黒白探偵は仕事をしない。
ただ思いつきの作品です。
「ヤンデレについて語ろう!」
「いやよ」
「まずヤンデレってね」
「殺せばいいのね」
「色々ぶっ飛ばし過ぎだよ!!」
僕は 善高ブラック。
桜町高校2年B組の探偵部部長。
隣にいる彼女は 璃音ホワイト。
同じクラスで、白く美しい女性で将来の僕のフィアンセ。たまに毒舌……ていうか99%毒舌なんだけど、そこがまた良いよね。綺麗なバラには刺があるんだよ。
僕ら二人は通称『黒白探偵』と呼ばれている。凶悪事件からゴミ拾いまで行う、便利屋みたいなもの。
でも良いんだ。僕にはホワイトがいるから。
今回、僕らが狙っている事件は後輩のカップルが二人とも謎の消失を遂げた事件。生死不明で、現在も警察やマスコミが熱心に動いている。
唯一の手がかりは、二人は最近有名の『幽霊マンション』とやらに入って行ったということ。
これは僕らしか知らないことだ。聞いた人によると、警察にも言ったが彼らの家からそのマンションまでかなりの距離があること。そして何よりそのマンションへ入るためには大家の許可が必要なのだが、過去数回、そのマンションで警察官が行方不明となっているため誰も近寄らないという。
警察ダメやん。だからこの桜町は事件が多いんだ。
「考え事中悪いけど、私フィアンセじゃないし」
「心の中読めるの!?」
「というかあなた誰?」
「そこから!?」
さて、そんな微笑ましいやり取りも長く続かない。
今回もまた、僕らが作った[ほぼ僕かが作った。ホワイトは僕をムチで叩き仕事の効率化を図っていた。]投書箱に新しい依頼が来ていた。内容がこれまたびっくり。
『彼氏をバラバラにしました。保存方法を教えてください』
「え、なにこれ。私達に共犯になれと?」
「へー、面白いね。話だけ聞いてみようよ。ヤバそうなら警察呼べば良いじゃんか!」
「文面からしてヤバいんじゃないかしらこれ……」
というわけで。僕らは手紙に書かれていた住所に向かう。
そこはとあるマンションで、通称『幽霊マンション』と呼ばれているほど悪い噂しかない。僕もこのマンションの名前を見るまでは噂でしか聞いたことがなくて、まさかこんな外れにあるとは思わなかった。スマートフォン便利。
中は特に不気味さを感じられない。入り口に某ハンターゲームに出てくる金獅子の置物があるくらい。しかも『ラージャン』って書かれていた。
依頼主の部屋は108号室。入って東側の奥にある。
インターフォンがないので、ノック。
「はい……」
「あ、どうも!依頼を受けた黒白探偵ですっ!」
「どうぞ……」
依頼主は女性。か細い声で僕たちを招いた……ってうわ、凄い血の匂い。
「ブラック……」
「大丈夫、僕がついてるから。君を守るよ」あ、僕めちゃくちゃカッコいい。
「違うわよ。あのラージャンほしいんだけど」
「そっち!?」
依頼主は僕らの後輩だった。
「彼は……私を裏切ったんです。あれだけ私を好きと言ってくれたのに。私はそれに答えるために毎日夜中まで悩んで。彼のためにお弁当を作ったり彼の家に掃除しに行ったり彼の携帯に入ってる不要な女狐のメールや連絡先を消去したり彼の身の危険を守るために常に後ろにいたり」
ーーそれ、ストーカーじゃね?
「でも彼は私を裏切りました。他の女狐と手を繋いで仲良く遊んでいました。許せない。私は彼が好きでこんなにも努力しているのに。彼はどんどん離れていきました」
ーーいや、それはちょっと……離れても仕方ないというか「こらブラック黙って死んでろ」えぇ!?
「まず私は女をこの家でバラバラにしました。そしてバッグにつめ、海に捨てました。次に私は彼を監禁しました。しかし彼は何度もあの女狐の名前を呼び続け、私に対しては怒りの感情を向けていました」
ーーあれ?
「これではキリがないと私は思ったので、口をふさぎました。それでも喚く彼。いよいよ私は、彼を殺し」「ちょっと待ったぁ!!」「?」
「なしたのブラック?鳩がライフル銃食らった顔して」
「つまり死にかけと言いたいの?いや、それより……その二人って……」
僕は今、行方不明中の二人の名前を上げた。
「そうです。知っているんですか?」
あぁ、僕らの仕事終わり。またこんなあっさり終わった。
しかも自分でネタばらしかい……
「で、その彼氏の死体は?」
ホワイトは平然とした顔で聞く。凄い。さすがクールビューティー。僕のフィアンセ。
「ここです」
彼女は冷凍庫を開けた。
わぉ。見事にバラバラ。しかもこの小さな冷凍庫に入るように切り刻まれてる。
「これを、私はどうすれば良いのでしょうか。捨てたくはありません。かといって凍らせなければ腐ります。でも凍らせたら寒そうで……」
「ブラック、どうする?」
いや、どうするもこうするも……勝手にしてほしい。
けどなぁ……もうどうでもいいんだよな……。
「とりあえず、今日はそのままにしておこうよ。明日また考えよう。今日はもう暗いし、明日は休みだし」
「わかりました。信じていますよ」
それはどういう意味で?とは敢えて聞かなかった。いや、聞けなかった。
「ブラック、帰りましょう。私はこんな臭いところにいたくないわ」
「そうだね、帰ろう」
ーー翌日。
僕はホワイトに罵られながら帰った。
いやぁ、お腹一杯。特に死ね死ね光線は最高。
「ブラック、今朝のニュース見た!?」
「うん。捕まったんでしょ、あの女の子」
今日は休みだけど僕ら二人は部室にいる。結局ここが一番落ち着くから。
「何で捕まったのかしらね」
「さぁてね。マンションの住人が通報したんじゃない?」
「まぁあの匂いだしね」
ま、ネタばらしすると、僕が警察に通報した。知り合いの警部がいるからな。
あとは警察の仕事。僕らではこれが限界だ。
結局今回もこれで終わり。
ホワイトとのイチャラブタイムが邪魔されただけ。
ま、いいか。どうせ今日もイチャラブだ。
これでチャンチャン。どうだろう。
「全然ダメ、0点」
「読心術にも程があるよ!!」