瀬:「流行ってんの!?」
椎名:「やっぱ寝坊の朝はケバブだよねぇ」
赤瀬:「ちげぇんだよ重いんだよお前らの寝坊の朝!」
南:「いやぁ案外油が少なくて腹は」
赤瀬:「ちげぇんだよそこじゃねぇんだよ!」
木戸:「よー赤瀬、椎名、南」
椎名:「おはよう木戸」
南:「よっす」
赤瀬:「あぁ木戸、おはよう。お前も寝坊か」
木戸:「目覚ましセット忘れちゃってな」
赤瀬:「そりゃ災難だったな」
木戸:「って赤瀬、お前パン咥えて猛ダッシュしてんのかベタだな」
赤瀬:「うるさい、そういうお前は」
木戸:「ケバブ」
赤瀬:「だよなー!だと思った!俺が言い終わる前に答えたもん!早押しじゃないのよ早く済ませるべきなのは朝飯なのよ」
伊村:「おっす赤瀬、椎名、南、木戸」
椎名:「おはよう伊村」
南:「おっす」
木戸:「おはよー」
赤瀬:「おぉ伊村おはよう、しかし今日は寝坊犯マジで多いな」
伊村:「いや俺は時差で」
赤瀬:「時差!?」
伊村:「しかし五人も遅刻ってこれ大丈夫?流石にドヤされない?」
椎名:「赤信号みんなで渡れば怖くない、ってやつだよ」
伊村:「ていうか赤瀬パン咥えて猛ダッシュかよ、ベタだな」
赤瀬:「うるさいな、そういうお前は何食ってんだ」
伊村:「コンチキンパ」
赤瀬:「そこケバブじゃねぇのかよお前〜!流行ってるんじゃなかったの?一瞬自分が時代に置いてかれたのかと思うくらい心細かったよ俺ぇ〜!」
木戸:「コンチキンパってお前、それもベタだなぁ」
赤瀬:「ベタかなぁ!?」
南:「食いづらいだろ」
赤瀬:「お前らは絶対に口出しするな!他人の食事の不便さに絶対に口出しするな!資格がねぇのよ資格が」
椎名:「コンチキンパってなに?」
赤瀬:「知らねぇのかよ椎名お前さぁ〜!そこは口裏合わせとけよ1人だけズレてんのよ足並みがさぁ〜!」
伊村:「なんで知らねぇんだよ!」
南:「そんなに怒る!?」
赤瀬:「お前がツッコミ回るの!?ここにきて!?いや正しいんだけどさ!さっきまでケバブ削りながらアホ面晒してたお前がツッコミ入れちゃうんだ!立つ瀬ないよ俺!」
椎名:「立つ瀬ない赤瀬・・・ぷっ」
赤瀬:「死ね!」
木戸:「コンチキンパはあれだ、巻き寿司みたいなやつに秋刀魚が丸々一本突き刺さってる料理だ」
赤瀬:「ビジュアル気持ち悪ぃなコンチキンパ!」
伊村:「気持ち悪い・・・?お前今コンチキンパの悪口言ったのか!おい赤瀬!」
赤瀬:「えぇ!?なんでそんなコンチキンパの事になると熱くなっちゃうんだよ他で活かせよ!」
南:「まて伊村!鬼の形相で赤瀬を殴ろうとするんじゃない!」
赤瀬:「そう言いながらケバブ削ってんじゃねぇよ南てめぇ!ふざけんな!」
椎名:「伊村!落ち着け!」
伊村:「どけカス!」
椎名:「ああっ目が!いたぁい!!いたいよぉ!目がぁ!いたぁい!」
赤瀬:「椎名!?なにしてんの!?どこも怪我してないよ!お前もずっと削ってる!今現在も削ってるよケバブを!」
椎名:「うめぇ・・・」
木戸:「まずい、陣形が瓦解した!本隊が総崩れする前に伊村を抑える!いいな!」
南:「くっ、故郷の為にやるしかないのか」
椎名:「この為に五年待ったんだ。やるしかないよ」
赤瀬:「なに?何が始まったの?」
木戸:「只今より伊村討伐作戦を開始する!心臓を捧げよ!」
赤瀬:「捧げんな!」
伊村:「うぉぉおおっ!」
木戸:「ぐっ・・・!おい南!伊村が暴れがやばい!抑えろ!」
