『長文タイトルに対する私見』〜作品のタイトルが長いことに対する是非の論議は延々とされていて、筆者は【どうでも良い】と思っていたが、ここ最近2つのものが問題の【レベルを上げてしまった】という提言エッセイ
せっかくなのでタイトルは100文字。
この作品で挙げられる外部サイト及び作品名に対して、それを批判・非難する気は一切ありません。
提言については運営の方々に向けてという意味であり、ユーザがここで書いた行為を行うことに対して現状なんら問題はありません。
長文タイトル(あらすじタイトルとも)に関するエッセイは数多あり、それに対する賛否は両論である。
そしてわたしは長文タイトルについての是非を問う気はなかった。
個人的見解を言えばどうでも良いのだ。長文タイトルで面白そうと思う事もあるし、短いタイトルでハイセンスなものもある。
長文タイトルがなろうには氾濫しているイメージはあるが、別になろうだけの話でもないし、最近できたって訳でもない(ロビンソンクルーソーとか、博士の奇妙な愛情とか、もしドラとか)。
何より、小説家になろうはタイトルが100文字まで認められているのだ。
それが前提なのであり、それなのに「この作品はタイトルが80字もある!長い!ダサい!」などと言っても仕方ないのである。
そう思って『いた』。
ではなぜわたしが今回この件に関して声を上げたのか。
タイトルに記したように、2つの要素が問題のレベルを上げてしまったと感じるからである。
1つは『なろうRaWi』というサイトである。
AIがタイトル及びあらすじをなろうでの読まれやすさという観点から評価するというコンセプトのサイトである。
つまり、なろうで書籍化作品や、ランキング上位にある作品タイトルに近く、有力なキーワードを多く含むほど評価点が高くなる傾向にある。
興味深い試みである。だが、この手の試行が行われるほど……タイトルはテンプレ的なものになるのが問題である。
長文でなろう的に『ウケやすい』作品タイトルを安易に量産できてしまう。
無論、これを使えばウケるというものでも無いし、そこまで使用ユーザが多くなるとも限らない。だが今後流行る可能性もあるし、同系のもの、さらに進歩したものが開発される可能性もあるだろう。
例えば自作、『悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトの華麗な転身』を同サイトで評価させていただこうか。
今年の1月末に投稿した異世界恋愛の短編で、日間ジャンル別3位、総合9位までいった作品であるが……。
悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトの華麗な転身
タイトル評価《Cランク》[58 pt]
である。うん、かなり低い評価である。知ってた。メイン長編の『なまこ×どりる』に至っては33pt。これをちょっとなろうウケするように修正してみよう。
悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトは婚約破棄されたので華麗に転身します!
タイトル評価《Bランク》[88 pt]
悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトはクソ皇子を殴って華麗に転身します !
タイトル評価《Bランク》[90 pt]
悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトはクソ皇子に婚約破棄されたので、ぶん殴って華麗に転身します!
タイトル評価《Aランク》[100 pt]
うむ。
まー、このタイトルにしたいか?と言えばわたしはしたくないのだが……なろうで上位にありそうなタイトルだな!と思うことは間違いない。
2つ目は『~Real~ 「モンスター、魔法、スキルが好きな日本中の友よ。日々ファンタジーを夢想している同胞よ。とりあえず読んでみ?面白いから」』という作品のタイトルである。
ローファンタジージャンルで現在ランキング上位にある作品であり、名前を見かけたことがある人も多いだろう。
見ての通りだ。タイトルにタイトルが書かれていない。書かれている大半は読者を呼び込む煽り文である。タイトル部分は『Real』のみ。
この是非についてである。
タイトルにタイトル以外のことを書くほうがおかしい、その作品を通報すべきだという意見があるかもしれないな。だがわたしはそうは思わない。
なぜか。
2020年7月現在、なろうの規約においてタイトルの項目にタイトルを書けとはどこにも書いていないからだ。規約には『作品タイトルは100文字以内、小説本文は70,000文字以内で入力してください』と文字数に関する規約しかないためだ。
ちなみに感想については作品の感想でアンケートを求める、企画の参加者を募集するなど感想欄を感想以外の目的で使用すると警告の対象となる。
これに関してはちゃんと規約に感想は「作品に感想を書くことが出来ます」と書かれている。
こう書くと、いや常識的に考えてタイトルにはタイトルを書くものであって、その作者がおかしいと考える人もいるだろう。
それは断じて否だ。
なぜなら「なろうのあらすじにあらすじを書く奴はいない」からだ。
あらすじの項目にあらすじを書かないのはなろうにおける常識である。それがタイトルにタイトルを書かない奴を批判する?ありえない。件の作者は先駆者であるというだけだ。
ここで言うあらすじとは辞書的な意味での話である。実際のところランキング上位の作品では特に、あらすじに書いてるのは作品の煽り文句、読者を作品に誘導するためのものであってあらすじではない。
例えば拙作、「悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトの華麗な転身」のあらすじに書いた文章は以下の通りである。
「公爵令嬢ドロシアは婚約者たる皇太子より婚約破棄を突き付けられる。皇太子の隣には可愛らしく見せている伯爵令嬢が。
ドロシアはこの窮地をどう切り抜けるのか!
