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ハズレチート「練炭術師」が異世界の料理に革命を起こす~味の素無双~

このシリーズは設定厨が思い付いた設定を元に第一話分だけでっちあげてみた、というシリーズです。

設定だけなので続きとか考えていません。

もし、続きが読みたいという奇特な人が居たら、適当にパクって自分で書いてみてください。コメントに作品URL張っていただければ読みに行きます。

「炭を錬成するジョブだぁ? いらねぇよそんな役立たず。失せろ失せろ」

「すまないね、うちじゃそんな穀潰しは雇えないよ」

 異世界から召喚された勇者はチートじみたジョブやスキルを持っていると言う。しかし、必ずしも役に立つとは限らない。

 俺が転生して得たジョブ「練炭術師」も、いわゆるハズレチート、と呼ばれるものだったようだ。


 後で詳しい話を聞いたところによると、この世界には錬金術師というジョブがあるらしい。これは鉱石の組成を分析したり金属を抽出したりすることのできるジョブだ。製錬技術が未発達なこの世界ではとても重宝されるな能力で、適性を持つ者も非常に少ない。お貴族サマお抱えの工房なんかで働いているそうな。

 おそらく、練炭術師はその炭素化合物版なんだと思うのだが、転生者のユニークジョブであるがため前例もなければ活用法もわからない。化学が未発達なこの世界ではまず炭素化合物、と言うか、分子という概念が理解されなかった。炭素とは炭を構成する物質だと説明したところ、炭を錬成するジョブとしか考えられなかったようだ。実際、出来たのは暖炉の燃えかすから炭素分子を取り出して炭にすることくらいだったので、否定のしようもなかった。


 まあ、地球でも有機化学は近代になるまで発達しなかった学問。工業化が進まないとあまり活用もできない。役立たず……とまでは言わなくても、とてもチートと呼べるものではない。

 むしろ、大手調味料会社の研究員だった前世の知識の方が役に立つだろう。


 そんなわけで、調理師系の職を探していたところ、ちょうど冒険者ギルド併設の酒場で人手不足で困っていたらしく、雇ってもらえることになった。


 最初の1ヶ月ほどはかなり苦労した。調味料についての知識は誰よりもあるつもりだったが、実際に調理をやっていたわけではなく、この世界で言うところの調理スキルは持っていない。さらに慣れない調理道具と初めて見る食材に悪戦苦闘する毎日だった。

 特に苦労したのは食材の異質さだ。冒険者ギルド併設の酒場だけあって、いわゆる魔物素材をふんだんに使ったメニューが多いのだが、こいつらがとにかく癖が強い。新鮮なうちはめちゃくちゃ固くて切り分けるのにすら一苦労するが魔力が抜けきるとふにゃふにゃになってしまうフォレストボアの肉、煮込むと無限とも思えるほど水を吸って際限なく肥大化していくミストビーンズなど、前世の常識が通用しない癖の強すぎる食材がごろごろしている。

 基本的なメニューと調理法を覚え、どうにか厨房スタッフの戦力になるまで、職場の仲間達にはずいぶんと迷惑をかけた。


 3ヶ月くらいで、まかないを任せてもらえるくらいにはなったので、いくつか前世の料理を再現してみたのだけど、仲間内の評判は可もなく不可もなくといった感じで、あまり芳しくはなかった。自分で食べてみても、なんか違うなという違和感が拭えない。やはり食材が違うと上手く行かないようだ。


 転機が訪れたのは、仲間達とまかないを食べていた時のことだ。

 調理師以外にも料理を作る上で思わぬジョブが役に立つことがある、という話を料理長がしてくれたのだ。そのまま俺のユニークジョブ、練炭術師の話題になり、流れで素材解析と抽出をその場の料理や食材で試してみることになった。

 練炭術師のスキルは、一つの炭素化合物が一定以上の比率、重量比5%程度含まれていれば、それを解析したり分離抽出することが出来る。ただし、炭素が含まれていない物質は検知も抽出も出来ない。例えば、エタノール(C₂H₆O)なら検出できるし抽出も出来るが塩(NaCl)はダメだ。濃度が一定以上ないとダメなので、ワインならわかるが安いエールのアルコール分は検出できない。

「つまり、上等な酒と安物の酒がスキルでわかるって事だな」

「まあ、酒精の強い酒かどうかなら……。でもそんなの一口飲めばわかりますよね」

「まあ、そりゃあそうだが、レベルが上がればもっといろいろ出来るようになるさ。せっかくのユニークジョブなんだろう? 使わねぇともったいねえ。レベルも上がらないしな」

 これはあとで聞いた話なんだけど、ギルドの方針として、ユニークジョブの研究は進めて欲しいと思っていたらしい。しかし、俺がジョブのレベル上げすらする様子がなかったので、はっぱをかけるようギルドのお偉いさんから言われていたそうな。

 まあ、そんなわけで、食材に限らず、いろんな素材に有機物分析をかけるようになった。


 そして、ついに見つけてしまったのだ。

 マグマシェルという火山地帯にいるヤドカリのような魔物がいるのだが、胃の中に金属をため込む性質があるので鉱物素材として重宝されている。もちろん食べることは出来ない。

 いつもの癖で分析にかけてみたところ、貝殻部分が反応したのだ。主成分は炭酸カルシウム、そして……。

「グルタミン酸ナトリウムっ!?」

 思わず漏れてしまった素っ頓狂な叫び声を聞きつけたギルド職員達が何事かと集まってきた。

「あのっ、マグマシェルの貝殻ってどうしてます?」

「ああ、貝殻部分は特に素材にもならないから、砕いて捨ててるけど?」

「なんてもったいない……。今ある分をちょっと持ってきてもらえますか? めっちゃくちゃイイモノが抽出できそうなんですよ」

 砕く前の大きな貝殻を持ってきてもらい、練炭術師のスキルを試してみる。

「抽出、グルタミン酸ナトリウム」

 1分も待たずに数kgの貝殻から、100gほどの白い結晶が抽出される。ひとつまみして、舐めてみる。間違いない、前世で死ぬほど見たアレだ。念のため、有機物分析をかけてみる。

「ははっ、やった……。間違いなく、純度100%のグルタミン酸ナトリウムだ」

「それが、イイモノなのか?」

「ええ、これは料理をおいしくする『魔法の粉』、なんですよ」


 これは、役立たずだと思われていた練炭術師が、料理の世界で革命を起こす物語である。


料理系の異世界転生ものだと、マヨネや醤油を発明して俺UMEEEEEするのが定番ですが、食文化違うであろう異世界でそこまで受けるものじゃないだろうと思いません?

少なくとも、世界中のどんな食文化の地域でも使われてる、くらいでないと説得力ないですよね。

でも、味の素ならいけると思うんですよ。まじで世界を席巻してますからね。

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