夜と朝のこびと
夜と朝の出会いの時間 赤子の髪がくるくると渦をまくころ
夜のこびとは荷物をまとめ よいしょと背にのせ杖をつく
朝のこびとはステップ踏んで 赤いブーツをみせつける
夜のこびとはうつむいたまま ふくらむ背の荷のなすがまま
朝のこびとは言いました 今宵のゆめは銀色だから あなたのマントにちょうどよい
夜のこびとは長く険しいあごひげをなで いえいえまだまだ足りません
この子のゆめが玉虫色にかがやくまでは わたしの役目はおわりません
夜と朝の別れの時間 どこかでだれかが伸びをするころ
夜と朝のこびとは言葉をまじわし みんなのゆめを吟味する
そうして朝のこびとはステップ踏んで めざめの粉をまきちらす
夜のこびとは目をしばたたかせて こつりこつりと杖をつく
そうなのだ 赤子の髪がいつかなくなり にごりのない玉虫色のゆめを見るまで
夜と朝のこびとはだれもしらない音で部屋をみたし
人知れず出会いと別れをくりかえすのだよ