南:「ケバブのここの肉が剥がれねぇ!」
赤瀬:「捧げた心臓使えねぇ!」
伊村:「フシューッ!フシューッ!(鼻息)」
赤瀬:「ちょちょちょ、待て待て伊村!悪かったって!」
木戸:「避けろ赤瀬!死ぬぞ!」
赤瀬:「死ぬの!?」
伊村:「うぉぉおおおおおおおおっ」
赤瀬:「ちょっ、待っ・・・」
0:学校の教室 昼休み
赤瀬:「うぁあああああああああああっ!」
0:全員驚く
椎名:「びっ・・・くりしたぁ・・・なにさ赤瀬、いきなり叫んで」
赤瀬:「あれ・・・教室?」
伊村:「はは、なんだ寝ぼけてんのかお前」
赤瀬:「あぁ・・・もう昼休み・・・夢オチか。」
椎名:「昼ごはん食べないのかい赤瀬、先食べるよ」
赤瀬:「あ、あぁ。
赤瀬:・・・因みにさ、昼ご飯、ケバブだったりする?」
椎名:「・・・は?」
伊村:「何言ってんだお前、誰が郷土料理を昼休みに食うんだよ」
赤瀬:「はは、そうだよな。なんでもない・・・って臭!?何この匂い!」
椎名:「あぁ、伊村の昼ご飯かもね。魚入ってるから」
赤瀬:「・・・魚・・・?」
伊村:「臭いか?いや悪いなぁ、俺好きなんだよ」
0:伊村は弁当箱を見せる
伊村:「コンチキンパ」
赤瀬:「っ・・・」
0:場面転換
木戸:「ピーチスモーク」
0:場面転換
0:河川敷でファミチキを食う木戸と漫画を読む南
木戸:「・・・なぁ南」
南:「なんだよ」
木戸:「彼女ってさ、どうやったら出来ると思う?」
南:「さぁ・・・?
南:ていうかそれ、俺に聞くんだ」
木戸:「お前の方がギリ経験上かなって」
南:「あ〜・・・俺彼女できたことねぇけど」
木戸:「そっか」
0:木戸と南以外の人物は川の向こう側で草野球をしている
南:「・・・練習してみるか」
木戸:「練習」
南:「彼女作る時の練習」
木戸:「助かる」
南:「どんなシュチュエーションがいいとかあんの?」
木戸:「やっぱ普通のじゃなくて一風変わったやつがいいな」
南:「なるほどな」
木戸:「なんかある?」
南:「別れ話するみたいに告白する」
木戸:「・・・俺女やるから1回試してみて」
南:「おけ。
南:・・・あ〜・・・なぁ木戸」
木戸:「なによ南」
南:「もうさ、いっそ付き合わない?」
木戸:「は?」
南:「俺達さ、やっぱこのままじゃダメだと思うんだよ」
木戸:「あ〜、まぁ私も今の関係冷めちゃったしね」
南:「そろそろ就活とかも始まるし、お互いの為にさ」
木戸:「うん。今のままダラダラしちゃうのは私もよくないと思う」
南:「好きだからこそ付き合うべきかなって」
木戸:「うん」
南:「・・・」
木戸:「・・・一旦距離、縮めとこっか」
南:「あぁ、まぁ変に意識したりしないで、今まで通りよろしく」
木戸:「こちらこそ、よろしく。」
南:「・・・」
木戸:「・・・」
南:「行けるな、これ」
木戸:「めっちゃアリ。お前天才」
0:草野球を中断して二人のやり取りを眺める三人
赤瀬:「ぇぇぇ・・・アリかなぁ・・・?」
伊村:「・・・おい、椎名、あれ。」
椎名:「うん、伊村。あれは・・・」
伊村:「めっちゃアリだな」
椎名:「だね」
赤瀬:「アリかなぁ!?」
0:場面転換
椎名:「ピーチスモーク」
0:場面転換
0:体育の授業中
伊村:「長距離走ってなんの意味があるんだ」
椎名:「さぁ、なんだろうね」
伊村:「俺は薄く長い人生は送りたくない」
椎名:「わかる」
