婚約者が馬鹿になりました
とあるドラマの台詞から思いつきました
「好きになった人が○○だっただけなのに
何がいけないの!」
という台詞、いや普通にダメだろと思いました
私立黎明学園高等部
お金持ちのお嬢様、お坊っちゃまの多くが通う名門校
そして、私は藤院聖夏
黎明学園に通う由緒正しき藤院家の長女である
性格はお嬢様とは思えないと幼稚舎からの友人に言われるが結構上位の家柄である
そして、こんなことを言うと頭がおかしいのかと言われそうだが
この世界は一時期流行った乙女ゲーム『略奪の愛を~婚約者なんて関係ない!~』の世界なのだ
私はそのゲームに出てくる攻略対象を副会長に選んだ場合のライバルキャラで
ゲームではクール系美形な副会長に惚れ込んでいて
副会長を奪おうとするヒロインをナイフで刺し殺そうとする危ない女だった
見かけはいかにも清楚なお嬢様然としていたが最後のシーンでナイフを振り回すシーンはホラーのようで怖かった
現在の外見は私の好みで華やかな印象になっている
もとが美人なので清楚系だろうと派手であろうと似合うのだ
まあ、ヒロインも平凡設定なのに大分可愛いのだか
そして、わが婚約者、久藤蒼夜はゲームでも現在でもクール系の美形だ
ちなみに私たちは幼馴染みでもある
小さい頃はせーかちゃんとよんでべたべた引っ付いてきていた
ふんわりと笑う可愛い子が今は冷たい印象のある美貌で無表情に
あんなに可愛かったのに残念である
ゲームでは母親がヤクザに惚れ込んで不倫して、さらに自分の誘拐を手伝おうとしたため人間不信、特に女性は大嫌いになっていた
しかし、実際は今の母親は離婚はしたもののそこまで馬鹿じゃなかったし、プライドが非常に高いため間違っても誰かに従うタイプではない
なのに何故かいつのまにか笑わなくなっていたのである
でもゲームとの差異がいろいろあるのでゲームと同じにはならないと思っていた
しかし!
最近副会長が編入生と抱き合っているのを見たとか、副会長が指輪を購入していたとか噂になっているのだ
イベントで副会長がヒロインを抱き締めるシーンがあったし、指輪と言えばエピローグでプレゼントされるものである
まあ、婚約者が昔みたいに可愛い笑顔を見せてくれるなら別に私は婚約解消してもいいのだが
あいにく私と婚約者の父が許さないだろう
この婚約はもともと会社関係の話だった
私が久藤家に嫁ぐ代わりに久藤家が所有する藤院家の会社の株を2割譲渡という約束がある
現在は父達がかなり仲がよく友人であってもそうそう解消はできないはずだ
確かゲームでは二人で想いを確認しあったら、ライバルの教室に乗り込み婚約を解消させるという感じだった
そこの選択肢を間違えるとナイフを振り回されたりするのだが、ゲームの藤院聖華はなぜナイフ何かもっていたのだろうとプレイしていて疑問に思ったものである
実際に今こられても婚約は子供同士だけで解消できないので来てもどうしようもないと思うがどうなるのだろうか?
まあ、決まったことではないし悩んでも仕方がないか
そろそろ時間だし学校に行かないと
相変わらず無駄に広い学校である
ここは私の母方の従兄弟が理事長をつとめているのだがこの学校は華族制度が廃止された際に会社がつぶれても収入を得られるようにと作られたらしい
あとは単純に土地が余っていたからだそうだ
ん?なんか教室が騒がしいな
ガラッ
ドアを開けると何故か一斉にこっちを注目された
「えっと、おはようございます……
みなさんどうなさいましたの?」
「やっと来たわね!
往生際が悪いわよ、藤院聖華!!」
そこには編入生と婚約者がたっていた
「あなたは、編入生の……?
私になにかごようでも?」
やべ、編入生の名前なんだったかな
思い出せないよ
「とぼけないで
そんなの蒼夜との婚約を解消して貰いに来たに決まっているでしょう!!」
もう来ちゃったのか、これから対策を考えるつもりだったのに
「申し訳ありませんけれどこの婚約は解消できませんわ」
私がそういうと編入生はおもいっきり睨み付けてきた
……あれ?なんか婚約者が嬉しそうなんだけど
「醜い足掻きは止めなさい!
