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ハロー。見慣れた世界③

「やっぱり、映像と実物だと違うなぁ」


 百聞は一見にしかずっていうけど、その言葉通りだ。びっくり。


 今、私がいるのは街の中心にある、方花学園正門。休日なのか、ぴったりと門は閉じられてる。そういえば、今日何日なんだろ。携帯とかそういうのないから全然分からない。まっ、いっか。


「そもそも住んでる所、わからないし。あ、これ野宿決定かなー」


 放花学園は全寮制だから、絶対に自分の部屋あるんだろうけど、この世界には今さっき来たばかりだからねー。分かったら私エスパーだわ。うん。


「せめて、憑き者がいれば聞けるのにな〜」


 相変わらず憑き者現れません! 私のー憑き者ー! どこじゃー!!


「今頃登校とは、いい度胸だな」

「へ?」


 超絶冷たい声が聞こえ、そちらを振り向いた私は思わず口を押さえた。やばい、口から黄色い悲鳴が出るとこだったぜぇ。


「おい、聞いてるのか」

「は、はい! 聞いております氷山先輩」


 そこにいたのは、風紀委員長兼チェストのポーンの氷山麗史朗(こおりやまれいしろう)。副委員長の麗子さんとは双子で、2人とも黒髪にメガネですっごい真面目な性格だから、the委員長sとファンの中で呼ばれてたり。


 麗子さんは、ピンヒールで踏んづけて欲しいけど、麗史朗さんには、鞭で叩かれたいね。だから、二人揃って同人誌では左にいっちゃうんだよね。いや、右も美味しいけどね。うん。


「おい、聞いてるのか枷遥」

「な、なんで私の名前を」

「風紀委員長が、全校生徒の名前を覚えてない訳がないだろ。それより、何故この時間まで遅刻した」

「えっと……。体調不良で」

「カフェでコーヒーを飲んでる所を目撃してるが?」


 何故それを知っておられるのですか!?  委員長殿!!


 と、思ったけど、そうだ忘れてた。麗史朗さんの憑き者って、ワシで変化は千里眼の眼鏡だった。ここから、さっきのカフェまで数キロも離れてないし、それはバレるわな。


 ちなみに、変化っていうのは放師に憑いている憑き者限定の形態変化のこと。この形は、人それぞれ違って、武器である人もいるし、麗史朗さんのような眼鏡だったりになったりする者もいる。研究者の話だと、その姿は、放師が1番欲しているものを具現化した形らしい。


 麗史朗さんは、放師になる時に願ったのは、千里を見通す目。2度と、麗子さんがあんな目に合わないためと、願ったものだったりする。


 あの過去話は、本当に泣けたわ……。今でも思い出すと涙がちょちょぎれそうだよ。


「……おい」

「あだぁ!」


 心のフィルムであの名シーンを再生してると、ファインダーで頭を叩かれました。地味に痛い。


「俺の質問にきちんと答えろ」

「すみませぬ」

「で、本当の遅刻の理由は?」

「えっと……」


 いいのか? 実はー、今さっきこの世界に来たばっかりでー、状況整理してたんですー。なんて、阿呆な理由で。……絶対に冷ややかな目で見られるな。私としては美味しいけど、変人扱いはされたくない。


 頑張れ遥。無難な理由を考え出すんだ。


「街の偵察してました! 次いでに美桜さんと怜皇様の秘密の隠れ家をこそっと覗きに……ぁ」

「………………」


 やば、この選択間違えたかも。


「枷遥」

「は、はい」

「このまま生徒会室に来い」


 うっそーん。


 いや、憧れで、愛してやまない生徒会長であり、ピースのキングである怜皇様に会えるかもしれないのには、心躍る、いや、今すぐ踊り出したいほど嬉しいけど、この理由は流石にやばい。


 だって、副会長であり、ピースのクイーンである美桜さんと怜皇様の婚約関係で、相思相愛のこっそり同棲中って、ファンの中でもほんと一部しか知らないし、無いに等しい設定に数えられている。


 それに、この真実を知っているのは、ピースの方とこのP騎士の主人公、紅陽くんだけだ。それをモブ確定の私が知ってるなんて、どう考えても可笑しいしね。これは、確実に疑われた。


 けど、なんで、ここまでピリピリしてるんだ? 怜皇様の事だから、バレた所でそこまで気にしないような気がするけど。


「なにをしている。早くこい!」

「ほいさっさー!」


 それを含めて確認しないといけないのかもしれない。今の時間軸がどの辺りなのか。


 ……。怜皇様。生きてる、よね?





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