伊村:「だろ。あとやっぱ女子トイレに入るのは大体女の子なんだよ」
椎名:「わかる。」
伊村:「だろ。田舎の婆ちゃんが飼ってる大型犬って大体大人しいんだよ」
椎名:「わかる。」
伊村:「だろ。俺結構そういうの当てるの得意だ」
椎名:「そういうのってなに?」
伊村:「占いとかの類だよ、今もお前の考えを当てた」
椎名:「なるほど」
伊村:「生年月日教えて下さい」
椎名:「え、なんで?」
伊村:「いや占いしないと」
椎名:「長距離走中に?」
伊村:「長距離走中に」
0:間
椎名:「2000年の4月27日生まれ」
伊村:「はいはい。血液型は何型ですか?」
椎名:「A型」
伊村:「Aね、親の名前を教えて下さい」
椎名:「よしたかと、まなみ」
伊村:「まなみね、はいはいはい。じゃあマイナンバーと口座番号教えてください」
0:間
椎名:「え、なんで?」
伊村:「いや分かるからそれで」
椎名:「なにが?嫌だよ」
伊村:「いやそれで全部わかるようになってんだよ」
椎名:「あ、やだ。全然やだ」
伊村:「いやいやほんとに、マジなやつだからこれ」
椎名:「いや。全然いや。」
伊村:「てか通帳見せて」
椎名:「なんで?」
伊村:「いいから」
椎名:「やだよ」
伊村:「見せてよ」
椎名:「嫌だって」
0:間
伊村:(舌打ち)
椎名:「え?」
0:後方を走っていた赤瀬が追いつく
赤瀬:「おー、お前ら遅れてるぞ、ちゃんと走れよ。先生に怒られるぞ」
椎名:「あぁ、赤瀬」
伊村:「赤瀬、財布貸して。あと家の権利書見せて」
赤瀬:「なんで!?」
0:場面転換
南:「ピーチスモーク」
0:場面転換
0:放課後、教室の机に腰掛ける三人
南:「見た?」
伊村:「なにを?」
木戸:「あぁ見た見た、昨日のアンパンさんだろ」
伊村:「え?」
南:「おぉ見たか木戸、いやあれはやばかったよな」
木戸:「わかる。まじでやばかった」
南:「ははは。伊村は見てないの?アンパンさん」
伊村:「え。見てないけど」
木戸:「まじか」
伊村:「いやぁ、うん。」
南:「ちょ、どっち勝ったと思う?」
伊村:「なにが?」
南:「いやだから、バイキンさんとアンパンさん。どっちがかったと思う」
伊村:「いやどっちが、ってそもそも・・・そりゃあ、アンパンさんでしょ」
南:「いやぁ・・・うん。そうなのよ〜・・・!」
伊村:「は?」
木戸:「あれは痺れたね」
南:「いやそれ、まさかの逆転勝ちなのよ」
伊村:「逆転勝ちって毎回じゃ」
木戸:「どうなるかと思ったけどな〜、ラスト10分で巻き返してさぁ〜」
伊村:「いやだから毎回勝って」
南:「さすがに負けるかと思ったら」
木戸:(同時に)「勝ったよね〜」
南:(同時に)「勝ったよね〜」
伊村:「いやそういう視点で見るやつじゃないと思うんだけど」
木戸:「熱かった〜いやまじで」
南:(同時に)「激アツ」
木戸:(同時に)「激アツ」
伊村:「だから勝敗とかじゃないと・・・思うんだけどな、必ず勝つようにできてるっていうかそもそも」
椎名:(N)「次の日」
伊村:「赤瀬、昨日のアンパンさん見た?」
赤瀬:「は?」
0:場面転換
伊村:「ピーチスモーク」
0:場面転換
赤瀬:「ふぅ、風呂気持ち良かった。」
椎名:(テレビキャスター)「次のニュースの前に、一つお詫び申し上げなければならないことがございます」
赤瀬:「やべ、テレビ付けっぱなしだったか」