ヴィクトリアンスタイルのロンドン風異世界を、悪役令嬢が駆ける!」
わたしはこれをあらすじとは思わないね。
この作品のあらすじを書けと言われたら本来はこうである。
「ヴィクトリアンスタイルのロンドン風で、スチームパンクSF的な異世界を舞台とした作品。
主人公である公爵令嬢ドロシアは婚約者たる皇太子より婚約破棄を突き付けられる。皇太子は別の令嬢に心移りし、いわれなき罪でドロシアを追放刑に処してその令嬢と結ばれようとするのだった。
貴族の証を奪った上で王都から追い出すと宣言されたドロシアだが、彼女は執事のダニーと共に窮地を切り抜け、皇太子を殴打してその場を去る。
ダニーのバイクに乗って王都を脱出したドロシアは、彼から今後の身の振り方について尋ねられ、盗賊として生きていくと告げるのであった。」
ネタバレである。まあ、でもこういうことだ。
現状としてあらすじの項目にあらすじなんて書いてないのに、タイトルにタイトルを書けというのを要求するのも理不尽な話であろう。
ただね。
この作品がランキング上位にいて、この手法が流行るのは嫌だなとも思うのだ。
『悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトの華麗な転身』が、
悪役令嬢ドロシア・ファーレンハイトの華麗な転身〜「安心の婚約破棄からのざまぁ展開!しかもテンプレ飽きたあなたも楽しめるヴィクトリアンスタイル・スチームパンク風異世界!スタイリッシュ!」
になる訳であり、これが並ぶのもなぁ……。
結局のところ何が言いたいかというと、これらを対策するのであればそれは運営の手に頼るしかない。
後者だけを非とするのであれば、規約に「作品タイトルの項目は作品のタイトルを書く場所です」とでも書いて、件の作品の試みを規約違反にしてもらうべきだろう。
とは言え、個人的にはタイトルに100文字入ることがそもそもの問題であろうと考えている。
そして実はこの解決策についてはなろう運営の方々はすでに手にしているのだ。
なぜならレビューにおいてはこの長文タイトル問題は解決されているからだ。
2019年6月のなろうのページレイアウト変更において、レビュータイトルが長いと折り畳まれて表記されるようになったのである。
これにより、レビュータイトルを100文字書いて目立つようにするという戦略は無効化された。
表記される20文字程度で目を引く必要が出来たのである。
わたしの書いたレビューだと、
異世界転生はスキ❤でも……金融?カス教師?金貸し?えー、なんか怖ーい。別の作品さがそーっと♪と思ったそこのあなた!ちょっと、ちょっと待って!大丈夫!ただのタイトル詐欺だから!このレビュー読んで考えて!
2019年 05月 31日
(異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件)
ξ˚⊿˚)ξ <さあ諸君!今回邪神共に戦いを挑むゴキゲンなメンバーを紹介するぜ!ひゅー!
2020年 02月 18日
(怪異の掃除人)
である。100字→30字程度でインパクトという方針に変わった訳だ。
現状でもタイトル100字のレビューは書ける。だが、折り畳まれて表示されないために、タイトルを長くするメリットが無くなった。
つまり、作品名に関しても、100文字までつけることができるが、ランキングで表示される文字数を先頭30文字程度にすれば良い。
こんな感じになるといいなぁと、なろう運営の方々に改善を希望している。
ξ˚⊿˚)ξ <ぜひご一考をよろしくお願いいたしますの!