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0・『青い空の下で』
どうしてこうなったんだ?
目の前の霞む視界には青い空が広がっていた。私はそれを仰向けになって見上げている。
学校に行かなくては。このままだと遅刻する……。
起き上がろうと体を動かそうとするがピクリとも動かない。
なんで……動かないんだ?
ああ、そうか……。いつものように登校するために自転車に乗っていたんだ。
遅刻すると思って今日はいつもよりスピードが出ていた。
――そのまま、いつものように坂道を下ったのがいけなかった。
下り坂でどんどん速くなるスピードをブレーキで止めることが出来なくて、下り終わった所にあるガードレールにぶつかったんだ。
ぶつかった勢いで乗っていた自転車から投げ飛ばされて目の前の壁に頭からぶつかった気がする。この頭の痛みもそのせいだ。
視界がさらにぼやけていく。
行かなきゃ、学校に……。親友が待っている、今日も演劇部の部活がある、部長に会いたい……。
だけど、それは叶わなかった。
月影 桜、十七歳、高校二年生。
――こうして私という人間は、自転車の事故で死んだ。