椎名:(テレビキャスター)「先程お送りしたニュースの中で氏名をアラバ・マッケンユとお送りしていましたが、正しくは
椎名:アラバ・マッケンユウでした」
赤瀬:「何だその訂正。いる?」
椎名:(テレビキャスター)「大変失礼しました。」
赤瀬:「謝らなくていいと思うんだよね俺は」
椎名:(テレビキャスター)「では次のニュースです・・・え?あ、はい。」
赤瀬:「ぇ?」
椎名:(テレビキャスター)「ここで速報です」
赤瀬:「ぇ?」
椎名:(テレビキャスター)「先程の誤った報じ方により、私の番組降板が決定致しました」
赤瀬:「厳しい!え、降板すんの?え?」
椎名:(テレビキャスター)「この様な形で降板する事になってしまい、つづし・・・つっし・・・謹んで、お詫び申し上げます」
赤瀬:「いやもう噛んじゃってるじゃん、動揺が隠しきれてないじゃん」
椎名:(ニュースキャスター)「それでは次の・・・ここで速報です」
赤瀬:「ぇ?」
椎名:(ニュースキャスター)「先程、お詫び申し上げている最中に噛んでしまった事を受け、番組の終了が決定しま(テレビを切られる)
赤瀬:「・・・歯磨かなきゃ」
0:場面転換
伊村:「ピーチ」
椎名:「スモーク」
0:場面転換
0:休日、赤瀬の家
南:「暇だなぁ」
椎名:「暇だなぁ」
赤瀬:「もう帰れよおまえら」
南:「・・・」
椎名:「・・・」
南:「えー。一発芸やります」
椎名:「・・・」
赤瀬:「すげぇおもむろに立ち上がるのね椎名さん、二人でやんの?」
南:「おう」
赤瀬:「へぇ、なにすんの」
椎名:「プロポーズの言葉を混ぜ過ぎた人。をやります」
赤瀬:「それ一発かなぁ」
南:「ちょっと赤瀬バイクの音やって貰っていい?」
赤瀬:「あ、俺がやるんだ。てかバイクの音要るかな?」
椎名:「雰囲気を大事にしたい」
赤瀬:「さいですか。では
赤瀬:ぶるるるるるるるるるる」
南:「・・・椎名」
椎名:「うん?」
南:「ここで言うのも何なんだけどさ」
椎名:「うん」
南:「俺の人生の助手席に乗ってさ」
椎名:「うん」
南:「一生味噌汁作って。」
椎名:「どゆこと?」
南:「それを一緒の墓に入れよう」
椎名:「どゆこと?」
赤瀬:「ぶるるるるるるるるるるるる」
南:「・・・」
赤瀬:「ぶるるるるるるるるる」
椎名:「・・・」
赤瀬:「ぶるるるる」
0:間
赤瀬:「終わり!?」
0:場面転換
木戸:「ピーチ」
南:「スモー」
椎名:「ク!」
伊村:「・・・」
赤瀬:「伊村余っちゃったじゃん!仲間に入れてあげてよ!」
伊村:「・・・っ」
0:場面転換
0:何処とも知れない場所
0:神妙な面立ちで腕を組む南
南:「これより、OKNMYK作戦、略してOKを開始するッ!総員、持ち場につけ!」
0:全員持ち場につく
南:「これまで、沢山の犠牲があり、私達はここまで来たッ!そして儀式の場までようやくたどり着いたのだッ!吉田は椎名を庇って犬の餌になり、高田は転けて今は奈落の底だッ!」
椎名:「うぅ・・・」
伊村:「泣くんじゃねぇ椎名、今は生きている事を誇ろう」
南:「そして今っ!!長年の目的が達成し得る所まで来ているッ!ここで臆する訳にはいかないッ!臆病者は作戦の足でまといになる、命が惜しい者はここで去れッ!」
椎名:「・・・」
伊村:「・・・」
木戸:「・・・ふん。」
南:「皆、良い面構えだ。では行くとしようッ!
