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2.決心

家を出ると決めたら後は行動に移すのみ。

本当は身一つで出ていくのが筋なのだろうけど……15歳の女の子が無一文で生きていける程、世の中は甘くない事は分かってる。


嫌がらせのつもりで用意された地味なワンピースも今となっては有難い。

何の飾りも付いていないシンプルなワンピース。


特に地味な黒、濃紺、茶色の三着を選んでバッグに詰め込んだ。


貴族のお嬢様が着る色では無いわよね。



使う事が無くて貯まるだけだったお小遣いも有り難く貰っておこう。



お母さんと暮らしていた下町は、すぐに見つかってしまいそうだから別の町に行くとして……。


仕事が見つかるまでの間は節約しないといけないな。


住み込みの仕事が見つかると良いな。





後は、ジン…。

ジンの顔を見たら決心が鈍りそうで三日、会ってない。


最後にジンの姿を遠くから見て終わろう。

言葉を交わしたら私は泣いてしまうかもしれない。



昼食の後、ジンはいつもの様に裏庭のベンチに居た。

木の陰からこっそりジンを見つめる。


「ジン…」


思わず声に出してしまった。

私の声は凄く小さかったのにジンは顔を上げた。


「久しぶりだな。階段から落ちたって聞いたけど、もう大丈夫なのか?」


「う、うん。もう大丈夫だよ…」


何とか平静を装って答える。


「本当に、お転婆だな」


ジンは私の頭をポンポンと撫でると仕事に戻って行った。


変な顔して無かったよね?

ちゃんと笑えてたよね?


ジン…今まで、ありがとう。

大好きだったよ。





今夜、この家を出ていこう。





みんなが寝静まった頃、こっそり部屋から脱け出した。


正門を通らずに外に出る方法は一つだけある。


この家に引き取られてすぐの頃にシャルロットお姉様が秘密の抜け道を教えてくれた。


『貴女もこの家の娘になったのだから覚えておきなさい。何かあった時は、ここから逃げるのよ』



植え込みの中にひっそりある隠しドア。

ここからなら見つからずに出られる。


「お世話になりました」


最後に屋敷に向かって頭を下げた。


お父様もお姉様も私にとても優しくしてくれた。

二人を悲しませたくない。

だから出て行きます。




外に出たけど、この後はどうしよう…。

夜が明けるまでは、あまり動きたくない。


何処かに身を潜めておける場所は無いかな…?



きょろきょろしながら歩いていると……。


「!?」



突然後ろから口を塞がれて羽交い締めにされた……。

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