蒼夜はわたしのことが好きなんだから
あなたのことなんて何とも思ってないのよ」
いや、わざわざ言われなくても知ってるけど…
「ちょっとあなた庶民のくせにが聖華様に無礼よ
大体蒼夜様は聖華様のご婚約者なのよ
あなたの出る幕なんでないわ!」
お嬢様たちがゲームでの私の台詞を言っちゃったよ
若干違うけどね
「好きになった人に婚約者がいただけよ、それも親の決めた、ね。だったら想い合っている私たちが結ばれて何の問題があるって言うの!」
おぉ、ヒロインもゲームと同じ台詞だ
てか、悪いに決まってるでしょ
人の婚約者だよ?
普通だったら慰謝料請求されてもおかしくないことなんだけど
婚約者もなにかんがえてるんだろ?
「蒼夜様はどう思っていらっしゃいますの?」
「婚約は解消しましょう。
僕は君を好きじゃないですから」
……婚約解消なんて無理ってわかってるはずなんだけど?
馬鹿?
「ほら、蒼夜だってこういっているのよ
さっさと婚約解消なさい!」
「だから、無理だと申し上げているでしょう
この婚約は私たちの問題ではなく家、つまり会社のことも関係しているんですの
私が許可したって無駄ですわ」
「訳のわからないことをいってごまかさないでよ
そんなのあなたが別れたくないだけでしょう!」
ヒロインうざっ
私だって好きで婚約してるんじゃないんだよ
いっそ私は構わないから父達は自分で説得しろっていえばいいかな
よし、もうめんどいしそれでいいか
「分かりました、では私は婚約解消しても構いませんわ
ただし、それでわが家に損失があればあなたに責任を取っていただきます
そして、私たちの父の説得も二人でなさってくださいませ」
私が言い切ると少しずつ青ざめていった婚約者が満足そうに口を開きかけたヒロインを押し退けて私にとびついてきた
「ちょっと蒼夜さま、なんですの
離してくださいませ!」
「嫌だ、婚約解消する何て言わないでください」
は?
「自分が解消してくれとおっしゃったでしょう」
「こんなにあっさり解消しようとするなんておもわなかったんです
本当はこんな変な女好きじゃないです。
ただもしかしたら嫉妬してくれるかもしれないと思って……
中等部で生徒会に入った頃から聖華は僕に近寄ってこなくなってしまって寂しくて
でもさすがに婚約解消するっていったら止めてくれると思って」
そうって婚約者はぎゅうぎゅうと抱きついてくる
「もうこんなことしませんから許してください」
婚約者は意外とお馬鹿だったらしい
生徒会とかしてるとこをみるとしっかりしてると思っていたがどうやら思考が暴走するところは変わっていないようである
「別にいいです、面倒な説得をしなくていいなら許します」
そういうと久しぶりに嬉しそうに笑った
やっぱり犬の耳と尻尾が見えそうなくらい可愛い
すごく嬉しそうである
まあ、婚約解消すると言われても嫉妬はしないが愛犬を可愛がる程度の愛情はあるのだ
幼馴染みだし
「ちょっと蒼夜 !」
ヒロイン、少しは空気読め
せっかくまとまりかけてるのに余計な
「あぁ、もうお前に用はないので教室に戻っていいですよ
もう調べはつきましたから」
調べ?
私が首をかしげると
「この編入生はなぜか生徒会メンバーなどの個人情報を知っていたのでついでに調べていたのですよ
そしたら理事の一人が成績を偽装していたのが分かったので退学です
気味が悪かったのでよかったです」
まじですか
もしや転生者?
だから知ってたとか?
もう関係はないけどね
「とりあえず、問題も解決したのでこれからは聖華に嫉妬してもらえるくらい好きになってもらいます」
別に嫌いなわけでもないのだが
「できるものならやってみてください」
こうして、乙女ゲーム擬きはヒロインの退場という結果で終わったのでした
めでたし、めでたし?
~FIN~
読んでいただいてありがとうございます
ここで補足説明というか隠し設定
①副会長が笑わなくなったのは聖華が可愛いと言うから
かっこいいと言われたかったのです
②副会長のお母様も転生者、だから普通に離婚しただけ
③指輪は聖華に後で渡されます
④抱き合っていたという噂は単にヒロインが抱きついていっただけ