南:標的がここに来る前にOKを完遂させる!椎名はOKをここで執り行え!木戸は待機、伊村は索敵だ。常に標的が現れる可能性を頭に入れ行動しろッ!標的が現れても椎名はここでOKを完遂させろッ!足止めは私と、木戸が行うッ!」
一同:「了解!」
南:「作戦開始ーーーッ!」
椎名:「・・・伊村。・・・僕は出来るだろうか」
伊村:「椎名、この作戦はお前に懸かってる。俺はお前を信じて、敵を必ず食い止める。だからお前も俺を信じて、必ずOKをOKしろ。OK?」
椎名:「・・・OKだ・・・!」
木戸:「なにしてるクソガキ、さっさと行け」
伊村:「木戸大尉!失礼しました、直ぐに向かいます!・・・またな、椎名」
椎名:「・・・うん!また。伊村」
木戸:「・・・ったく、どいつもこいつも甘過ぎて胸焼けしそうだ。」
椎名:「・・・」
木戸:「椎名、さっき伊村に言われたろ。さっさとOKを完遂させろ。お前の一分一秒の遅れはアイツの死を早めるぞ」
椎名:「・・・ッ!まずはこの豚野郎を2〜3等分に斬る!」
木戸:「・・・そうだ、それでいい。」
椎名:「次はてめぇだ緑の弾丸!細切れにしてやる!」
南:「木戸、椎名の調子はどうだ」
木戸:「悪くねぇな。」
南:「それは何よりだ。OKを完遂出来るのは椎名だけだからな。」
木戸:「吉田は出来たはずだ。なぜあの時吉田じゃなく椎名を助けた。」
椎名:「次は青い大樹!化け物の卵もぐちゃぐちゃにしてやるっ!」
南:「さっき言った通りだ。吉田自身が椎名を庇ったのさ。吉田はきっと、彼に世界の命運を託したんだろう。」
木戸:「あのガキにか」
南:「俺は吉田の死を無駄にしないために、必ずこの作戦を成功させる。着いてきてくれるな、木戸大尉」
木戸:「・・・了解だ、南中佐」
伊村:「大変ですっ!」
南:「・・・どうした伊村」
伊村:「標的が、目の前まで来ています!緋色の悪魔が・・・!」
木戸:「なに・・・予定より早いじゃねぇか。どうなってやがる」
南:「・・・総員っ!椎名を死守しろ!未だ椎名の儀式は大釜の熱すら灯っていないっ!私達全員の命を投げ打ってでも!必ず仕留めろ!」
木戸:「ちっ、了解だ南」
伊村:「りょ、了解です!」
南:「遮蔽物を利用して近付け!ギリギリまで相手に悟られるな!」
伊村:「ぁ・・・」
赤瀬:(緋色の悪魔)「・・・お前ら・・・何をしている・・・!」
木戸:「あれが・・・緋色の悪魔か・・・!」
伊村:「なんて気迫だ・・・!」
南:「っ!第一波、来るぞ!総員散開して距離を取れ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「逃げるんじゃねぇえええええ!」
木戸:「ちっ、伊村ァ!」
伊村:「ひっ、追い付かれる!早いっ!」
木戸:「おい腐れ悪魔野郎、俺の部下に手を出してんじゃねぇぞ」
赤瀬:(緋色の悪魔)「ぐっあぁあああああああ!!」
伊村:「さ、さすが木戸大尉!強すぎる、ありがとうございます!お陰で命拾いしました!」
木戸:「喋れる余裕があるならさっさと動け!流石の俺でもこいつを仕留めきれるかは分からん!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「なんで・・・なんで・・・!」
南:「第二波来る!」
木戸:「なんだと?攻撃のスパンが短すぎる・・・!」
南:「仕方がない。作戦変更、「血の雨」だ!鉄砲隊!放て!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「ぐあっ・・・!」
伊村:「鉄砲隊!もう起用したんですか!」
木戸:「しょうがねぇだろ、あんだけ強力な化け物だ。しかし不味いな、ほとんど効いてない」
赤瀬:(緋色の悪魔)「なにしやがるうううううううッ!」
伊村:「ひっ・・・!」
南:「馬鹿な!伊村!避けろ!」
木戸:「まずい、この距離じゃ間に合わない・・・!」
