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異世界モザイク~過保護な神とチートの代償~

作者: 帰り

「ピー、ピーーー、ピーピーピーーーー!!!」


 ピーピーうるさくてすまない。

 俺は今、間違いないなく自分の口から日本語を喋っているはずなのに、聞こえるのは間違いなくテレビなどで聴くあのモザイク音なんだ。

 ちなみに、俺の全身にも濃いめのモザイクがかかっている。




 あの時、神を名乗る冴えないオッサンに、世界を救ってほしいとお願いされ、好きな能力を好きなだけ貰えると聞き、俺は即了承した。

 手続きのためだと幾つか書類を渡されたが、細かーい字で、甲だの乙だの書かれていた時点で俺は読むのを止めた。

 オッサンが使用許可とか言っていたから、神様も面倒なんだと同情したくらいだ。


 そのまま異世界へと舞い降りた俺は驚いたよ。なんせ自分の体にモザイクがかかっていたんだからな。

 服も髪も、抜けた毛にすらモザイク。あと、叫び声は全部ピーの処理がされていた。


 神のオッサンは脳内に語りかけ説明してくれた。

 どうやらあの書類にサインしたことで、この仕打ちを了承していたようだ。

 オッサンが現地の住人に不適切だと思うものにはモザイクがかかるらしい。

 だからと言っていきなり全身モザイクは無いだろ、俺は歩く卑猥物かよ。


 オッサンの言い分はこうだ。


 黒い髪なんてこの世界には存在しないから現地人がびっくりしちゃう、からで。

 顔は俺が要求した神眼…まあ、いろんな能力を詰め込んだ眼なんだが、それが危険だから。

 んで、他にも俺が付けて貰ったチートがいろんな所に引っ掛かって、こんな有り様になったと。


 言葉は、これまた俺の夢を詰め込んだ言霊っつー能力が駄目らしい。

 言葉だけでなんでも支配出来るなんて危険だ!って、あれ?言霊の能力意味なくね?俺、世界を救うんだよね?

 あと君口悪いし、っておいこらなんだその理由、ふざけんな!


 じゃぁ頼んだよーとオッサンの声は空に消えていった。

 そして冒頭、「俺が、思ってた、異世界転移と違ぁーーぅ!!!」


 後は散々だったよ。

 楽しみだった能力、創造は全てにモザイク。

 想像でも実在でも自由に造り出せる筈だったのに…。

 憧れの魔法も、実在の武器も。

 モザイクからモザイクが飛び出すありさまだった。


 空を飛ぶモザイク(俺)ほとばしるモザイク(汗)響き渡るピー(叫び)

 …オッサンの判断基準はどうなってんだ。


 モザイクが触れた場所もモザイク処理が施されるくそ使用のお陰で、異世界人どころか、うにょうにょした気持ち悪い侵略者ですら、俺に背を向け逃げ出した。


 絶望した俺は、最後の能力で侵略者もろとも異世界の生物全部の記憶を消してやった。


 異世界の地に一粒のモザイク(涙)がこぼれた。

 初めての理想の結果に達成感で胸が一杯だったよ。



 神のオッサンはぶちギレた。

 全然怖くなかった。


「君達の世界は理解が早くて使いやすいって他の神から聞いてたのに!」

 泣き叫ぶオッサンは神界の裏事情をぶっちゃけやがった。


 とりあえず今後地球人が呼ばれて、なめられないように帰り際言っておいた。

「人間なめんな、二度と理不尽に地球人を呼ぶんじゃねぇぞ!クソがっ!!」


 俺から地球人に言えることは1つ。

 異世界に行く前にはちゃんと確認しような?

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