伊村:「嫌だ、死にたくない!嫌だァ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「うおおおああっ!」
伊村:「ぎゃあああああっ!」
木戸:「伊村ァ!」
南:「ッ・・・!鉄砲隊!放て!放てーーっ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「ぐぬぅっ・・・!!」
木戸:「ちっ、しばらくの足止め程度にはなるだろうが。南、どうする。このまま足止めしてもいいが、そうなれば俺達は間違いなく全滅するぞ」
南:「・・・だろうな。鉄砲隊の残弾数が尽きたらそれまで、そのまま私達は一網打尽にされるだろう。緋色の悪魔は我々の想像よりも遥かに強すぎた」
木戸:「・・・」
南:「だが木戸、お前なら或いは。あの緋色の悪魔の首をとれるかもしれない。」
木戸:「・・・それはどういう意味だ、南」
南:「私が囮になる。最大限まで引き付けよう。それこそ、私の命が果てるまで」
木戸:「・・・」
南:「お前は遮蔽物を利用しつつ相手の背後に周り、そのまま相手の首をとれ。たった一度きりの作戦だ。成功確率も極めて低い。だが、椎名を守りOKを完了させる為には私の犠牲は必要不可欠だ」
木戸:「・・・お前はそれでいいのか、南」
南:「・・・本当は、OKが完了したその後の世界を見たかった・・・だが、それはお前に託したよ。木戸」
木戸:「・・・わかった。誓おう。緋色の悪魔は俺が仕留める。」
伊村:「ってて・・・俺も・・・お供しますよ、南中佐・・・!」
南:「伊村!生きていたか!」
伊村:「瀕死ではありますが、最後に中佐の力添え程度にはなるかと思います・・・!」
南:「ありがとう・・・。さて、鉄砲隊の血の雨も止んだ頃か。」
赤瀬:(緋色の悪魔)「この・・・!野郎が・・・!」
南:「まったく、一斉放射を諸共せず、か。緋色の悪魔。流石だな」
木戸:「・・・行くぞ、伊村、南。OKの為に、死んで行った同胞に報いる為に。死にに行くぞ」
伊村:「・・・はい。俺には、後に託した奴がいるので」
南:「・・・あぁ。出来れば、生き残りたかったなぁ」
赤瀬:(緋色の悪魔)「おぉぉおおおおああああああああああっ!」
南:「・・・うおおおおおおおおおおおおおっ!」
伊村:「うあああああああああああああっ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「ぐっ・・・!ぐぁああっ!」
伊村:「ぐはぁっ・・・!ぐっ・・・!」
南:「やはり・・・!強い・・・強すぎる・・・!」
0:場面転換
椎名:「大釜に熱が灯った・・・!後はこいつらを儀式に捧げる・・・!待っていくてくださいね、南中佐!木戸大尉!・・・伊村!」
0:場面転換
伊村:「・・・」
赤瀬:(緋色の悪魔)「あぁ・・・痛い・・・痛いなぁ・・・」
南:「・・・ごぷっ・・・」
赤瀬:(緋色の悪魔)「手こずらせやがって・・・どけ」
南:「・・・嗚呼・・・・・・私は・・・死ぬのか・・・・・・OKのその先・・・見たかったなぁ・・・」
赤瀬:(緋色の悪魔)「誰一人として返さない。その奥に居る奴もだ」
木戸:「そりゃお前の方だ、腐れ悪魔」
赤瀬:(緋色の悪魔)「なっ・・・!」
木戸:「ふんッ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「ぐっ・・・ぉおおあおああっ!」
木戸:「きたねぇツラだな、おい。」
赤瀬:(緋色の悪魔)「木戸・・・ヨシタカ・・・ッ!!」
木戸:「おいおい、俺の攻撃をマトモに背後から喰らって・・・まだ立つのかよ・・・ちっ。面倒だな・・・ッ!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「木戸ぉぉぉおおおおおおおッ!」
木戸:「うぉぉおおおおおおおおおおっ!」
0:二人は掴み合いになる
赤瀬:(緋色の悪魔)「なぜ邪魔をする!」
木戸:「なぜ?馬鹿かてめぇは。俺達の邪魔をしてるのはお前だぜ」
赤瀬:(緋色の悪魔)「俺が?馬鹿はお前だよ木戸。ここは俺の居場所だ。退くのはお前らだ!」
木戸:「は?何言ってーーー」
0:木戸は壁に叩き付けられる
木戸:「ぐあっ!・・・しまった、体勢が崩れた・・・一旦間合いを・・・ッ!」
0:木戸を無視して走り去っていく
赤瀬:(緋色の悪魔)「・・・」
木戸:「・・・は・・・?」
木戸:「おい。待てよ。待て。どこに行く
木戸:・・・誓ったんだ。俺は
木戸:必ずお前を仕留めると、俺は、アイツに
木戸:誓った・・・ッ!」
0:場面転換
椎名:「あとは半分だ!そっちにも儀式が施されたらOKは完了する・・・!やっと、やっとこの戦いが終わるんだ・・・!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「・・・椎名・・・!」
椎名:「・・・な!?・・・なんで緋色の悪魔が・・・まさか、南中佐は・・・木戸大尉は・・・伊村は・・・?」
赤瀬:(緋色の悪魔)「あ?・・・居たなぁ、そんな奴らも」
椎名:「殺したのか・・・!お前が・・・!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「何を言っているのか分からないな」
椎名:「・・・ッッ!この悪魔がァァァァァァァッ!」
木戸:「動くなクソガキ!お前はOKに集中しろ、この腐れ悪魔は俺が仕留める」
赤瀬:(緋色の悪魔)「木戸ォ・・・!またお前か・・・!」
椎名:「で、でも・・・!」
木戸:「さっさとしろ!」
椎名:「・・・ッ・・・はいッッ!!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「邪魔をするなぁああああああああぁぁぁ!」
木戸:「邪魔すんじゃねぇえええええええええええええええ!」
椎名:(N)「戦いの音が鳴り響く、木戸大尉の痛みに耐える声が、悪魔の叫びが、地面が軋む音が」
木戸:「ぐはっ・・・!」
椎名:(N)「それでも僕は前に進まなきゃいけない・・・!OKを完了させられるのは僕しかいないから!吉田さんの、南中佐の、木戸大尉の、伊村の、みんなの意思は僕が継いだ・・・!」
赤瀬:(緋色の悪魔)「・・・」
木戸:「・・・ごぷっ・・・ちっ・・・死ぬ前に・・・見ちまうなんて・・・生きたくなっちまうだろうが・・・」
椎名:「か、完成したっ!ついに、僕が、僕にしか出来ない事だ!多くの犠牲を払って、多くの時間を賭けて、そして作り上げた、僕達のーーー
0:椎名は鉄板に顔面を叩きつけられる
赤瀬:「なんで人の家でお好み焼き勝手に焼いてんだよ!!」
椎名:「ぼべんなばいっ!(ごめんなさいっ!)」
0:場面転換
木戸:「ピーチ」
南:「スモーク!」
赤瀬:「・・・美味いな、お好み焼き」
伊村:(吉田)「せやろがい」
赤瀬:「だれぇ!?」
0:場面転換
伊村:「次回予告」
木戸:「多くの犠牲を出したOKNMYK作戦は無事完了され、世界に平和は訪れた」
伊村:「かに思えた」
南:「未だ残る悪魔との因縁」
木戸:「託される未来への意思」
伊村:「そして新たな脅威、「レジ袋有料化」が現れる」
南:「唐突に訪れる現実問題に彼らはもがき続ける」
椎名:「僕は・・・僕達は・・・袋が必要なら最初から言えよって・・・そう思うんだ、赤瀬」
赤瀬:「あ・・・うん。そっか」
伊村:「次回、ピーチスモーク第33話「都市伝説、大体あと一歩詰めが甘い」お楽しみに!絶対に見てくれよな!」
赤瀬:「見させねぇよやらねぇよ。帰るぞ馬鹿」
0:一斉に駄々をこねる
椎名:「やだやだやだやだ」
木戸:「やんやんやんやん」
伊村:「あんよが上手だから!あんよが上手だから!」
南:「ぴぇーん!ぴぇーん!ぴぇーん!」
赤瀬:「うるさいな!静かにしろよ!終わりにくいだろ!」
南:「あぁ・・・そっか」
椎名:「どうする?」
赤瀬:「うーん・・・」
伊村:「この辺でブラックアウトしとく?」
赤瀬:「あぁ・・・お願いしていい?」
伊村:「プツンッ!
伊村:きゅーきゅるるる」